令和2年 筑波大学 情報メディア創成学類 編入体験談

令和元年7月13日に筑波大学情報メディア創成学類(単願)の編入試験を受けて,無事合格したので先人たちに倣って僕も体験談も書こうと思います.

今年はこれまでと少し違うなって思うところもありました(倍率問題の傾向).そういった所感やアドバイスは最後の方にまとめるつもりなので,情報学群を受験される方はぜひ最後まで読んでいって下さい.

初期状態

鳥取県にある米子高専機械工学科情報系の授業無し)在籍.

席次(クラス約40人)
1年 : 1位
2年 : 3位
3年 : 1位
4年 : 7位
5年 : 11位
(3年の後期からテスト勉強が馬鹿らしくてやめた.)

1位とか書いてるが弊高専は学力偏差値的にかなり下の方で,3年で受ける高専統一テストでも成績は毎年,下から数番目であり,1つ上の代が全国最下位をとったことでも有名なくらいで編入の情報がとても少なかった.多分,進学高専(明石とか)なら僕は10位以下だと思う.ここだと専攻科,技科大以外に進学したら結構褒められる.そんな環境だった.

TOEIC スコア推移
1回目  3年 4月  460点(まったくのノー勉)
2回目  3年 2月  560点(暇なときにDUOを読んでただけ.問題集や模試の存在を知らなかった)
3回目  4年 11月  695点(初めて試験前に模試をしてみる)
4回目  4年 1月  755点  (初めて試験中に時間が余る)

1~2年

編入なんて言葉も知らず,よくいる高専生をしてた.ファッションが好きだったのでお金が欲しくて,バイトでためたお金を元手に,有在庫転売してた(今思うとよくないことだった.メルカリもBANされた).

2年の終わりごろにZENPENさんを知り,「東大が2科目!?」みたいに惹かれて,その春の関東編入説明会に1人で参加した.この段階では,東大編入にあこがれただけで,勉強は全くしなかった.

3年

英語
3年になってすぐに「進学に使えるから」と友達に誘われてTOEICを受けた(TOEICが英語のテストであることしか知らずに受けた).
「は?全然時間足りないじゃん.」って思った.案外460点をとれた.先生に割と褒められたもんだから,もっと頑張ろうって思ったのを覚えてる.
とは言え,その後めちゃくちゃ勉強したのかといえばそうではなく,DUOを1日15分ぐらい読んでたぐらいだった.

3年の終わりに,うちの高専で強制的に受けさせられるTOEICで560点だった.今回も対策とかはしてなかった.

数学
数学だけは,どうにもやる気になれず参考書を買うものの手を付けなかった.

4年(春~夏休み前)

春休み中に落合陽一という人を知る.ここで初めて筑波が候補に挙がった.まだ本命は東大で,本当に目指すならそろそろ頑張らなきゃなぁと思って過去問を見るも,まったく解ける気がせず少し焦ってた.

数学
手を付けてない.参考書収集だけが順調に進む.
英語
1日15分くらいDUO読んでた.
情報
明解のC入門を斜め読みしていた.
機械工学科でもC言語の授業はあったが,while文までやって終わりだった.なので配列とか文字とかも知らないし,アルゴリズムとかもっと知らなかった.
「ソート?グラフ?木?  なにそれ美味しいの」状態である.

4年(夏休み~11月)

哲学書読んだり起業家のイベントに参加させてもらったりしたおかげでパーソナリティの大幅なアップデートをした.学歴コンプや適当な自分が完全に消え去り,進路を筑波のメディア創成にほぼ決定する.勉強時間は1日4時間くらい.

数学
さすがにやばいと思って,マセマ(微積と線形代数)を買って,1日8時間×2週間で数学を超特急で復習した.その後,編入のための問題集にチャレンジするも60問目くらいで挫折し11月までの期間で徹底研究を1周した.
英語
夏休み中は毎日「隙間時間でDUOを0.5周」が習慣化していた.
ポレポレ長文問題精講鉄壁を始めた.11月のTOEICで695点を取った.1週間前に初めてTOEIC用の参考書として公式問題集を1回だけ解いて臨んでみた.革命的に役に立った.ポレポレなどの高校生向け参考書は英文解釈の勉強にめちゃめちゃなるがTOEIC用の参考書がある以上,最短経路とは言えないので英語の試験がなくてTOEICだけが必要な人は最初から専用参考書を買うべきだと感じた.
情報
東大を捨てきれない期間もあり,情報に手を付けれなかった.

4年(12月~2月)

受験に関係のないプログラミングや仮想通貨にハマっていた.だんだん焦りだす時期.
比率は数学2割,英語2割,情報6割って感じだった.勉強時間は1日4時間くらい.

