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アンドロイドを生身の人が演じる事に「意味」があるシナリオ、媒体に合わせた適合<ヨコオタロウ脚本『音楽劇ヨルハver.1.2』>

白状すればブルーレイを買ったのはゲネプロの記事で中二感とえっちさバキバキの好みどストライクな宣材写真を見たことが理由だ。「オートマタ面白かったし、ヨコオさん好きだし、シリーズ全部やってるし、舞台も見ておくのは当然というか」みたいな独り言をつぶやきながら、誰に怒られるわけでもないのに「別に太ももがえっちとかそんな理由ではないんですよ!」とキレ気味に購入したことを覚えている。
実際観てみると、先に取り上げた『少年ヨルハ』もそうだったのだが、ヨコオさんの脚本が明確に「生身の人が演じるアンドロイド」を意識して作られていることに気付く。
***以下ネタバレありです***

アンドロイドに備わる人間性が豊かだった時代

『少年ヨルハ』と同じく、『NeiR Automata』以前の時系列を描く物語が展開される本作。登場するアンドロイドたちは、『NeiR Automata』の2Bや9Sに比べて、明確に「個性と意思」を持っているし、それを隠さない。2Bを演じた石川由依氏が本作で演じる二号は、観る前は2Bみたいな役なんだろうなと思っていた。ビジュアルも寄せているし、なによりキャストが同じだからだ。しかし、ゲームでのクールな雰囲気から一転、気弱な主人公系女子高生キャラに変貌。他のヨルハ部隊も個性豊かな性格を”隠そうとしない”。アンドロイドが非人間的存在では”ない”ことが明確に示される。
これはきっと舞台という、生身の人間が演じるメディアにおいて、その意味を考えた結果こういったシナリオになったのではないかと思う。
その試みは無論成功しており、アクの強いキャラクターたちが群像劇的に織りなす二時間半は、彼らの物語をもっと観たいと思わせるのに十分だった。
観る前から分かっていた通り、無論最後は全滅を迎える。実は本作、シリーズの中でもかなりアツい展開が最後に待ち受けている。無論「ニーアらしさ」の範疇ではあるが、手に汗握る展開に素直にワクワクしてしまった。

ゴシックな服、薄めの色調を使う雰囲気、エミ・エヴァンスさんの歌声……すべてが中二病なのにオシャレすぎて嫉妬しかないニーア。これからもしっかりと追いかけていきたい。

一言コメント

僕の推しは四号ちゃん!

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