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中核社員が辞めたベンチャー社長の、「いい会社ってなんですか?」という話

いい会社、とはどうやってできるのか。
ということをここ1年間、ぼやーっと考えていました。

僕たちR65不動産は、
「年齢を理由に借りられない」
を解消する不動産会社です。


サービス名が変な名前だからか、平成生まれが起業したからか、それとも事業自体が変わっているからか、わかりませんが、ありがたいことに僕らR65不動産は、メディアに取り上げていただけることは多いです。

テレビや新聞で見ていただき、
「いい会社ですね〜」「いい事業ですね〜」
とお声がけいただくことが多く、儲かりにくい事業ながら、僕自身、モチベーション高く取り組めてると思っています。

しかし昨年の頭、弊社の中核を担っていた社員の退職しまして、
果たして弊社は、いい会社なのだろうか?」
ということを考えるようになりました。

ここ1年、考えていたことがやっと、「あ、これかもな」と思い始めたので、今日は備忘録的に書いておきます。


僕にとって、いい会社、とは

とりあえず、弊社が「いい会社」であるかどうかは置いといて、今、僕が考える、いい会社とは
・お客様に価値を提供できている
・社員が健やかでモチベーションを持ち事業が持続可能である
・売上が上がっており事業が持続可能である
と定義づけしました。


(通常の株式会社は、株主への還元、も項目に入ってくると思うのですが、弊社の株主は僕1人なので、僕にとっての、いい会社の条件からは省略しています。)


お客様へ、価値を出すのは、当然として、それが
「ボランティアではなく、事業として提供しよう」
という気持ちは、起業当時から思っていました

というのも、65歳以上の方は、お金のある方もいれば無い方もいます。

ただ、一つ確実なのは、全ての高齢者の住宅に税金を投下することは現実的ではない、ということです。

現在、65歳以上で賃貸住宅を借りられている方は、400万世帯いらっしゃいます。65歳以上の人口の約6人に1人ですね。

賃貸住宅を借りる割合は、年々増えており、また65歳以上の方も年々増えているため、65歳以上で賃貸住宅を借りている方は、年々増加しています。日本で9番目に多い県が福岡県で、人口は約500万人。1番多い都道府県は、東京都、1400万人です。

つまり、65歳以上の賃貸住宅全てを税金で賄おうとすると、東京に住む3人に1人に住宅を提供する、という形になります。

これを計算した時に、
「ボランティアで行うのではなく、持続可能な事業にしよう」
と決めました。


実際に賃貸住宅を借りる、高齢者

「実際に、どんな人が賃貸住宅を借りるんですか?」
と講演で聞かれることはよくあります。

すごく答えづらくて、いつも
「本当、色々ですよ」
と答えてます。

実際、弊社に来られる方は、
「家を売却し、家賃20万で探しています。子供の近くに住みたいです。」
という人もいれば、
「身寄りもおらず、家賃3万円以内で探してもらえませんか。」
という人もいます。

「段差は、全く気にならないので、階段でも2階がいいです」
という方もいらっしゃれば
「車椅子なので、廊下やエレベーターの幅を教えてください」
という方もいらっしゃいます。

僕は、R65不動産を始めるまで、高齢者、と一括りにしていましたが、今は、全然違うんだ、と思いながら、事業をしています。

昔、96歳の方のお部屋探しをお手伝いした際、保証人は娘さんで、68歳でした。
(結局、この方は、ご自身の友人のアパートに住むことになりました。)


だから僕らは、株式会社化した

お部屋探しをする中で、
「非営利事業として活動するよりも、しっかり儲かる事業に育てて、他の不動産会社が真似したい、と思える株式会社にしよう」
と思い、株式会社として、法人化しました。

だって、僕たちがどれだけ頑張ったって、全ての場所で、全ての65歳以上の方のお部屋が見つかるわけではありませんからね。

いろんな方が真似したい、と思っていただいて、どんどん「高齢者にも貸したい」と思ってくださる、そんな不動産会社が増えていけば、「年齢で賃貸住宅を借りられない」という問題は、解決すると思っています。


とここまで、カッコつけて書きましたが、弊社の事業にも一部、補助金が入っています。

現在は、年200万円ほど、居住支援法人として活動し、補助金を活用しています。

一般的に、不動産仲介の仕事は、仲介手数料が主な収入になるため、
「なるべく家賃が高い方のお部屋探しをしよう」
と思いがちです。


では、65歳以上で、家賃予算の高い方はどんな方か、というと、
・身寄りがいらっしゃって
・収入があって
・心身ともに健康
な方が多く、僕らにとって正直、仲介は簡単です。

