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ヘイトとしての「慰安婦」問題(2)―杉田水脈議員が私のブログを拡散し深刻な差別を誘発してます


※本記事は差別を記録・公開するために差別表現をそのまま引用している箇所があります。閲覧時にはご注意ください。

杉田水脈議員が5月29日に国会で非常に悪質なヘイトスピーチを行ったことを、5月30日深夜に下記の記事で書きました。この国会答弁は非常に悪質な差別を煽動する危険があると考えたため、急いで書いたのです。幸い多くの反響を頂きました。

ところで杉田水脈議員も、この私の記事を、フェイスブック(FB)とツイッターで拡散したのです。恐ろしいことにこれが深刻な差別を煽動しています。

杉田議員の今回の拡散が引き金となり、極めて深刻な差別が煽動されている恐ろしい実態について

以下記録を兼ねて報告します。

杉田議員が拡散したのは、昨年休刊となった『新潮45』でセクシュアルマイノリティへの差別記事を書いた小川榮太郎氏のフェイスブック(FB)ページです。小川氏が私の記事をシェアしたFBページを、杉田議員自身のFBページで紹介し、またそれをツイッターで拡散しているのです。

記録もかねて画像を張り付けておきましょう。

これにより、どのような差別が煽動されているか。

まず、両者のFBページのコメント欄からみていきます。

1.杉田水脈議員のFBページの差別煽動の事例

「いいね!」が378件、コメントが14件、シェアが15件(6月4日午前2時13分現在。以下同)。

次のようなコメントが並びます。上から2番目、一番下が非常に悪質です。

矢野 仁美 これは酷い。この梁英聖という人物は何者?
杉田議員は真実を述べているだけなのに、どうしてもヘイトスピーチの持って行こうとする反日的な人。最低だな。

私を「反日的な人」と誹謗しています。私が朝鮮人だから、とは明言していませんが文脈上、私の出自が「反日」と結びついているように読めてします。

杉田議員は、このコメントを①即時削除すること、②「反日」と誹謗するのをやめよと呼び掛けること、③「反日」と朝鮮人という出自を結び付けるのに反対すること、というFBページ管理者としての責任があります。議員としてならなおさらです。

さて、一番下のコメントは非常に深刻です。

本間 一将 先のLGBT発言は先生は正しい事を言っているホモ風情が自由への挑戦…挑発…賛否はあってもいい…しかし同性愛者が気持ち悪いと感じる人の方が多数だ…選挙で白黒つけたいところです。

まぎれもない差別です。①「ホモ」なる差別語を使っている時点でアウトですし、②「ホモ風情が自由への挑戦」などという表現で明確にゲイが不平等に扱われて当然だという差別を行い、さらに③「同性愛者が気持ち悪いと感じる人の方が多数」という言い方でセクシュアルマイノリティへの偏見を助長しているからです。しかも④選挙で差別を正当化しようというメッセージもある。

杉田議員は、①このコメントを即時削除すべきですし、②直ちにFBページでセクシュアルマイノリティへの差別に反対するべきです。私人としてFBページ管理者の責任としても、議員としても。

しかしこのコメントはハッキリと「先のLGBT発言は先生は正しい事を言っている」と書いています。これは①杉田水脈議員の『新潮45』での記事が紛れもない差別煽動効果を持っている証拠です。政治家の差別は、かならず市民社会の差別を煽動します。それは月日が経ってもSNSがある以上、瞬時に再生産されます。

それに加え、この差別コメントは、②公人の差別が庶民の差別の正当化根拠として使われる証拠でもあります。政治家の差別は庶民の差別にお墨付きを与えるのです。

杉田議員は、一刻も早く、FBページでコメントを削除、差別に反対しなければなりません。対処しないならば、差別を確信犯的に煽動しているとみなされても、まったく文句は言えないでしょう。

2.小川榮太郎氏のFBページの差別煽動の事例

「いいね!」518人、コメント29件、シェア82件。

コメントには次のようなものがあります。

・杉田水脈議員が煽動した科研費バッシングがこのようにコメント欄でも私を攻撃するために使われるのです(※私は日本学術振興会特別研究員であり科研費で研究しています)。

・私の顔写真をネットでひろって晒す人物もいます。

一橋大学百田尚樹講演会事件でのデマと差別がここでも再生産されています。講演会は自主的に主催者が中止したので、私が「潰した」事実はない。

ほかにも次のような事例があります。

木下 隆義 こいつ差別で飯を食っているやつです。

「差別で飯を食っている」というのは私に対する誹謗ですが、これは杉田議員が反差別運動を被害者ビジネスだと誹謗しているのと同じロジックです。たとえば次の杉田議員のツイート。

あるいはこちらの記事など。

このように杉田議員の差別のいままでの蓄積が、今回庶民の差別として再生産されているのです。

それから科研費バッシングを使った私への攻撃もあります。

木下 勝世 これは大変、文科省の責任問題が浮上しますね。前川の処分も放り出したままですが、本当に反日リベラル左翼の巣となっているのではないか。

これも杉田水脈議員が「慰安婦」問題に関わるフェミニズム研究者を、科研費を不正に反日活動に用いているなどとデマで誹謗中傷したことを使って、私を攻撃しているわけです。

(だからこそ、牟田和恵さんや岡野八代さんが杉田議員を訴えた「フェミ科研費裁判」(下記のリンク先)は非常に重要な裁判です。杉田議員の差別煽動活動に歯止めをかけることができるからです。もし岡野さんたちが訴えてくれていなかったら、いまごろもっとひどいデマで私も攻撃されていたでしょう)

