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幸福になるためのポイントカード

岡田斗司夫『評価経済』
橘玲『幸福の資本論』
アダム・グラント『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』

この3冊から示唆を受けた自分の考察をメモしておく。

「評価」の時代

歴史を振り返ると「モノの時代」「お金の時代」「評価の時代」と名付けることができる。
現代は「評価の時代」である。

「評価」が、口コミサイトのレビューやSNSの「いいね」「フォロワー数」などで「可視化」されることで、より明示的なものとなった。

「評価」の時代をもっとも端的に表すのは「フォロワーをお金で買うことはできない」だろう。

「お金持ち」よりも、インフルエンサーやユーチューバーが「かっこいい」と感じる時代とも言える。

幸福の資本論

この本の要旨は3つである

1.人間には金融資産人的資本社会資本の3つの資本がある。
2.この3つの資本のポートフォリオによって「幸福のかたち」が決まる。
3.各資本は「投資」することによって、別の資本へと変換可能である。

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金融資産…簡単にいうとお金のこと
人的資本…働いて稼ぐ能力(健康、体力なども含まれる)
社会資本…家族や友人などの「つながり」、ビジネスの「人脈」など

これまで可視化されていない評価(周りからの信頼や評判)というものは「社会資本」に含まれるものだったと考えられる。

そこにSNSなどの「可視化された評価」が加わった。これは社会資本に含んでもいいが、別途「評価資本」と名付けて、「第4の資本」と考えたいというのが僕からの提案である。

心のポイントカード

金融資産は基本的には「貨幣」で数量化できる。預貯金も有価証券も不動産もクルマも「金額(時価)」に換算できる。

人的資本というのも「お金」で算出しやすそうである。社会資本も、金融資産や人的資本の代替となる場合があるので「金額」に直すことはできる。

しかし、これらの資本が最終的に達成すべき目的は「幸福」である。お金がたくさんあっても「幸福」にならないように、これらの3つの資本を「貨幣」という共通尺度にしてしまうのは、センスがないと、個人的には考える。

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僕個人は、これらの資本を便宜的に数量化する場合「心のポイントカード」と呼んでいる。

金融資産であれば1ポイント=1円と考えてもいいかもしれない。人的資本や社会資本の場合は、各々が自分の「資本」をどのくらいあるか「ポイント化」してみるといい。

人生の目的が、「幸福」であるとすれば、仮に「1時間を幸福に過ごせるポイント数」を考えてみればいい。

金曜日の夜、1時間を幸福に過ごす方法は人それぞれだろう。豪華な食事を1人で食べてもいいし、友人たちと公園でおしゃべりするだけでもいい、会社に残って残業することが「幸福」な人もいるかもしれない。その「幸福な1時間」を過ごすとき、僕らはどの資本のポイントを消費(投資)しているのだろうか、と考えるといい。

友達との約束を破れば「社会資本」のポイントは減る。
健康に気遣い、体力を増進すれば「人的資本」のポイントは増える。

そんな感じだ。

第4の資本「評価」も増やしたり、消費したり、投資したりできる。
フォロワーにモノを売って、お金(金融資産)にすることもできるし、フォロワーさんから仕事のパートナーや友人、恋人に出会うことだってある(社会資本)。SNS上でフォロワーと交流すること自体が「幸福な1時間」かもしれない。

逆に、 YouTubeなどSNS上で仕事のスキルを公開することで「評価」を得ることもできる。ミスコンで優勝する、コンテストで賞を取る、テレビに出る、など何かで実績を出したり、有名になることで、その「評価」はSNSのフォロワー数やいいね数にフィードバックされる。リアルの友人関係をSNS上のフォロワーやいいねに変えることもできる。

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つまり、これらの4つの資本は相互交換(投資)可能なのである。

自分はどの資本をどのくらい持っているのか?
どの資本を使って、どの資本を増やし、そして最終的な「幸福のかたち(ポートフォリオ」はなんなのか?を意識して生きていくことが「戦略的生き方」と言える。

ギバー、テイカー、マッチャー

アダム・グラント『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』では「他者志向のギバー」こそ大成功する、という強いメッセージが書かれている。詳細は、本書を読んで欲しいのだが、僕なりの「重要ポイント」を下記にまとめておく。

・自己犠牲的ギバーは不幸になる
・テイカーは短期的には成功しやすい
・他者志向のギバーとは
 →全体のパイが増えるよう行動する
 →自分にとって減らない(豊富にある)資本でかつ相手に不足している資本をギブする

いくつか注釈を加えておきたいのだが、

「テイカーは短期的には成功しやすい」…これは社会というものが、どんなにキレイごとを並べても結局は弱肉強食の社会であるためしかたがない。
実力がなければ、その仕事や分野で成功することはできない。これは人格や努力とは関係なく、厳然として存在する事実である。簡単に言えば「いやなやつほど出世する」というのは、認めたくない事実だが、ままあることである。

他者志向ギバーは「全体のパイが増えるよう行動する」…いわゆるWin-Winの関係。会社や部署であれば、自分の営業成績だけを増やすのではなく、会社やチームの成績全体をアップさせることで、個々人全員もプラスになるように働きかけることだ。理想と言える。

「自分にとって減らない(豊富にある)資本でかつ相手に不足している資本をギブする」これは、前述した「4つの資本」で考えるとわかりやすい。というか、このブログの一番言いたいこともここである。

誰かに何かをギブするときに「心のポイントカード」を思い浮かべるのだ。自分が豊富に持っているポイントは何か?お金か?体力か?仕事のスキルか?顔の広さか?気の合う友人か?である。

自分にとって豊富な資本を誰かにギブする。
短期的な見返りは求めず、気長にギブする。
ギブすること自体が苦にならない(もっと言えば、楽しいと感じられる)ギブをする。

そのギブは「評価」や「信頼」「信用」として蓄積されていく。SNSなどの可視化された評価にすぐにはフィードバックされないだろうが、まあそんなことも気にしてはいけない。

「まあ、最悪、お返しされなくてもいいや」と思えるポイントや量を、ギブし続けるのだ。ただし、相手が自覚的(or無自覚的)テイカーと気づいたらドライな関係にすることを忘れずに。

まとめ

・現代は、評価が可視化された「評価の時代」である。
・金融資産、人的資本、社会資本、そして評価資本がある。
・この4つの資本を投資して「幸福のかたち」となる最適なポートフォリオを育てることが人生の目標である
・「他者志向のギバー」こそ人生の成功者である
・誰かに何かをギブするとき、4つの資本(心のポイントカード)を意識する


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