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旅は自分に続いている【旅が僕らに教えてくれたこと#7】

中村隆広(会社員)

旅が教えてくれたこと、というテーマ。

体験を言葉にしてこなかった自分にとって、結構ハードルが高いものです。

自分の経験から学んだこととしてパッと浮かぶのは

・フランス人とドイツ人はどこにでもいる。前者はグループ。後者は単独が多い。
・英語で話し掛けてくるタクシードライバーは要注意。ほぼボラれる。
・写真はなるべく日本人に頼もう。西欧人は構図とかわかってくれない。

といったことだが、テーマとしてそういうことではないと思います。

そこで、「今までの旅での変化」について、自己分析をして見ながら、結論を書き出してみようと思います。

自己分析① 繰り返す「どうしよう」

旅を重ねるごとに、便利な旅行に満足出来なくなっていた。

ガイドブックやスマホを見れば、観光地にたどり着くことも容易だし、観光大国に行けば、英語ですら話さない日も珍しくない。

要するに、”日本と同じ”ってことに耐えられなくなったのだ。

その反動からか、あまり普通の人が行かないような国を選ぶようになったのかなと思う。

現地でSIMカードを購入したことはないし、現地で会う日本人に積極的に関わるようなこともしなくなった。

なぜそうなったのか?

おそらく、私は、旅の「不便さに惹かれている」と言うことなのだと思う。

ネットが使えない。行きたい場所が伝わらない。ガイドブックが嘘つきだった―――。

そんな時は、笑えないガチの「どうしよう」状態で、心臓の音が聞こえるくらい動悸が上がっている。予約した宿が見つけられないことが多い旅行初日には、「帰りたい」病に毎回陥ってしまう。

但し、よーーーく考えてみると、そんな状況を作り出しているのは、自分自身。何度も繰り返しているのも、自分自身。

きっとわこの「どうしよう」の連続が、旅のバイタリティになっているんだろう。

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自己分析②自分だけの過程を楽しむ

なぜ「どうしよう」状態に、バイタリティを感じるのか。

「どうしよう」状態になった後には、必ず自分の「決断」が必要になる。

その決断の一つ一つが、振り返ってみると、ガイドブックや旅ブログには載っていない”自分だけの過程”だ。

カザフスタンからキルギスへ、マルシュルートカ(乗合タクシー)で国境越えをしようとしたとき、イミグレを抜けた後、乗っていた車に置いて行かれたことがある。

この時は、「どうせ首都に向かっているから、”ビシュケク(キルギスの首都)”と周りの人に言えばどうにかなる!」と、言葉を伝える準備を怠ってしまっていた。

ところが、誰に聞いても、意図が伝わらない。

次々に各々の車に乗り込んでいき、少なくなる人を見て、焦りが出てきた。

すると、一人のロシア風の金髪男性が、英語で「タダで送ってあげる」と声をかけてきた。これも何かの縁かと思い、喜んで甘えるようにした途端、別の男性が彼との間に立ち塞がった。

彼は、私を指差し、自分を指差し、ハンドルを回すジェスチャーをした。

「君 私 車を運転」 = 君は私と来るんだ!

私の下手な〝ビシュケク〟のイントネーションより、ずーーーーーっとわかりやすい意思表示。

彼の名前はベビ。生まれつき耳が聞こえない人だった。

過去に、甘い言葉に乗せられてクレジットカードを抜き取られている経験から、ベビの申し出を選ぶことにした。

後からわかったのだが、最初に誘って来た男は、国境付近で常習的に暴漢を働いていたらしく、ベビ自身も被害者だったとか。私が助けを求めている様子を見て、駆け寄ってくれたのだった。ベビには日本人宿に送ってもらった。

言葉にすれば、国境を越えただけの話だが、「どうしよう」から自分の決断を経ることにより、自分だけの過程が出来上がる。

この過程を楽しむことこそが、旅の目的なんだなと思う。

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自己分析③リーマントラベラースタイル

仕事を辞めて世界一周をし、旅に区切りをつけるという人はたくさん見て来た。そんな風にいつか自分も……と考えたことも、かつてはあったが、今はない。

これも旅で教わったことだが、自分が外部の刺激に弱く旅不感症に陥りやすい体質だからだろう。

※旅不感症・・・絶景や初めての土地に感動を覚えなくなる症状

自分だけの過程を楽しむには、そうではない時間が必要になる。

即ち、トランジット(日本にいる時間)である。

自分に合った旅は、”リーマントラベラースタイル”だと気付いた。

「週末でも奇跡は起こる」

エネルギーたっぷりのいい言葉です。一生現役のリーマントラベラーでいることが、今の目標になっています。

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現在の結論

旅は自分だけの過程を作りながら、本当の自分がどんな人間なのか教えてくれる。

悩んだら、旅へ。

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