【感想】【ネタバレ有】闘将ダイモス観終わりました

 昭和の東映ロボットアニメやタツノコアニメが観たくて、2月からDMM TVに加入した。
 スパ厨なのでスパロボ参戦作品から開始。前から観たかった「闘将ダイモス」を視聴した。「コン・バトラーV」「ボルテスV」は大学時代に近所のビデオレンタルで鑑賞できたのだが「ダイモス」だけ無くて(そもそもビデオ化されていなかったそうだ)、いつか観ようと思っていたのだ。

 で、いざ観始めると超面白く、3週間で全44話を観終わってしまった。「コン・バトラーV」「ボルテスV」を超える傑作だと思う。
 以下、ネタバレ全開で感想を書くので嫌な人は閉じてください。









 ダイモスはテーマが良い。スパロボその他では主人公一矢とヒロインエリカのロミオとジュリエット的な悲恋が強調されているが、どちらかというと2人の恋愛はおまけというかフレーバーで、作品としては「一矢とエリカが愛しあえたように地球人とバーム星人も愛しあうことが出来るし、また愛しあわけなければならない」というのがメインテーマになっている。一矢とエリカの愛の成就は必ずしもメインではない。極論、2人の愛が悲劇に終わったとしても上記のメインテーマに影響はない。
 これは古くて新しいというか、普遍性のあるテーマだ。特に今の日本では韓国を筆頭に外国に対する下品な言説が多くなっているように感じる。ダイモスの提示したテーゼは常識的ではあるが全く古びていないと思う。

 そのため、作品における真の敵は地球人とバーム星人それぞれのタカ派である。すなわち、地球人側はスパロボでおなじみの三輪長官、バーム星人側は戦いの元凶でもあるオルバン大元帥だ。
 そして、より邪悪、というか醜悪なのが地球人の三輪長官であるのもダイモスの面白いところだ。
 バーム星人のオルバン大元帥は科学力で劣る地球人をシンプルに見下しており、その自覚もある。
 対して、三輪長官には偏見や私欲の自覚がない。正義の名のもとに話し合いを否定してバーム星人の皆殺しを主張し、批判する一矢たちを「非国民」と断罪する。挙句の果てにはこれらの思想を自身の保身や出世に利用する。これらが彼にとっては全て「正義」なのだ。現実の「自称愛国者」もこんな人なんだろうと思わされてしまうリアリティがある。この三輪長官の醜さが上記のテーマを激しく強調する。アニメ史上屈指の悪役である。スパロボで何度もいじられるのは理由があるのだ。
 作中ではオルバン大元帥は倒され、三輪長官も失脚してしまうのだが、もしラストが「平和交渉の席でバーム星人代表と笑顔で握手する地球人代表三輪長官」なんて絵面だったら伝説になっていただろうなあ。

 と、このように重厚なドラマが第1話の一矢とエリカの出会いから最終話のオルバン打倒まで余すところなく描かれる。
 本当に傑作なので、アニメファンなら是非観てほしい。

 

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