数学
冬休みに入ったタイミングで徹底研究の2週目を開始した.
英語
特にTOEIC用の勉強しなくても,730行けそうだなと思ったので,特に力は入れずいつも通りDUOを回してた.直前に公式問題集は2回解いた.
1月のTOEICで予想通り755点をとれたので,申し込んでいた3月の分をキャンセルし,ここで僕の編入英語は終わった.
情報
定本を読み始めたが,僕には中々重くて,調べながら読んでいったので時間がめちゃかかった.
過去問を始めるが,これもめちゃくちゃ時間がかかった.1年分やるのに,調べながらで3時間以上かけてたと思う.その現状にかなり焦ってた.

4年(春休み)

編入試験はこの4年春休みがすべて.ここをがんばれるかですべてが決まるといっても過言ではない.僕は気合を入れて1日10時間,毎日学校の図書館に通って勉強した.

数学
徹底研究(3周目)徹底演習過去問特訓(A,Bのみ)を1周ずつした.かなり基礎が固まった.時々出くわす「どんな思考でやったらそんな回答できんねん」問題は悩まずに教授に聞きに行くべきだ.彼らは僕らの想像の何倍も賢い.とても便利.使わない手はない.
過去問はそこそこ解けるようになっていた(7〜8割くらい).分からない問題はもちろんすぐに教授たちに聞きに行った.
情報
期間が空いたのでやさしいCを3日で復習し,定本の読書を再開.何とか読み終わる.C言語による初めてのアルゴリズム入門のソースコードを入力してはコンパイルして勉強した.定本ではグラフが載ってないので役立った.
過去問も時間は少しオーバーするものの,解けない問題が少しずつ減っていった.

5年(4月~5月)

過去問を時間を測って解くに値する実力がついてきたので,友達に共有してもらった過去問を解いては,友人と確認したり,教授に添削をしてもらった.いわゆる回答づくり.15年分持っていたが,大体回答が完成した.勉強時間は1日6時間くらい.

数学
過去問の出来は8~9割程度.難しい年は5~6割になってしまっていたので,まだまだ焦っていた.隙間時間で徹底研究の4週目を始めた.さすがにすぐ終わった.
情報
過去問の出来は時間ギリギリかかって,7〜8割くらいって感じだった.数学と違い情報の問題は時間をかければ解けることがあるので本番ではいかに数学で時間を稼ぐかだなと覚悟した.H26のようなビットを扱う問題は機械科の自分は初見では全く解けなかった.過去問以外にも,アルゴリズム入門を触っていた.
お世話になっていた情報の学科の先生に勧められ競プロの本も2冊やった.蟻本螺旋本と呼ばれているメジャーな2つだ.ところどころC+ライブラリで簡潔化されていて自力での実装に面倒したが,あれはあれで実践力がついたのかもしれない.

5年(6月~試験直前)

過去問周回も3週目に入っていた.春休みからの勉強量が着実に自分の自信になっていた.この頃には焦りも消え,毎日清々しく楽しく勉強できていた.

数学
過去問に加え,徹底演習の2週目を解いた.次に過去問特訓もC問を含め2週目を解いた.この段階で割と応用力はついたなと確信したので,あとは他の人が解けるような基礎問題を本番で落とすようなことが万が一にもあってはいけないと思い,試験直前に徹底研究の5週目を解いた.
情報
過去問に加え,定本をもう一度1から読み直した.1周目後もちょくちょくつまみ読みはしていたが,読み落としがないように念を押す意味で最初から読んだ.相変わらずアルゴリズム入門もしていた.

試験(前日&当日)

前日入りして,ダイワロイネットホテルつくばに泊まった.話が逸れるがここはおすすめ.つくば駅から地上に出てすぐ目の前に大きくそびえたっていて方向音痴力を発揮する余地がない.ホテルから試験会場へも徒歩五分程度だし,部屋には勉強しろと言わんばかりの大きく横長な机がある.多分受験生に一番人気だ.見た感じ受験生がたくさん泊まっていた.すぐ近くにはコンビニやカフェ,ミスド,スタバまである.住みたい.

この日の昼間はホテルからすぐにあったミスドで過去問を10年分くらいパパっと解いた.
夜は睡眠導入剤としてストロングゼロを片手に過去問特訓徹底演習のベクトル空間の範囲を2週ずつ解いた(時間もないので3秒考えて解法が思いつかなかった問題だけ).

あとは寝る直前に徹底研究をかるく1周読んだ.
寝不足が引き起こす翌日の低パフォーマンスは絶対に避けたかったので11時にはベッドにチェックインした.

無事,起きれた.持っていくものは筆記用具と受験票とTOEICスコアシートと時計と気休め程度の参考書と飲み物くらいだ.

