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【下肢骨】Vol.1 股関節

今回は股関節に注目してみていきましょう!


股関節

股関節は,寛骨と大腿骨をつなぐ滑膜性の関節である.
多軸性の球関節で,大きな自由度を維持しながら,関節窩が深く広い接触面をもつために強固で安定した構造となっている.
股関節の運動は,屈曲・伸展,内・外転,内・外旋,分回しである.

骨格要素

寛骨側の関節窩は,半球状に深く窪んだ寛骨臼で,その中で C 字状の月状面が関節軟骨によって覆われている.大腿骨側の関節頭は,丸い球状の大腿骨頭で,大腿骨体から 上内側に突き出した大腿骨頸の先端に付いている.

頸体角と前捻角

解剖学的立位肢位(解剖学的正位)では,大腿骨の解剖軸は垂直軸に対して 9~10 °の傾きがある.
股関節の運動は,大腿骨頭と膝関節中心とを結んだ運動軸に沿って行なわれる.運動軸は垂直軸に 対して約3 °傾いている.
大腿骨頸の軸は, 大腿骨体の軸 に対して内側に傾いている.この角度を頸体角といい,正常の成人で 120~130 °である.
水平面でみると,大腿骨頸の軸は,下端の内側顆・外側顆の横軸に対して,前方に捻じれている.この角度を前捻角といい,正常の成人で15~20 °である.

股関節の安定装置

・寛骨臼の周縁には,関節唇という線維軟骨が付き,関節窩をさらに深くしている.
・関節包は,大腿骨頭と,大腿骨頸の大部分を包み込んでいる.関節包は分厚く,強靭な靭帯によって補強されている.

①腸骨大腿靭帯

.人体で 最強の 靭帯で,関節包の前面を補強し,寛骨臼の上縁と大腿骨の転子間線を縦方向につなぎ,股関節の過伸展を防いでいる.その形状が上下逆のY字型をしていることから,Y靭帯ともいう.

②恥骨大腿靭帯

.関節包の前下面を補強し,腸恥隆起と大腿骨の転子間線を横方向につなぐ.

③坐骨大腿靭帯

・関節包の後面を補強し,寛骨臼縁の後部と大腿骨の大 転子を横方向につな         ぐ.

④輪帯

・関節包の深い層の線維が発達して大腿骨頸を周状に取り巻いたもので,大腿骨頭が寛骨臼から抜けるのを防いでいる.

⑤寛骨臼横靭帯

・寛骨臼の縁で下方が途切れた部分(寛骨臼切痕)を埋めてつなぐ靭帯で,寛骨臼の縁の周りを盛り上げる線維軟骨性の関節唇につながっている.

⑥大腿骨頭靭帯

・関節包に関わりが無く,関節腔内にある繊細な結合組織の紐で,ここを通る動脈(大腿骨頭動脈)が大腿骨頭に血液に一部を送る.
・寛骨側では,寛骨臼切痕と寛骨臼横靭帯の隙間に付着し,大腿骨側では,大腿骨頭の窪み(大腿骨頭窩)に付着している.


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