【実録】サンフランシスコで10ドルをケチったせいで、事件に巻き込まれ、危うく死にかけた話(前編)


This is America. アメリカ・サンフランシスコで、10ドルをケチったせいで、まさか事件に巻き込まれ、死にかけることになるとは思ってもみませんでした―――

アメリカで過ごした今年の夏休み

 2018年9月。 アメリカ・サンフランシスコ。

 この時期のサンフランシスコは、夏と秋が同居していて、天気が良ければ昼間は半袖で十分過ごせるけれど、夜は羽織るものが欠かせません。僕は慌てて、現地で長袖シャツと長ズボンを買い、東京よりも早く、秋の訪れを感じていました。

 そんな、アメリカで過ごした今年の夏休み。その最終日。日本に帰国するために、僕はサンフランシスコの空港へ向かいました。


 前々日に友人たちと現地で別れ、この日は1人での移動。かつ、早朝、午前6:30発のフライトだったこともあり、ライドシェアサービス「Uber(ウーバー)」を使って、車で空港まで向かうことにしました。


 Uberは、スマホで予め行き先を指定すれば、運転手が迎えに来てくれて、その上アプリ内で決済まで行ってくれる配車アプリで、タクシーよりも格安で便利なだけでなく、一般の方もドライバーになれることから、世界各国で普及しています。スマホさえあれば、言葉が通じなくても、確実に目的地まで、かつ明朗会計で届けてくれるため、旅先では欠かせません。さらにUberの中には、タクシー同様のサービス「UberX」と、さらに格安の"相乗り"のサービス「POOL」があります。

 スマホでアプリを起動し、目的地をサンフランシスコ国際空港にセット。すると、すぐに値段が表示されます。見たところ、ホテルから空港までは通常のUberXだと30ドル、相乗りのPOOLだと20ドル。時間はPOOLの方が5分多くかかる程度で、さほど変わりません。

 思ったより早く荷造りができ、時間に余裕もあったので、10ドルお得な、相乗りのUber POOLで空港へ向かうことにしました。以前に別の国で深夜 POOLを利用した際、ノリノリのお姉さんたちが乗ってきて、一緒に車内で大合唱をして盛り上がったりしたこともあったので、少しよこしまな気持ちもありました。


僕が泊まった街、ドヤ街 "テンダーロイン"

 僕が泊まっていたアルドリッチホテルは、サンフランシスコのテンダーロインというエリアにあります。


 テンダーロインはサンフランシスコの繁華街のすぐ裏にあり、街の中心・ユニオンスクエアから徒歩5分もかからず行けるエリア。一方で、そんな便利なエリアにも関わらず、実はサンフランシスコ一治安の悪いエリアでもあります。テンダーロインには、たくさんのホームレスが暮らしており、路上でガラクタとも見て取れるようなものを売ったりして生計を立てています。日本でいうドヤ街でしょうか。

 とはいえ、高級ホテル・ヒルトンホテルの真裏からテンダーロインは広がっているため、ドヤ街ではあるのですが、意外と一般の人が行くようなレストランやバーもあったりして(ミシュランガイドに載るお店もある!)、ホームレスの脇を一般の人が歩いている光景が日常です。しかし、よく観察してみると、彼らの足取りは心なしかいつもより速く感じます。

 僕の泊まったアルドリッチホテルも、テンダーロインの真ん中にあるため、ホテルの入口はホームレス対策で常に鍵がロックされていて、ブザーを鳴らして扉を開けてもらうシステム。場所は圧倒的に良くないのですが、1泊12,000円程度でシャワー付の個室に泊まれます。一見高く感じるのですが、サンフランシスコの中では安い方。サンフランシスコに来る前からテンダーロインのことは知っていましたが、「寝に帰るだけなら安いホテルでいいか」と思い、Webサイトで予約しました。

 とはいえ、そんな地域に泊まったので、せっかくなら……と思い、滞在期間中、朝、夜とそれぞれでテンダーロインを散歩してみました。


 朝のテンダーロインは早くから目覚めます。日の出してすぐの時間でもホームレス達は起きて談笑しており、そこはゴミとマリファナの香りが充満しています。散らかったゴミをハトが荒らし、それを誰も掃除することはありません。そして時々鳴る、パトカーのサイレン。

 一方、夜のテンダーロインは遅くまで眠りません。そして怪しさが格段に増します。週末は深夜になっても人々は家には帰りません(家が路上なので当然かもしれませんが)。謎の取引をしている人、売春婦、お金を恵んでくれと話しかけてくる人、酔っ払って口論をしている人、明らかにドラッグ中毒の人。本当にいろんな人がいます。そして朝より頻繁に鳴る、パトカーのサイレン。

▼朝のテンダーロイン。ホームレスが集まって談笑している。

 これがテンダーロインの日常です。気がつくとサイレンが聞こえる街ですが、歩き回ってみると、安くて美味しいレストランにも出合います。バインミー(ベトナムサンドイッチ)、アメリカ南部料理、そしてラーメン……もちろんホームレス向けではなく一般の人向けに営業しているのですが、人気のお店は常に満席。夜のドヤ街に行列ができるお店すらあります。

 街を歩いていても、ホームレスは、話しかけてきたりはしますが、別に僕ら一般人に危害を加えてくるわけではないので、普段通り振舞っていれば危ない目に遭うことはありません。だから、地元の人達も街を歩いているのでしょう。

 このような感じで、ある意味、現地の人々の生活に触れられて、だんだんこの街のことが好きになってきました。そのようなことを感じながら、僕は無事、旅の終わりを迎えようとしていました。ホテルを出る前までは。


空港に向かう途中で現れた、望まぬ客

 帰国の日、午前3:30。

 スマホに通知が来て、相乗りのUber POOLで配車した車が、アルドリッチホテルの前に到着しました。停まったのは、白のトヨタ・カローラ。深夜のテンダーロインゆえに、念のため、外に出る前に窓から近くにホームレスがいないのを確認。それからホテルを出て、ナンバープレートを確認して、車の扉を開けます。

 運転手に名前を告げて軽く挨拶をしたのち、荷物をトランクに積み、乗車。僕は助手席の真後ろの座席に座りました。相乗りサービスのため、同じくサンフランシスコ国際空港に向かう女性を近所でピックアップして、空港に向かうとのこと。運転手曰く、順調に行けば、午前4:00過ぎには空港に着きそうです。


 午前3:35。アルドリッチホテルから3分ほど走ったところで、車は停車。スマホで地図を見ると、ちょうどテンダーロインの端あたりのようです。深夜のテンダーロインでも、さすがにこの時間になると人の数はまばら。相変わらず、どこかからかパトカーのサイレンは聞こえますが、ここまでくると、ほとんどホームレスもいないようでした。

「ガチャッ」

 停車して1分も経たないうちに、助手席の扉が開きました。相乗りの女性が着いたのでしょう。僕はスマホをイジるのをやめて、どんな女性が乗ってくるのかと期待に胸を膨らませながら、顔をあげました。しかし、期待で緩んでいた僕の顔は、一瞬で凍りつきます。


 そこに立っていたのは、なんと男性。それも、どう見てもその彼はホームレスだったのです。


中編へ続く)


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ワールドシューマツレポート

平日は広告代理店で働くかたわら、週末で世界中を旅する「リーマントラベラー」である著者の、日本では味わえない”非日常な週末”をまとめた旅行記です。
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