時計は教室にはないので必須.自分は腕時計だったが中には目覚まし時計を置いてる人もいて,見やすそうでマネすれば良かったと思った.配置は学習机を横3つ並べたのを端に2人座るみたいな感じだったので,試験中は相方さんに迷惑にならない程度に真ん中の席に下書き用紙とか置けたので決して狭くはなかった.あとはどなたかの体験談で冷房が効きすぎて寒いと書かれていたので上着も着ていったが普通に快適だった.ちなみに半分くらいの割合がスーツや制服を着ててびっくりした.めっちゃ汗かいてた.絶対パフォ下がってる.

試験用紙は問題冊子と,行がついてる解答用紙・下書き用紙が4枚ずつ.解答用紙は1枚に大問1つ分を解く形式.情報では縦に書かないといけない問題もあったのに微妙に行間が広い解答用紙はとても書きにくかった.明らかに不適だと思う.しっかり回答欄を作ってあげるか,なんなら白紙でいいと思った.

以降,問題の内容と出来について書いていきますが,出来に関して数学は教授(複数)による添削済み,情報はできる範囲でコンパイル済みなので,ほぼ確定値だと思います.

数学

数1:
(1)3変数陰関数の偏導関数を求める問題.
2変数の時の公式が3変数の時にも使えるのか分からなくて,結局両辺にいろいろ掛けたりしてゴリゴリ解いた.公式は使えたみたいで使うと数行で終わったらしい.あとで調べたところ,3変数の場合の公式は高専教科書にのみ載ってる.

(2)ただの広義積分.
徹底研究の例題レベル.部分数分解するだけ.「これ解けない人は受からないよ」という篩みを感じた

数1全体で10割

数2:
(1)3つの文字を含んだ二次正方行列が直交行列になるような3つの文字の組み合わせをすべて答える問題.
AX=XA=Eという直交行列の定義に沿って難なく解いた.

(2)1つの文字を含んだ三次正方行列について
(2-1)固有多項式を求めるだけ.(2-2)のための前座問題.
(2-2)対角化不可能な文字の値をすべて答える問題.
ここで虚数解の方に目がいかずに,解が1つしか出てこなくて詰んだ人が多かったらしい.自分はと言うと2つ解は出たが,なぜか虚数解の方を範囲で示してしまっていたらしい(下書き用紙いわく).なので(2-2)は8割くらい.

数2全体で8~9割

情報

情1:
(1)関数e(x,n)(xのn乗関数)について
(1-1)関数内の四則演算の実行回数をnで答える問題.
まぁ直感でわかるし,何ならゴリゴリ数えて確かめれた.
(1-2)eとは別のxのn乗関数の穴埋め.
簡単すぎて,問題作成者の怠惰さえ感じた.

(2)(1)のeを使ったM次多項式の計算関数calcについて
(2-1)(1-1)のcalc版.
式中に演算子が2個あったのを意識せずに,1行で1回カウントで計算してしまった.部分点さえ怪しい.やらかした.
(2-2)calcの漸近的時間計算量を答える問題.
久しぶりに計算量出してきたね.解けた.
(2-3)calcの改善版作れ問題
この手の0から作れ問題は過去問でもあったけど,機械科の僕にはかなりハードだったので捨てるつもりだった.ので改善されてるか分からないし,なんなら文法すら怪しいコードを書いてすぐ次へ行った.多分2~3割.

情1全体で7割

情2:
(1)~(5)通して,与えた文字列の順列を出力する関数make-permutation(以降mp)について.

(1)mpのように自分自身を呼び出している関数を何というか?
一瞬戸惑った.筑波で語句問題だと...「再帰関数」でいいよね?(笑)
(2)引数にABCを与えたときの出力を答えろ.
僕はゴリゴリ下書き用紙一杯にフローを書いて解きました.強い人は直感でも解けたのかもしれないけど,結果この下書きが(3)(4)でめちゃくちゃ役に立つことに...
(3)(2)における無駄な再起呼び出しが何回あるか答えろ.
膨大な下書きのおかげで,それを見ながら数えるだけで解けた.
(4)無駄な呼び出しがないように行を追加や削除して改善しろ.
膨大な下書きのおかげで,どんな時に無駄が起きてるかの規則性がすぐに分かったので,簡単に改善できた.
(5)ABから始まる長さkの文字列を引数としたときのmpの出力で,右端にBが来るのは何行目か答えろ.
mpの出力の規則が分かればすぐに分かる問題だった.いったん飛ばして数学の見直しをしている最中に閃いた.

情2全体で10割

試験全体で9割弱くらいって感じです.つまり200×0.9=180点弱.

TOEIC 755点は例年通りなら100点扱いなので,合計で280点弱ということに.

これは部分点がしっかり与えられている想定での点数なので250くらいに下がる可能性はある.春に点数開示できるので楽しみにしておこう.

