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起業を安直にお勧めしない僕の「人のいかぬ裏に道あり花の山」という話。

気づいたら、起業から9年が経とうとしています。

起業家一年目のnoteを見ながら、起業した当時、そしてそれから数年間のことに思い出し、帰り道のカフェで記事を書いています。

起業した当時の、同じくらいの起業家は、めちゃくちゃ活躍して遠いところにいってしまった人もいますし、バイアウトして悠々自適な人もいますし、もう何をやってるかもはや分からない人もいます。

もはや連絡を取っている人は、ごく一部になってしまいました。


起業って、どこもキラキラしているようにも見えるかもしれません。
しかし、内情はめちゃくちゃドロドロしてると思ってて、そんなことを書けたらと思って筆を取りました。


あ、僕は、R65不動産という事業を行なっている、株式会社R65の代表の山本です。R65不動産は、65歳以上の賃貸住宅借りにくさを解消する不動産事業者です。


起業時、VCによる活発な投資に嫉妬

僕の起業した当時は、VCが活発になり始めた頃だったので、起業した3年目には、周りの出資を受けたニュースでSNSが埋まっていました。

僕自身は、テレビで取材を受けるも、出資は受けない、全く売上の伸びない、相談する相手も居なければ、手元のキャッシュもほとんど無い、数年間を過ごしていました。

当時の元社員との関係性は最悪で、売り上げも悪い、何をしてもうまく行かない、と、とにかくギスギスしていました。

そんな中での、周りの資金調達に沸いている状況は、僕自身はかなりプレッシャー、相当な嫉妬もありましたし、正直、表に出ることもあまりしたくありませんでした。

それでも、R65不動産は、「平成生まれの25歳が仕掛ける社会課題を解決する会社」として、キャッチーで、僕たちが予想できないほど、いろんなところで取り上げられることとなりました。

結果、周りからはうまくいってるように見られ、
「どうなんすか、儲かってんでしょ」
みたいな話に
「全然すよ」
って言っても、毎回謙遜と捉えられます。

が、最終的に、会社の口座も、個人の口座も残高数百円、という時期が何ヶ月も続いてました。

辞めていった社員にも言われました。
「山本さんは、どこかにお金を隠しているはずだ。」

売上がほとんど無い中で、そんな訳ないんですが、そういった憶測が飛び交うほど、本当にいろんな企業に期待され、協業の話がたくさん来ました。

きっと当時、弊社もたくさんのプレスリリースを出し、SNSで発信し、取材された記事を上げ、キラキラ見えていたのでしょう。

しかし、大企業の協業に、うまく僕たちは事業をフィットさせることができず、形になったものは、ほんの数件。それも、数年で気づいたらなくなっていました。

もったいなかった、という気持ちもありますが、当時は本当にいろんなところに体当たり、全力投球といった状態でした。


僕たちが何をやりたいか、やるべきか、事業として継続できるか、それが見えてきたのは事業を始めて3年ほど経ってからでした。


融資や投資は人それぞれ、性格によると思う

R65不動産は、2015年に個人で起業して、一年後法人化したため、起業して8年目、法人化して7年目です。

8年間、家族間の借金をカウントしなければ無借金経営でした。
(今年度、会社で物件を買いましたので、お金をお借りしました。)
また、投資を受けず、自分のお金だけで現在まで続けています。

僕自身は、投資を受けた方がよかったか、借金をした方がよかったか、実のところ、どっちがよかったか、わかりません。

多分、会社がなくなる、その日まで分からないのだと思います。
(ただ、周りの起業家はみんな資金調達して、ピカピカのオフィスに引っ越して、メンターに入ってもらってて、羨ましかったです。僕は、シェアハウスの一室をオフィスにしてました。当時の社員が正直可哀想でした。)


僕自身、なぜ融資や投資を受けなかったか、というと怖かったからです。

R65不動産は事業として、株主のために売り上げを追うよりも、社会課題解決を最重要視したいと考えています。

「いくつになっても好きな住まいを選べる社会にしたい」
と思っていて、この社会が実現できるなら、R65不動産はなくなってもいい、と思っています。

出資を受けると上場など株主への収益分配を目指さなければならず、僕たちの存在目的と競合します。

なので、出資を受けていません。

(今は、課題解決の形が見えた上で、上場やM&Aにより、お客様に価値を提供し続けられる事業可能性が上がるのであれば、それも一つの形かな、くらいに思っています。)

