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止めるのならば、

 その行為を止めるのならばそれなりの覚悟をしなくちゃいけないと思った。彼女に罵られる可能性も考えた。

6月頭くらいにニュースでやっていた『男子高校生が自殺しようと線路に飛び込んだ女子中学生を助ける』というニュースを見てイラッとした。男子高校生は人を助けて英雄気分かもしれないけど助けられた女子中学生はこれからも地獄を生きなくてはいけない。そういうことを踏まえた上での救出だったのだろうか、と考えた。人間、いざという時は考えるよりも先に行動してしまう。男子高校生はきっとゴタゴタ考えず、女子中学生を『助けてしまった』んだろうなぁ。梅雨入りした東京に降る雨を見ながらその時はそう思った。

 実際に自分がそういう立場になってみると、考えよりも先に行動を起こしてしまった。『死ぬ自由』という事を最近はずっと考えていたのにそんな事は忘れて「今から死ぬから」という彼女に居なくなってほしくなかった。

『助けたって救えないや』と女王蜂の新曲で歌っていたな。そう、助けても救い続けることなんか私にはできるんだろうか

いや、できるさ。だから彼女を止めたんだ。彼女の悩みがあったとしてそれを全部背負える覚悟があったから止めたんだ。『死』は非日常じゃない。日常のどこかに隠れている。誰かが今でも死のうとしてるし、死んでいるかもしれない。

惨めだってボロボロになったっていい、だからあなたを救い続けたい。救い続けさせてほしい、できればどうか あなたに思いが届けばいいと思う。

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