中井久夫先生のささやかな思い出 7
東京都下の病院に訪問された時のこと。
お弟子さんもおられ医局でお話しを伺う機会があった。
お写真を示され、それには東南アジアのある国の精神科医療がひどいと言っていいくらいの内容が写っていた。困ったものである。
お弟子さんの担当患者さんを診られ漢方処方かな何かアドバンスされる。
夕刻。ご友人が西武新宿線沿線に住まわれているので私の運転ではこころもとないのでお弟子さんに助手席。中井先生は後席で少し緊張されていたのか天井についた取っ手を握りしめらている。
安全運転。クルマはサーブ900。
病院に飾ってあった絵が傾いていたと視覚的なご指摘をされ私ども謝る。
ある病院の前の脇を通るとき取っ手を少しバタバタされたのでいらいらされたよう。
そうか、その病院は苦手でおられるのか。
中井先生から電線をみていると線の本数が増え街の方に近づいていると思うと話され、徴候感覚優位なお話し。
やがて到着して夕暮れの街。颯爽と中井先生は友人宅に歩いていかれた。
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