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数十年の時を超え、選名由来に思いを馳せる。

すっかりいいオッサンとなって久しい私にも勿論、無垢な赤子の頃があった。
今もその面影が有るのか無いのかは客観的な分析を要するが、実に可愛らしい、正に「珠のような」という形容詞が似合う赤ちゃんであったことに間違いはない。
それは、両親が残してくれた当時のアルバムを見れば立ち所に判る。

そのアルバムの分厚い表紙を捲るとその裏に、私のリアルネームの選名由来の書が貼り付けられていた。
聞くところによると生家の近所の寺院に名だたる先生がおられて、私の祖父がその先生に選名を依頼したとのこと。

しばしの時が流れてその祖父も他界し、当時まだ実家ぐらしだった若かりし頃の私は、アルバムに貼られたその書をみて「ははぁこれは大層な期待が込められた名前だったのだなぁ」ぐらいにしか思っておらず、インターネットなんぞ無かった事もあって字義出典をググる事も無いまま徒に時は過ぎ、故郷を遠く離れた関東の地で平成最後の年を迎えた。

そう、平成最後の年の大きなトピックは「改元」、つまり次の元号として「令和」が選ばれた、というのはまだまだ記憶に新しいところ。
そして「過去の元号は中国の古典が出典云々」と報じるニュースを見て、長く忘れていた極めてパーソナルなことがふと頭に浮んだ。

「そうだ、選名由来の字義出典について、今こそ調べてみよう」

思うやいなや、実家の母からアルバムを送ってもらい、改めて選名由来の書をマジマジと見てみる。ついでにスマホのカメラで電子化してevernoteにも放り込んでおく。
字義出典として2行15文字で表わされた漢文の、その出典は「漢書」。

漢書?
・・・え、漢書って、あの漢書?

早速ググる。
さすが現代社会、思ったとおり漢書の原文がデジタル化されWikisourceに登録されていることがわかったので、いそいそと漢書内で全文検索を試してみるも、字義に該当する箇所は見つからず。

あれ?
・・・か、漢書って単に「漢の書物」ぐらいの意味かな?

などと思いレンジを広げて色々と検索を繰り返したところ、字義の後半8文字の「家宰掌邦治統百官」はヒットする書物が幾つか出てくるものの、つぶさに見ていくとどうも漢文的に「よくある言い回し」っぽい雰囲気も有るような無いような。

取り敢えずの結論:
字義に完全マッチする書物はインターネット上では見つからず。少なくとも所謂「漢書」のデジタルデータ上では該当する行は見つけられない。

・・・まぁ、この結果を「なんてこった!はめやがったな(略)」と捉えるか、「万物の全てをインデックス化しようなんて、おこがましいとは思わんかね」と本間先生を気取ってみるかは判断が難しいところだが、さておき、産まれたばかりの私を取り巻く家族一同が、この選名由来の書を見ながらその名前に大きな未来を感じていたんだなぁ・・・と思えば今更ながら身が引き締まる。いや、身を引き締めざるを得ない。

余談。
実は、私と全く同姓同名、漢字も全く一緒の「人生の先輩」が少なくとも1名居られることが、ググった結果判明している。
ご存命であろうその方に是非一度聞いてみたい。

「貴方のお名前の由来ってご存知ですか? 私はと言うと・・・」

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