まだあります。今度は朝鮮人は出て行けというヘイトスピーチ

大野功 韓国と国交断絶すれば、この人のように反日のプロパガンダに凝り固まった韓国人には、日本から出て行ってもらえるのでしょうか?
日本国内に、日本や韓国や中国など国籍は様々ですが、日本を貶めることだけを狙って言論活動をしている多くの人がいるという状況をなんとかしないといけないと思うのでした。

これはヘイト解消法にさえ違反する悪質なものです。さらに、

林 正二 ただの売春婦の話が何故ここまで盛り上がるのか?分からんこの馬鹿親父をヘイトで訴えたら杉田水脈さん。

日本軍性奴隷制被害者への中傷であり、同時にセックスワーカーへの差別です。

そして、

Kuri Matsumoto この梁某は百田先生の講演を妨害した活動家ですね。
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/1012679728354869248

百田尚樹講演会事件のデマがまたもや再生産。このリンク先はもちろん百田尚樹氏です。

これだけではありません。杉田議員はこれをツイッターでも拡散しています。

3.杉田水脈議員のツイッター拡散による差別煽動の事例

これは冒頭に挙げたツイートです。

74 Retweets 300 Likes

上のツイートにぶら下がる形で、次のようなツイートが誘発されています。

4.杉田水脈議員は無言のシェアとツイートだけでこれほど差別を煽動できたということ

以上、やや詳しく事例をみていきました。

何が言いたいのかというと、杉田水脈議員の国会答弁は、これぐらいの差別を誘発・煽動する力がある、ということです。

注意してほしいのは、今回の杉田議員のFBページのシェアとツイートでは、彼女自身は一切無言だった、ということです。無言で単に小川榮太郎氏の次のページをシェアし、それをツイートしただけで、これだけの差別を誘発することができたのです。

じつは小川榮太郎氏がFBページで私の記事をシェアした時に書いていたことも、大したことではありません。次のように書いています。

凄いものを見つけました。
杉田水脈さんが「日本軍「慰安婦」が「性奴隷ではない」というヘイトスピーチを行っている。」との事です。
しかし慰安婦は性奴隷でないとは日本政府見解です。ヘイトスピーチを行っているのは日本政府ということになります。
筆者の梁英聖 氏は日本学術振興会特別研究員だとの事。

これだけです。このコメントつきで、私の記事をシェアしているだけです。

以上です。

怖いと思いませんか? 単に私の記事をコメント付きでシェアするだけで、あるいはそれをコメントなしでシェアしツイートするだけで、おそらく軽く数千人以上の人に閲覧させ、この記事で紹介したような悪質な差別の引き金を引くことができるのです。

つまり、今回の杉田議員の私の記事の拡散による差別煽動は、考えられうる限り最も「穏健な」差別煽動だったといえるわけです。もしこれが、次のような条件がそろっていた場合、質的にも量的にも比べものにならないぐらいに差別の大連鎖・大増殖が起きていてもおかしくはないのです。

①もっと過激な差別表現やあるいは扇情的なアジテーションとともに拡散されていた場合

②情勢的に、たとえば徴用工問題などの日韓関係が急激に悪化した時や、深刻な差別事件が発生した時だった場合

③杉田議員だけでなく、もっと他の極右議員や政府がより積極的に差別を煽動していた場合

④議員だけでなく、在野の極右活動家が差別暴力やヘイトクライムを頻発させていた場合

⑤大地震や集中豪雨などの災害や、領土紛争が起きていた場合

私は考えただけでもぞっとします。

最後に。

杉田水脈議員に呼びかけます。

前述のとおり、杉田水脈議員は、

①フェイスブックにある差別コメントを即時削除すべきです。

②直ちにFBページとツイッターで、朝鮮人差別やセクシュアルマイノリティへの差別に反対するべきです。(私人としてのSNSユーザーの責任としてもそうですが)議員として絶対にやらなければなりません。

この2つをやらない限り、杉田水脈議員は確信犯的に差別を煽動しているとみなされても一切文句は言えません

③さらにこれは杉田議員ではありませんが、杉田議員と差別コメント主に発言機会を与えているフェイスブックとツイッターは一連の差別コメント・ツイートを削除すべきです。対処はアカウント凍結も含めるべきです。

もし読者に余裕があれば、ぜひここに挙げた差別が、杉田水脈議員によって、あるいはフェイスブックやツイッターによって、どのように対処されるのかを監視し、その記録をSNSで拡散してください。それが最も手軽に差別と反差別を「見える化」させるヘイトウォッチ活動です。

とりいそぎ報告まで。

※下記学習会行います。

【ARIC学生向け公開学習会】


テーマ:ヘイトスピーチとしての「慰安婦」問題にどう対抗したら良いのか
日時:6月16日(日)17時半〜
場所:代沢地区会館第1会議室(下北沢駅徒歩)

日本軍「慰安婦」問題をテーマに、学生向けの公開学習会を開催します。
興味のある方は是非お越しください。

当日は「慰安婦」問題の基本的知識だけでなく、「慰安婦」関連のヘイトスピーチの実態と、それにどう対抗できるかを学びます。

去る5月25日、早稲田大学でジャーナリズム研究所と共催で、
「杉田水脈問題とは何だったのか? ――日本軍「慰安婦」問題への「反日」バッシングからLGBT差別まで」というシンポジウムを開催しました。

今回の学習会では、このシンポジウムでの議論をもとに、杉田水脈議員らによる「慰安婦」ヘイトに対し、どのようなことができるかをARICとして提案いたします。

映画 #主戦場 を観たみなさん、
杉田水脈議員の日本軍「慰安婦」ヘイトスピーチをどうにかしたいと思うみなさん、

ぜひお越しください。

※参加される方は、資料印刷の関係上、できれば事前にご連絡ください。
contact@antiracism-info.com (ARIC)



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