見出し画像

What is "アーム投げ"?

アーム投げという言葉は聞いた事があると思います。ただ明確にアーム投げという定義を示せと言われると人によって定義が違い、正解はないのでは?と思います。

そもそも、英語でアーム投げに該当する言葉はあるのか?Arm type throwing、pitchingで調べたところそれらしいものはヒットせず。どこから、いつからこの言葉が出てきたのか気になるところです。ちなみにあーむなげとキーボードで入力するとあー胸毛と予測変換出てくるので注意が必要です()

ここでは自分なりにアーム投げについてを書いていきたいと思います。

1.一般的なアーム投げの定義

「アーム投げ」とは言うものの一体何がアーム投げなのかは定かではありません。『テイクバックの時に腕が伸びている状態』が恐らく一般的なアーム投げの定義だと思います。例えば元中日の最強守護神、岩瀬仁紀さんや仙台育英時代に甲子園出場した元オリックスの佐藤世那投手はアーム投げと言われた投手。テイクバックを見てみると…

確かに「一般的な意味でのアーム投げ」に該当します。
ちなみに前述のように英語でアーム投げはヒットしませんでしたが、投げ方に"Short Arm""Long Arm"というのがあります。"Short Arm"は腕を曲げる投げ方(例…下のNYY時代のクレメンス)、"Long Arm"は腕を伸ばす投げ方(例…下のマディソン・バムガーナー)の意味です。アーム投げはLong Armの方に分類されると思われます。

2.「アーム投げ」は間違いじゃない?

2.1 腕を伸ばすのはメリットに?

よくアーム投げは故障しがちと言われ避けるべきフォームと言われています。一般的なアーム投げの意味で使われる『腕を伸ばしたテイクバック』は本当に悪なのでしょうか?結論から言うと一概に悪とは言えません。何故なら腕を伸ばしても、前足着地時にしっかりとしたトップを作ることが可能だからです。腕を伸ばしたテイクバックのメリットの1つに、理想的なトップ(前足着地時に両肩結んだ線より肘の位置が低く、腕が上向き)が作れるというのはだいぶ前のnoteで書きました(https://note.mu/ryo0916/n/nc7c5bd4f1ae2)。

例えば、36歳ながら未だにエース級の活躍を続ける現在HOU所属のバーランダーを見てみると…(画像はDET時代)

テイクバック時は腕が伸びてますが…

前足着地時はこのように理想のトップです。

オーバースローのバーランダーと違い岩瀬さんはスリークォーターではありますが、バーランダーと似たようなトップとなっています。つまり腕を伸ばしていても、このようにしっかりトップを作ることが出来ればアーム投げは悪とは言いにくいです。この2人は長く現役を続けており(いた)故障も少ないです。もしアーム投げが本当に悪なら2人共ここまで長く、一線級ではやれていません。本人達のケアが丁寧なのもありますが長く現役を続けたのはこういったフォームの面もあります。

2.2 まずいのは…

前述のように自分は「一概に」と書きました。というのはアーム投げは故障しやすいというのが当てはまるような投げ方があり、2.1で書いたのが良いアーム投げとしたら今から書くのは悪い(?)アーム投げです。

故障しがちと言われるアーム投げに該当するのは恐らく、「トップの時に右腕(もしくは左腕)の角度が90°より大きく(鈍角)、かつリリースまで90°より大きい状態が続く投げ方」のことでしょう。下のアーム式ピッチングマシンを見たことあると思いますがこれをイメージするのが簡単です。赤丸の金属部分がボールを放つ部分で、ここは曲がらず投石器のようにボールを放ちます。

選手を例に出すと前述の佐藤世那(下1、2枚目)や元巨人所属の西山一宇氏(下3、4枚目)がこのアーム投げに該当すると思います。

上のバーランダーと比較すると、前足着地時の右腕の角度は90°より大きくなっていて、リリースまで腕を持ってくる時もその状態であることが分かります。

この投げ方は投石器の原理と似た感じで球速は出ます。しかし前足着地時→リリース時に肘ではなくほとんど肩にストレスがかかる状態だと思います。肘の角度が90°以下だと腕を余計に振らずとも身体を回転させると自然と腕がついてきますが、90°より大きい100°以上くらいになると身体を回転させて腕を前に持ってくることが難しく、肩を大きく使う必要があります。実際に自分の身体でやってみると違いが分かると思います。身体ではなく腕に頼った投げ方と捉えることも出来ます。この投げ方を見てアーム投げは悪、から腕を伸ばす投げ方は悪と発展したと思われます。

3. 自分が考えるアーム投げ

 アーム投げの定義に関しては以前、このようなツイートをしました(https://twitter.com/shhamilton32ryo/status/1132640147323756544?s=21)。 1.と2.で書いたことを踏まえると、個人的にはテイクバック時に腕が伸びてるだけではアーム投げとは言えず、2.2で書いた「トップの時に右腕(もしくは左腕)の角度が90°より大きく(鈍角)、かつリリースまでその状態が続く投げ方」がアーム投げの定義としています。

最近だと中日の清水達也や横浜の勝又温史、巨人の戸郷翔征がアーム投げでは?と言われていますが、彼らはアーム投げではないと個人的には思います(戸郷投手は微妙なところと思ってますが)。なのでアーム投げは一握りと考えています。日本の投手は腕を伸ばすよりも肘抜き(肘を吊り上げる)のフォームがよく見られるので、これに該当しない見慣れないフォーム(腕を伸ばす)→アーム投げという解釈になった可能性も否めません。

アーム投げとは言うものの、誰が言い出しのかも分からず定義も曖昧です。自分もこの解釈でいいのか疑問ですし、選手の映像を何度見ても判断しにくいです。ただ曖昧なままでアーム投げは危険や悪いと判断するのは良くなく、そうすると選手の個性を無くしてしまう可能性もあります。アーム投げは故障しやすいとは言われるものの、物を投げるという行為をしている以上は負担は付き物。それを理解し、各々の自分に合うフォームをしっかり知った上でリスクを軽減することが大切です。

#野球 #投手 #フォーム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?