家賃の高い方だけに絞って、仲介を行う方が、事業としては、安定します。

が、本当に困っている方は、物件が見つかるまでに、非常に時間がかかります。
それもあって、R65不動産では、2022年に居住支援法人を取得し、一部補助金を活用し、どんな家賃の方でも対応できるよう、頑張っています。

といっても、200万円では、1人雇うのも難しく、いろんな家賃の方が来られるのは本当に嬉しいです。

また、他の事業を混ぜながら、どんな家賃の方が来ても、なんとか持続可能な事業として成り立たないか、他の方が真似したくなるにはどうしたらいいか、と試行錯誤しているところです。


中核社員はなぜ辞めたか

で、ここまで、
・どのように、お客様に価値を提供し
・どうやって持続可能な売上を立てるか
という話をしていました。

しかし、一生懸命、事業に没頭するあまり、自分たちのことは、もとい社員のことは、蔑ろになっていたように思います。

弊社は、不動産会社ながら、またベンチャー企業ながら、休みは土日固定で+祝日お休み、年間120~125日、残業はほとんどありません。

僕自身が仕事とプライベートを分けないと、モチベーションが上がらないため、休みとプライベートの時間は死守しようと思っていました。

でも、それだけでした。


辞めてしまった中核社員は、就職当初
「暇だから手伝う」
くらいの感覚で入ってきてくれました。

コロナ禍で、仕事が減った矢先に、転職活動中だったので、ほとんど繋ぎくらいの感覚でした。最初は、アルバイト。給料は、5万円くらいでした。

コロナ禍、ということもあり、弊社の仕事が少なかったので、どうしても必要なところだけ手伝ってもらっていました。

が、その社員のやる気や力量を見て、2,3ヶ月後には、正社員になってもらいました。

それくらい、熱意のある社員でした。


辞める時は、
「もっとやりたい仕事が見つかった」
「キャリアアップのため転職したい」
と相談をもらいました。

でも、本当にそうだったんだろうか、ということは今でも、思います。
うちの物件の住民でもあるので、今でも時々会い、当時のことは聞きますし、今でも戻ってこないか、口説いてます。


今、もし、当時に戻ってやり直せるなら
・弊社でキャリアアップはできないか
・弊社でどんな仕事がやりたいか
・弊社で成長実感を失っていないか
を定期的に聞くと思います。


当時の僕自身は、事業を伸ばすには、ということはよく考えていましたが、社員のキャリアにはあまり興味がなかったように思います。

今回の件を受け、僕は、社員にも、いい会社と思ってもらえるよう、定期的に面談し、普段話せないようなことを話す機会を取るようにしました。

多分、事業以外のコミュニケーションが足りていなかったんだと思います。

いざ、聞いてみると、本当にみんな思っていることはバラバラです。
全く、休みは要りません、という人もいれば、完全に分けたいです、という人もいます。

チームなので、誰かだけ特別、というのはなかなかしにくいのですが、もう少し本人が希望する働き方にしていけたらな、と面談を通して感じています。


僕らにとって、いい会社、とは

僕にとって、いい会社とは
・お客様に価値を提供できている
・社員が健やかでモチベーションを持ち事業が持続可能である
・売上が上がっており事業が持続可能である
と定義づけしました。

しかし、これはあくまで僕が思う、いい会社。
「僕ら」にとっての、いい会社ではありません。

今後のR65不動産では、社員がそれぞれ、「僕らにとって、いい会社」を考え、共有し、実現に向けていけたらと思っています。


社長の仕事を考える

今年度一年間で、あるいは今までの積み上げのおかげで、僕の時間がゆっくり取れるようになりました。

昔は、事業のことを100%考えていたところから、30%くらいは社員のことを考えるようになりました。

僕らR65不動産は、自分で言うのも恥ずかしいですが、確かに、前人未到の事業をやっていますが、そして、とにかく良い人が採用されていると思いますが、チームとしてはまだまだです。
(弊社の採用基準の一番は、良い人である、ということです。)

来年度は、もっともっと、チームとして頑張っていきたいと思います。
R65不動産を、弊社社員を応援よろしくお願いします。


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