Xデザイン学校第4回 質的調査と記述

今回はフィールドワークを行い、その結果をKA法で整理するというものでした。

私たちの班はお寺、商店街、住宅地などで観察を行いました。
観光客が多く、どのような営みが行われているかという点だけに絞り込んで観察しようとするには、少し無理がありました。「当たり前のことを見つけるな」「モノを見ちゃいけない」という言葉を表面的に解釈していたこともあり、拾い上げた事実の量が少なかったように感じています。また竹や木を使った造作に、古いものや新しいものがあるというお話を聞いた時、観察の時点で時間という軸を置いているということにとてもハッとさせられました。他にも色々な軸がありそうです。

京都では社会のイメージが、モノとしても至るところに表出しています。古い住宅がそのまま残っていたり、商店街の真ん中に神社があったり、道の脇に小さな灯篭のようなものがあったり、それら一つ一つの要素が、京都に根付く営みと関わっていたのです。それはなんとなくはわかっていたはずなのに、なぜ一つの構造として描きだすことができなかったのでしょうか。

その大きな理由の一つは、観察時点で「京都ってこんなもんだよなぁ」という気持ちがあったことだと振り返っています。竹のフェンスも浴衣も、普段から頻繁に見るものではありません。そのような基本的な要素を「知ったフリ」をしながら観察を続けてしまったことは反省すべきです。誤解を恐れずに言えば、頭も心も無にする必要があったのでしょう。

加えて、豊かさの意味について改めて深く考えさせられたワークでもありました。他のまちがどのようであるかは分かりませんが、時間をかけて、住む人の手によって形作られてきた社会というのは、その場所なりの豊かさというのがあるのだというお話には、深く頷きました。(観察ではうまくできていませんでしたが…。)

どのような社会にも、それを維持するための暗黙のルールがあります。調査の意義は、その社会を構成する要素を十分に拾い集め、その要素自体を評価するのではなく、関係性にフォーカスすることで社会システムを明らかにしていくことにあるのだと今は解釈しています。

KAカードに落とし込む作業ではしっかりと記述することができなかったのですが、本当はそのような社会システムのかけらを、普段から感じているはずです。私たちはいつも空気を読み、その場の暗黙のルールを、色々な要素をもとにして探ろうと無意識のうちにしているからです。

事実がどのように記述され、どのような価値を持って社会システムの一部となっているのかというレベルまで考えることができるようになるためには、まだまだ時間がかかりそうですが、これからも修練に励んで行きたいと考えています。

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