ポケモンブラックが面白かったって話。

先週、ポケモンBWシリーズのブラックを初めてプレイした。
かなり面白かったので、つらつらと書いていきたい。

あらすじ

イッシュ地方(ニューヨークがモデル)のカノコタウンに住む主人公とその幼馴染であるチェレンとベルはアララギ博士の頼みの下、ポケモン図鑑完成のため旅に出ることになる。
旅の途中「ポケモンを開放する」を信条とするプラズマ団と謎の少年N(エヌ)に会う。ジムバトルを行い各地を回る最中、プラズマ団の目的が明らかになり、プラズマ団、N、主人公一行、そして伝説のポケモンが相まみえる。

ざっとこんな感じだ、正直、そこまで今までのポケモンのストーリーと大差はない。冒険に出る→謎の組織に会う→戦う→伝説のポケモンと会う、この流れだ。
ただ、今作大きく違うのは主人公各の人物の多さだと思う、自身はもちろん、ライバルキャラであるチェレン、ベル、そしてNの3人のキャラクターがしっかりしており、それぞれの葛藤が描かれている。
ポケモンというゲーム上主人公はほとんどしゃべらず、何を考えているのかわからなく、かなり受動的にストーリーが進む、そこで感情の変化を見せる為にライバルキャラが登場するのだが今作はそれが3人と多い、しかもちゃんと旅の中で考え方が変わっていく描写がされている。

登場人物

主人公

チェレンとベルの幼馴染でカノコタウン出身。
男主人公と女主人公で選べるのだがもちろん女主人公を選んだ、名前は例によって例のごとく”あずきバー”。
ジム戦の時にトレーナー同士が見合うカットが入るのだが、かなり険しい表情で睨みつけているのが印象的だった。そのかいあってかかなり姉御肌に見えた。基本的に勇者ポジションなので何もしなくても英雄として伝説のポケモンに認められたりする、最強。

余談だがモンスターボールを投げるとき後ろ姿が見えるのだが、ホットパンツにウェーブロングのポニーテールといちいち可愛い。

チェレン

主人公の幼馴染の一人(♂)、持ち物の有用性を説いたり、相性について話したりと眼鏡も相まってインテリキャラ、序盤は「強くなったか確かめるよ」とやたらと勝負を挑んでくる。強い訳ではないが、ジム戦後だったりこちらが疲弊している状態でのバトルが多い為、かなり苦戦した。”強くなって、チャンピオンになって生きた証残す”と語っており、上昇志向が強く【強さこそが全て】と思っている。しかし、どうしても主人公に勝てず自己を否定し続けていた(ように見える)。中盤に現チャンピオンのアデクに「強くなって、チャンピオンになってどうする?(それだけか?)」「私はね、みんなにポケモンを好きになってほしくてチャンピオンになり、旅をしているのだよ」と言われ、その言葉が見事に刺さり苦悩する。終盤は「自分と向き合うのは難しいなぁ、嫌なところばかり目につくよ」と語り弱い自分を受け入れるようになる。

チャンピオンになることを目的として旅に出て、見事にイキリ散らかしていたが、現チャンピオンのおっさんに諭され丸くなる?、その道が全てじゃないと知る。
ただ、予期していないところで突然勝負を挑んでくるのはホントにやめてほしかった。『うわっ、ここでかよ!』ばかりだ。手持ち6体中4体がひん死の時に吹っ掛けてくんなよ。

ベル

チェレンと並び幼馴染の一人(♀)。金髪でベレー帽をかぶっている。序盤から”バックからモンスターボールが取り出せない”などおっちょこちょこちょい。口調も舌っ足らずで「ふえぇ」「うわぁ!」「すごーい」「えっとね」など、チェレンにも「10年前から君がマイペースな事は知ってる」言われ、マイペースでふわっとした印象。チェレンとは異なり、かなりなんとなくで旅に出る。しかし序盤、自分のポケモンがプラズマ団にさらわれ暴行される。その時に「やめたげてよぉ!」と言うがそのシーンはかなり有名(ネタとして)。それがきっかけで悩むのだが「自分のポケモンを守るためには強くならなけれいけない」とジムリーダーと特訓をする。
中盤、娘を心配した父親が現れ旅をやめるよう言うのだが、「パパはパパ、わたしはわたし!」と跳ね除け、旅を続ける。一見ふわっとしているが、言うときは言う芯を持っている。
しかし、主人公とチェレンと自分を比較し劣っていると思い込んでいる節があり、Nにも「君は誰しもが強くなれるわけではないことを知っているんだね」と言われる。しかし、その言葉をネガティブに受け取っている様子は無く、「私は私のできることを頑張るね!」というスタンスで立ちまわる。
終盤主人公が敵の基地に乗り込みピンチに陥るのだが、ベルが呼んできた各地のジムリーダーが登場し、窮地を脱する。エンディング後も”自分の出来る事を増やしたい”という理由で旅を続ける。

