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日本型謝罪テクノロジー──謝罪で世間の忘却を狙うお詫びの研究

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記事一覧

黒人差別をしたNHKを日本型謝罪で終わらせないために―再発防止には絶対に必要な差別禁止ルール

多忙ですぐに書けませんでしたが、NHKが6月7日の『これでわかった!世界のいま』でレイシズムに基づいた番組をつくり、大問題となりました。私はこんなツイートをしました。

しかしNHKはすでに謝罪したのですが、懸念した通り、差別を差別とは認めないままアタマだけ下げる日本型謝罪です。

このままでは差別の再発も防げないだろう、と私は強く懸念しています。なぜなら差別の再発防止にぜったいに必要な、差別禁止

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叩かれている大澤昇平氏の謝罪が、じつは東京大学情報学環長の謝罪や三浦瑠麗氏よりも優れている理由

この連載で批判し続けてきた東大大澤昇平氏が、本日12月1日午後1時過ぎに謝罪した。

何度も書いてきた通り、東大教員として差別を煽動した責任は甚大だ。大澤氏は自分が行った差別の効果、差別を煽動した社会的効果に対して責任ある積極的な行動をとらねばならない。

しかし残念ながら大澤氏の謝罪は全く不十分だ。

だが考えるべきは、大澤氏の謝罪の不十分さは、大澤氏のツイートについての東大情報学環長の声明と謝

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大澤昇平東京大学特任准教授のヘイトスピーチ(4)マネックスグループ「寄付講座担当特任准教授の不適切な書き込みに関する見解」について

※大澤昇平氏の差別については下記の連載で問題点を解説しています。
※この記事は昨日11月24日夜に書いたもので「本日」となっているのは24日です。

2019年11月20日に大澤昇平氏(東京大学特任准教授)がツイッターで自社では「中国人は採用しません」などのヘイトスピーチを流布した問題が大きな批判を浴び、関係各所から迅速な動きがでている。

今日午後に公開した前回記事で書いたが、本日11月24日付

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東大特任准教授大澤昇平氏のヘイトスピーチ(3)「学環・学府特任准教授の不適切な書き込みに関する見解」が悪質な日本型謝罪になっている理由

東大特任准教授である大澤昇平氏が、ツイッターで「中国人は採用しない」(2019年11月20日)等とヘイトスピーチを拡散している件で、多くの人が抗議の声を上げていた。

それを意識してであろう、本日11月24日付で、大澤氏が所属する東京大学情報学環・学祭情報学府(以下、情報学環)の長である越塚登氏の名で、「学環・学府特任准教授の不適切な書き込みに関する見解」というコメントが発表された(以下、「見解」

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東大特任准教授大澤昇平氏のヘイトスピーチ(2)AIによって差別やヒトラーを正当化する危険性

昨日急いで書いた緊急提言の記事がよく読まれている。

上の記事で書いた通り、大澤氏は自分の会社では「中国人は採用しません」などとツイッターで公言した。東大特任准教授という権威ある肩書で露骨に差別発言を、しかも全世界に向けて発信していたわけだ。

当然のように批判が殺到しつつある。

だが、大澤氏の差別や問題発言はまだまだある。多すぎてすべて紹介しきれないが、看過できないほどの危険性がある。

その

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【緊急提言】大澤昇平東京大学特任准教授が「中国人は採用しません」とヘイトスピーチを拡散しているのは東大の責任です

東大の特任准教授である大澤昇平氏が、極めて深刻な差別をツイッターで連発している。看過できないほど酷い内容なので、緊急にブログで発信することにする。

〔11月24日加筆:一連の記事をマガジンにまとめましたので、こちらもご覧ください。〕

〔11月26日加筆:末尾の提言に加筆しました。〕

大澤昇平東京大学特任准教授がおこなったヘイトスピーチまず大変酷い内容だが、ツイートをみていただきたい。

大澤

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日本型謝罪テクノロジー(7)大坂なおみ氏を差別した芸人Aマッソらの謝罪を検証してみると

報道によると、去る9月22日東京で開かれた「思い出野郎Aチーム presents ウルトラ“フリー”ソウルピクニック」なるイベントで登壇したお笑いコンビAマッソが、大坂なおみ氏の肌の色(人種)をネタにした差別を行いました。そして2日後の24日に、Aマッソと所属事務所のワタナベエンターテインメントはサイトで謝罪文を公表しました。