謙遜なしに言うと,自己採点後は受かったと思った.ボーダーは240以下が相場だったから.

しかし合格発表当日に掲載時間まで暇で倍率を計算してみたところ,例年をはるかに超す倍率をたたき出したのでいっきに不安になった.

合格発表は教室で友達みんなで見た.番号があった瞬間みんな大騒ぎして祝ってくれて嬉しかった.

所感

倍率は併願(メ創を第2希望の併願)までを含めると14倍弱という驚異の数字だった(例年は9倍くらい).
志願者が141人に対して,11人しか受からなかった.一方,情科は21人も受かってる.

あと驚いたのが併願組について,例年は情科の方がボーダーが高く情科第1志望が漏れてメ創に流れてくることがしばしばあったのだが,今回逆が起きた.メ創から4人が情科に流れた.

現在そのうちの1人の方と仲良くしてもらってるけど,自分と試験の出来があんまり変わらないことが分かった.一方,情科の人の体験談を見てみても230点くらいで受かってる人もいた.

つまり,メ創組の点が低すぎて合格者が少なかったのではなく,全くの逆で,今回は明らかにメ創が絞ってきてるということが分かる.もともと筑波大学の情報学群の定員はメ創の方が少ないのでおかしいことではないのかもしれないが,今まではそんな傾向は見られなかったので驚いた.

もうメ創は高倍率超難関学類になってしまったのかもしれない(ポジトークみたいになってすいません).前からそうだったけどより一層に.ボーダーも250くらいに上がってると思う.

あとは,試験問題も去年からすこし傾向が変わってるように感じる.特に情報.
今までは,有名なアルゴリズムを題材にした問題だったが,去年と今年はその場その場のオリジナルな関数を設定している(コサイン類似度や順列).
これは受験生に対して有名アルゴリズム以外にも慣れておかないといけない(実践力)という意味では難化のような気がするが一口にそうとも言えない.
コサイン類似度のような馴染みのないものについては問題に詳しすぎる解説が書いてありむしろ易化している.一方,今年の順列のような比較的なじみのあるものについてはとくに解説はなく情2(5)で順列の公式が分かってないと解けないような問題もあった.

数学はH29のεΔ論法でのチェザロ平均の証明あたりから垣間見える問題ごとの難易度ギャップがすごいのが筑波数学の特徴だ.去年の射影行列にしろ今年の陰関数にしろマイナーな問題を出したと思ったら,ほかの問題は死ぬほど簡単みたいな感じだ.
これは受験生にはマイナスだ.だって応用範囲(というか数学の本質部分.むしろ基礎)までやらないといけないということだから.3変数陰関数の問題は記憶が正しければ自分がやった参考書には無かった.

総論として,今年からメ創編入はかなり厳しくなったといえる(あくまで予想の域を出ないけど).

ボーダーは上がっただろうし,相変わらず倍率バカ高いし,数学はマイナーな問題もケアしないといけないし,情報は有名アルゴリズムだけじゃ不安だし.

勝因

○早い段階で編入を志したおかげで,志望校の見定めなどのもろもろの準備がしっかり出来た.
○中学の時から英語は好きで,自習はしなかったが習ったことを忘れることはなかった(単語は特に).そのおかげで,TOEICのスコアが楽に取れた.
○両親ともに高卒ながら僕の勉強にとても協力的で「この参考書が欲しい」と頼めば買ってくれた.
○同じ学類を目指す友達がいたおかげで,一緒に過去問を解いたり躓いたところを聞きあったりできた(大きい).
○数学教授たちがとても親身に教えてくれたので,分からない問題で数日無駄にするみたいな事態に陥らなかった.(特に慶應数学博士さんが強かった.)
○大学に入って何をしたいか,上京してこの企業にインターンしてみたいとか,将来どういう人間になりたいとかがハッキリしていたので,モチベ水準は他の人より高かった.哲学書を読んでたのが大きい.
○いつの間にか知らない人にまで「あいつは東大か筑波いくんだ」みたいなことが伝搬されてて勝手に負けられない戦いになってた.

過去問について

どの体験談でも配布を渋っているのは理由があるのか分からないけど,ダメじゃないなら配布サイト作るつもり.解答の配布もするけど,受験生の為にならないかもしれないので少し仕掛けをつけようかな.なんて考えてる.

最後に

ここに書いていないけど手を付けた参考書もいくつかあるので,それらも含めて教科別に参考書のレビューの記事も書きます.

なにか聞きたいことがあれば,Twitter(@AnoTensai)にDMしてくれれば答えます.

追記
各教科の参考書のレビューを書いたのでよければ参考にしてください.


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モモスケ

田舎高専生。19歳。 Blockchain to everything but also connected to the internet.
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