父親とのケンカの際、ジムリーダーであるカミツレが親子ケンカの仲裁に入り、父親に「確かに旅を続け色々な人に会えば傷付くこともある(あなたの不安の通り)、でもそうやって自分と他人が違う事を知り、違っていて当然、と思えるのが大事じゃない?」と言う、これはポケモンBWを代表する言葉の一つだと思っている。

N(エヌ)

旅の途中で会ったポケモンをトモダチという不思議な少年。緑色の長髪に白い帽子を被っている、服装も白め。何かにつけて意味ありげに近づいて来ては、何か含ませつつ去っていくのでゲイ疑惑があったりする。常人には訳が分からんほどの天才でポケモンの声が聴けるらしい。
その実は今作の悪の組織(宗教団体?)プラズマ団の王、ポケモンと人間を分離させるというプラズマ団の思想はNの思想そのもので、『人間に道具のように扱われ、戦わせられるポケモンたちはかわいそうだ』と思っている。
何度かバトルをするのだが、特定のポケモンを使わず、タイプの統一性もない。

前述したとおり常に【人間と居てるポケモンがかわいそう】と思っているのだが、最初に主人公に会った際、そのポケモンが主人公を「スキ」と言っており、自身の考えが揺らぐ、その為やたらめったら近づき、バトルを仕掛けてくる。
結局悪の組織のボスとして戦うのだが、和解という形に至る。真実と理想について語るのだが、結局よくわからなかった。
(本物ボスであるゲーチスという人物がいるのだが、特に語る事はないで省く。ただただ悪いヤツ、ジョジョで言うDIO)

プラズマ団と主人公一行

【人間と居るポケモンは不幸だ、解放してやるべき】を思想として持つプラズマ団と【色んな人、色んなポケモンがいるよね】と考えている博士やジムリーダー達及び主人公一行。
両者とも”自由”についての考えを持っているのだが、前者は他者の考えの否定と自身の考えの強要、それに対して後者は他者の考えの許容という態度をとっており、『自由とは何ぞ?』ってなる。

チェレン、ベル、Nの3人ともがストーリーを通して、自身の単一的な考え方から、他者を認め、受け入れる多様的な考え方への変化がみられる。ベルに関してそこまで強い思想は見られないが、『主人公やチェレンのようになりたい(ならなきゃ)』というモノから『私には私の出来る事があるんだ(誰しもが主人公のようにならなくても良い)』と変化しており、”憧れ”という面で多様的な考え方を持つようになっている。

”他人を認めることが出来る=大人”と定義すると、子どもから大人になる話である。そのため博士やチャンピオン、ジムリーダーはれっきとした”大人”として描かれている。

まとめ

公式でも「テーマは多様性」とされており、それまでの作品と比べかなりメッセージ性が強い。また、「さんざんやらかしたNの処罰は?」「主人公の影薄くない?」と言った賛否両論があるが、かなり面白かった。
マンガとかでもそうだが、作者の思想が直接的につらつらと語られていると『うわぁ』ってなっちゃうのだが(打ち切りマンガの最終ページとか銀魂とか)、ストーリーの中でライバルたちが変わっていく様の中で自然に込められており良かった。プラズマ団についても、他人のことを考えていそうで考えているつもりだが、その実自分の考えの強要であり、多様性の排除が危険なものとしてよく書かれている。事実ゲーチスというただの悪に利用されていただけだし。プラズマ団員の本人たちは、正しい行為をしていると本気で思っており、なんとも新興宗教らしい。

ゲーム性として、なかなか難易度が高く実際何度か負けた、プレイ時間も24時間ほどでストーリーをうろうろしたとはいえやや多め。RG FR ,L S,DPt,BW,S M,US UM,とそこそこポケモンシリーズはやって来たのだが、RG FRに次ぐ難易度だと思う、初代はライバルが強すぎる…。
あと、今世代でドット絵が最後なのだが、なんかこう良かった。だってバトルの途中、ポケモンが動いてるんだよドット絵で、感動。
ただ、草むらのエンカウント率が以上に高くそれがネックだった、バトルサーチャーなどもなくトレーナーとの再戦もできない為、資金がゴールドスプレーに割かれるのはなかなかにイタい。あとポケモンコンテストとポフィン作りなんで無くなったんだ、結構好きだったのに…。

前作まではジムリーダーがホントにジムで戦うだけの人物で、街を統治する役割があるとされていたが、街中に堂々と悪の組織のビルが建てられていたりし、いまいち立場がパッとしなかったが、今作はジムリーダーがかなりアクティブに登場する。性格や口調なども如実に表れていた、そこの掘り下げに結構感動した。

勢いに乗せて4000字ほど字を重ねるほどには面白かった。やっぱポケモンって面白いなぁ…。2010年発売のゲームなのだが十二分に楽しめた、テーマが多様性って…、10年前のゲームなんだよ、すごい、ポケモン凄い。名作は不朽と言うがたぶん2030年でもこの作品は面白いと思える。
楽しくて2日ほどでエンディングを迎えてしまったのだが、もっとじっくりやれば良かった。でももうBWを未プレイの自分には戻れないんだ、あぁ……。

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