ちなみに、融資は、いい加減な僕が、返済できるのか単に怖かったので、受けてません。


大人、怖い。出資、怖い。

また、僕自身が、人のアドバイスに引っ張られやすい、ということも原因だったりします。

自己評価として、僕自身は仕事ができない方だと思っています。

僕自身、朝決まった時間に出社できませんし、必要な書類は提出期限に間に合いません。
「これ、お願いできますか。」
って言われたことは、大体僕のところで止まります。

指示を出しても、わかりにくくて聞き返されることもしばしば有ります。

最近は、優秀なスタッフで周りを固めることにより、僕の不手際で周りにご迷惑をかけることはだいぶ減ったように思います。


一方、僕自身は、仲介、サブリース、物件管理を通して、不動産会社としても大家としても経験を積み、僕ほど
例え借りにくい人に貸したとして、どうすれば借りたい人と貸したい人のバランスを取れるか
を考えた20代・30代もいないと思っています。

自分自身は、長い時間、入居者さんや大家さん、不動産会社さんのことを考えていますが、それを事務の弱さを指摘されたり、コミュニケーション能力が乏しいことで、萎縮してうまく表現できず、本来事業を進めたい方向に進められないことが怖かったため、出資は受けませんでした。

今のスタッフとも、昔のスタッフとも、とにかく衝突し、言いたいことを言い合って、事業を進めて来れて、今やっと理想の形が見えつつ有ります。



実際の経営はドラマみたいに格好よくないが、ハプニングはドラマ並に起こる

ここでは書ききれないくらい、毎月いろんなことが起こります。
「え、そんなことある?」
ということばかりです。


友達を会社に入れたところ、契約日を目前にして、連絡が取れなくなり、お客様からも契約先からもクレームと催促の電話。

結局、自分で対応し、事なきをえましたが、危うくお客様に500万円以上の損害を与えるところでした。

その友人はその一件で即解雇しましたが、迷惑をかけられたとはいえ、もともと友人だっただけに、非常に心が痛かったです。


「何でもやります!」
と言って、結局何にもやらずに退職した人もいました。

僕の前だけ、良い顔するものの、実際はほとんど仕事していない社員もいました。

お金を持ち逃げされたこともありました。


採用はとにかく難しくて、いろんなスタートアップの社長や人事に聞いたんですが、どれだけ採用を頑張ってもやばい人は一定確率で入ってくる、とのことです。


儲からない仕事も、信念持って続ければチャンスは増える

いいハプニングもたくさんありました。

「変なことやってる」「R65不動産面白そう」
ということで、いろんな大家さんが僕に物件を託してくれました。

株式会社R65は、現在まで無借金経営ですが、R65不動産の事業自体はずーっと赤字です。

理由は、株式会社R65では物件管理やサブリースなどで、シェアハウスを運営し、その収益で事業を安定させていたからです。

アドバイスくださる方は、
「シェアハウスなんかやらずに、高齢者にもっと賃貸住宅を貸せるようにしなよ」
と言ってくださるんですが、多分シェアハウスなかったら1年も持たず、潰れてました。

自分で言うのも、気恥ずかしいですが、R65不動産、という変わったことを信念持って続けていたからこそ、応援してくださる大家さんや入居者さんが増え、結果的にトータルでバランスが取れただけ、だと思っています。

正直、僕のような、事務能力ゼロ、コミュニケーション能力に乏しい人間に、大事な不動産を託そう、とか、僕が運営しているシェアハウスに住もう、なんて、なかなか思わないと思います。

それでも、大家さんが
「山本くん、良いことやってんね。この物件、使ってもらうことで応援になる?」
と声をかけてくれるからこそ、何とかここまできてるのだと思います。

友人が
「どうせ家賃払うなら山本に払おう」
と言ってくれるからこそ、毎月の収入が安定しているだと思います。

運営してくれる共同運営者が
「山本と一緒にシェアハウスできたら面白そう」
と思ってくれるから、僕の手が空き、少ない時間でR65不動産に集中できるのだと思います。

正直、社員もよく僕についてきてくれていると思っています。
僕なら、こんな社長無理ですね。

バランスが取れる、なんてカッコつけましたが、本当は、周りに恵まれ、運が良かっただけ、ともいえます。


やっと見えてきた、R65不動産の理想の形

R65不動産は、年齢が高い方でも、借りられるような体制ができてきました。
大家さんや不動産会社さんだけでなく、社会や行政から意見を求められることも増えてきました。

多分、僕らがもっと頑張れば、きっと10年くらいで、
「年齢で賃貸住宅が借りられない」
という問題は消えてなくなることでしょう。

今、僕たちが取り組んでいるのは、
「どうやったら身寄りのない方が借りられるようになるか」
「入居希望者さんにR65不動産のことをもっと早く知ってもらえるか」
「一緒に取り組める不動産会社さんを増やせるか」

の三つです。

ここについても、もーっと書きたいところですが、カフェに着席し、もうすでに、2時間半。

そろそろお腹も空いたので、家に帰ろうと思います。

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