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(2023/07/16/日)+印の描かれた蔵骨器


久しぶりに博物館に行きました。

 今日は日曜日なので、いつもの様に作業を休む事にしました。

 最近は日曜日に雨が降ったり、自分の体調が悪かったりして外出を控えていたのですが、天候も体調も良かったので、久しぶりに博物館に行く事にしました。
(資料館(博物館よりも規模が小さい施設?)には良く行くのですが、博物館には久しぶりに行きました)

 博物館の方が資料館より展示物が多く、資料集や調査報告書の挿絵に乗っている遺物の実物を直接見る事が出来るので、色々と観察したり調べたりする事が出来るので中々面白いです。

 同じ様な遺物でも全て一点物なのでそれぞれ個性が有り、見ていて飽きません。

 今日は久しぶりに博物館に来る事が出来たので、あまり興味がない時代(古墳時代以降)の遺物や古文書を見る事にしました。

 その中で古文書では無いですが、興味深い遺物が有ったので備忘録としてここに残しておこうと思います……。

備忘録

+の模様の描かれた骨壺

 今日は久しぶりに『宮崎県立博物館』に行きました。
 
 何時も縄文~古墳時代の作品(遺物)が好きなので重点的に見る様にしているのですが、久しぶりに博物館に来たので今日は余り詳しく調べようとしてこなかった中世~近代の展示も良く見る事にしました…。

 古墳時代の展示が終わり、中世の展示が始まる展示スペース(県内で発見されたリアル埋蔵金の横)に、気になる作品(遺物)を見付けました。

※こちらの写真は私が現地で撮った物で、施設に許可を得て掲載しております。

ヘラ記号のある蔵骨器
室町時代
宮崎市清武町山内石塔群出土
宮崎県埋蔵文化財センター所蔵

宮崎県立博物館2階展示

 それは室町時代(約1336年~1573年位までの時代)の『蔵骨器(火葬・洗骨葬ごの遺骨や遺灰を入れる容器)』とされている須恵器よりも照りの有る、口のフチが少し曲がった壺で、その表面にはしっかりと『+』のマークが書かれていました。

 何というかそれ(蔵骨器)は、いつもは見ない中世(室町時代)コーナーに有るにも関わらず、何故か妙に強く目と心を惹かれました。

+の意味?

 『なんでこの壺に気を惹かれたんだろう?』と思って、美術館で絵画を観察するように、その壺を暫く観察していた時に、以前直接見た縄文時代の祭祀用と思われる石器(十字石器)弥生時代の線刻土器(以前紹介した作品に✖印はついていませんが雰囲気が似てる…かも?)や、最近発掘された吉野ケ里遺跡の石棺に書かれた模様等を思い出しました。

蓋石の裏に「✖」印、魂封じ込めか 吉野ケ里遺跡の石棺開口
2023/6/5 13:36 小林三秋 氏

上記のリンクは2023/6/5 13:36産経新聞の記事へのリンクです。
リンク先では画像を見る事が出来ます。 

+の意味を考える上で参考にさせて頂いた本

 ×や+の模様について、以前、持っている本に載っていた様な気がしたので、本棚の中からその本を探しだしました。

 忘備録としてその一文をここに残しておこうと思います。

✖印 一
 弥生時代の、島根県荒神谷出土の銅剣や同県加茂岩倉出土の銅鐸に✖が刻まれ、佐賀県瀬ノ尾の土壙墓の蓋石には一面に✖が刻まれていた。
 古墳時代には田島地方から土器に漆で描いた✖、穏岐西の島から土器に刻んだ✖が出土していて、いずれも祭祀にかかわるものと見られている。

中略

 民族学者の柳田国男は、『阿也都古考(あやつここう)』に、✖をヤスコ、あるいはアヤツコと呼び、宮参りのときや用事の外出の時に魔除けとして額に✖を各風習があることを記す。

中略

 会津若松城では、現存の五つのすべての虎口(入口)の石垣に✖が刻印されていて、敵の侵入を防ぐかのようである。✖は有史以前から悪霊を断ち切り自己のの安全性を守る呪符だったと考えられる。

 ✖と同様の+はキリスト教とのかかわりが考えられがちだが、修験道や仏教の秘法である『十字之大事』は『九字之大事』を越える効験をもつ護身法である。

p16
 この後にも✖やその他の記号についても書かれています。
文章を全て記載しようと思ったのですが、引用の範囲を越えるかもしれないので、一部抜粋いたしました。
 この後のページに更に印に関する解説が載っていたので、このnoteを書いた後にもう一度読み返してみたいと思います。
 久しぶりにこの本を手に取ってみて、この本を買って読んだ当時は、大まかな模様の意味を調べただけで、深く読み込んでいなかった事を思い出しました。ですので上記の文章でも一部不明なワード等が多々あります。この本は今後もう一度意味を調べながら読み返してみたいと思います。
(特に『十字之大事』や『九字之大事』等については知識が無いので、概略だけでも調べてみたいと思います)

魔除け百科 かたちの謎を解く
著作者 岡田保造  
発行者 小林武彦  
発行所 丸善株式会社

なるほど。
この本では✖や+印は魔除けと考えられていると紹介されています。
(上記の本の内容の内容を参考にすると、この蔵骨器の『+』の意味は『魔除け』と言う事になると思われます)

 確かに遺体の一部を収納する容器なので、魔除けの意味を持つ模様を付ける事も有ったのでしょうか……。

 んー…しかし、もっと他にこういう模様や形の作品(遺物)が有った様な…?
明日、もう一度過去の資料から探してみたいと思います。

 私はこの様な誰かが何かの意図を持って作ったマークや作品(遺物)を直接見たり触れたりする事が好きなので、今後も色々と調べて行きたいと思います…。
 ……そして、今後作品を作る際に何らかの形で、アートのコンセプトの隠し味の一つとして使用していきたいなーと思います…。

今日見た展示作品が有ったのは、何時もはスルーしてしまう中世~近代の展示コーナーでしたが、改めて一つ一つ注意深く見ようとしたことで面白い物を見付ける事が出来て面白かったです。

2023/07/16/2100頃?~2315
(本を探したり読んだりしたので、かなり時間が掛かってしまいました…)


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