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ただいまと、さよならの故郷

生まれ育った場所から飛び立って行くのは、何度経験しても、慣れない。

歳を重ねて、住む場所が変わって、自分の生活に忙しくなって。家族や友達が待つ街へはなかなか帰らなくなった。

そうやって生きていくことを選択をしているのはまぎれもなく私なのだけど、たまの帰省に久しく触れていなかった温かさに触れると、旅立ちの日がいつまでも来ないで欲しいと、つい願う。

もちろんその願いは叶うことはなく、帰りのチケットを使うその日はやってくる。

見送られるまでの時間は、なるべく自然に、いつものように振る舞う。哀しみを必要以上に深めないように。

別れの時間がやってきて、手を振る。ぐっと感情をこらえる。
お互いの姿が見えなくなって、ぽろぽろと感情が溢れだす。

また今回も終わってしまった、短い旅。

今度はいつ帰ってこれるかな。搭乗口へと向かいながら、涙を拭う。
次の短い旅に、早くも想いを馳せながら。

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