加害者やその所属企業が素早く謝罪したことは評価すべきでしょう。しかし

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日本型謝罪テクノロジー(6)『週刊ポスト』の差別煽動を許した、2018年に休刊した『新潮45』の日本型謝罪の検証

この連載では、『週刊ポスト』9月13日号が部数アップのため、嫌韓ネタで差別煽動広告を出した事件をたびたび批判してきました。

『週刊ポスト』には、直後に作家が週刊ポストへの寄稿を拒否するという形で抗議の意思を示したり(三回目の記事)、9月5日に小学館本社前で抗議デモが行われる(神奈川新聞記事)など、差別を批判する動きが様々な形で出てきました。しかし『週刊ポスト』側は、9月2日にとりあえずアタマを下

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日本型謝罪テクノロジー(5)新聞労連「「嫌韓」あおり報道はやめよう」声明は政治家の差別煽動に対抗できるか

9月6日に新聞労連(日本新聞労働組合連合)が「「嫌韓」あおり報道はやめよう」という声明を出しました。

他国への憎悪や差別をあおる報道をやめよう。
国籍や民族などの属性を一括りにして、「病気」や「犯罪者」といったレッテルを貼る差別主義者に手を貸すのはもうやめよう。

という書きだしてはじまるこの声明は、明確に差別煽動を非難しています。この声明は高く評価できる点があります。と同時に、この声明だけでは

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日本型謝罪テクノロジー(4)─謝罪になってない、少女像に関する黒岩祐治神奈川県知事の「誤解を与えた」お詫び発言の悪質さ

日本型謝罪テクノロジー(4)─謝罪になってない、少女像に関する黒岩祐治神奈川県知事の「誤解を与えた」お詫び発言の悪質さ

TBS系のTV番組ゴゴスマや『週刊ポスト』の極めて形式的な「お詫び」を批判した、日本型謝罪テクノロジーの解説記事を、下記マガジンでまとめています。過去記事を読めます。

さて、昨日9月3日に黒岩祐治神奈川県知事が、あいちトリエンナーレで展示中止となった日本軍「慰安婦」被害者をモデルにした少女像について行った自身の発言について、「お詫び」しました(下記記事)。

しかし後述のとおり、この「お詫び」は

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日本型謝罪テクノロジー(3)作家の書くべき/書くべきでないの2択ではない、第3の選択肢=『週刊ポスト』の表現の自由を守る差別禁止ルールを

日本型謝罪テクノロジー(3)作家の書くべき/書くべきでないの2択ではない、第3の選択肢=『週刊ポスト』の表現の自由を守る差別禁止ルールを

初回の記事では、武田邦彦氏らの差別をそのまま報道したゴゴスマの形式的な謝罪を取り上げました。

昨日の第二目の記事では、嫌韓差別煽動の批判を受けて急きょ出された『週刊ポスト』の形式的な謝罪を取り上げました。

おかげさまで好評です。ありがとうございます。

そんななか、本日9月3日も、神奈川県の黒岩知事が次のような謝罪を行いました。

「誤解を与えおわび」というのは、昨日の記事で批判した『週刊ポス

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責任逃れのための日本型謝罪を見破る方法──ゴゴスマのヘイトスピーチについての謝罪を例に

責任逃れのための日本型謝罪を見破る方法──ゴゴスマのヘイトスピーチについての謝罪を例に

TBS・CBC系の情報番組「ゴゴスマ~GoGo Smile(以下・ゴゴスマ)」の8月27日の放送で、中部大学の武田邦彦教授が「日本男子も韓国女性が入ってきたら暴行しにゃいかないからね」等と、韓国人女性へのヘイトクライムを煽動する深刻な差別がありました。ゴゴスマを即日打ち切りにすべき深刻な犯罪教唆です。

そしてSNSなどで大きな批判を浴びたゴゴスマは、当初謝罪しないと言っていたものの一転、8月30

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『週刊ポスト』の日本型謝罪に騙されないように──日本型謝罪テクノロジー(2)

『週刊ポスト』の日本型謝罪に騙されないように──日本型謝罪テクノロジー(2)

『週刊ポスト』が9月13日号に「韓国なんて要らない!」などという特集を組みました。表紙の見出しには堂々と次のように書いてあります。

・「嫌韓」ではなく「断韓」だ 厄介な隣人にサヨウナラ
・「10人に1人は治療が必要」(大韓神経精神医学会)──怒りを抑制できない「韓国人という病理」
(週刊ポストツイートより。閲覧注意)

後述する通り、これは人種差別撤廃条約に違反する、極めて深刻な差別煽動です。

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