Xデザイン学校2019マスターコース 第3回

目標をデザインする

Xデザイン学校第3回は、目標やビジョンは次々と変わっていくため、目標やビジョンをデザインする立場になる必要が、いずれ出てくるという旨の講義からスタート。プロジェクトにふさわしい新しいプロセスやメソッド、つまり目標を作るのに必要な道具すらも、自分で作っていく姿勢が必要だというお話でした。

ここ数年でたくさんのフレームワークが流行るようになりましたが、実際に使おうとするとそのままでは使えなかったり、そもそもの思想を理解してないと意味のない結果に繋がったりするの、結構あるあるですよね。既存のフレームワークはすでに出来上がった道具なので、その場で本当に機能するのかどうかを疑ってかかるのが良さそうです。デザイナーとしてはその場の材料や目標に応じて最適なフレームワークをその場その場で作っていけるのが理想なのかもしれません。

観察を学び直す

観察は外から、インタビューは内から人を見る方法であり、デザインにおいて重要な役割を果たす潜在的な人の想いというのは、外から見ることによって顕在化するという基本をおさらいしました。その後¥IoTとの関わりについての講義の中で、見るべきポイントは、どういうユーザーのデータが取れるのかであるというお話がありましたが、個人的にはすごく衝撃を受けました。

間接観察の1番の問題は、何をデータとしてとったら良いのかわからない点です。その問題の解決方法は、直接観察によって得られる洞察によってしか導かれないのだと思います。定性的なデータの取り方が苦手な機械に対して、どのようにデータとして理解させられるかも同時に考えるのが、今日的な観察の在り方だということです。

などと色々なことを考えているうちに、これと全く同じことを昨年度のベーシックコースで伝えられていたのを思い出しました。データになるのかどうか?どういうデータが取れるのか?という点はデザインのどのフェーズでも頭の中に入れておかなければならなさそうです。

直接観察法は行動の文脈に埋め込まれている意味、解釈する手がかりとなる情報を得るためのものですが、その目的を果たすためにはユーザーの振る舞いを見ているだけでは不十分で、状況を合わせて見ていく必要があります。ユーザーとコンテクストの、この2つが紐づいて初めて意味を持ちます。

ユーザーにだけ着目してしまうという意味では、ペルソナ/シナリオ法でも似たことを考えたことがあります。直接観察法も、ペルソナシナリオ法もコンテクストを観察する/考えるステップが抜けてしまいがちです。

行動観察のワーク

人、もの、痕跡、行動、タスク、操作、インタラクション、発話プロトコル、フィールドの状況など見るものがたくさんありすぎて、どこに焦点を当てて観察すべきなのか非常に悩みました。我々のチームでは観察を2回に分け、1回目の失敗を活かそうという目論見があったのですが、そもそも1回目で何がどう失敗だったのかわからなかったのが最大の失敗だったように思います。

なぜそうなるのかを改めて考えてみたのですが、そもそも失敗しているかどうかを把握するためには分析が必要であること、そして何か仮説を立てていないと資料集めが大変すぎることがわかりました。なのでプレ調査に置いて、簡単にでも分析と結果出しの部分までをセットでやったほうが良い結果に繋がったのかなと振り返っています。

もう一つ、我々のチームの致命的なミスとしては、データ化を意識できてなかったことが挙げられます。私たちのチームでは「面白いものをどう定義づけていくか」の過程を観察によって導出できたと思っていたのですが、それがどう役に立つのか、どんなデータがあればそれがわかるのか、みたいな部分の議論がまるで抜けてしまっていました。抽象的なものを抽象的なまま扱うのは観察におけるアンチパターンかもしれません。最初からデータ化を意識していれば、観察におけるなんらかの軸を立てることができたかもしれませんし、あるいは観察の前に、目的となるユーザーの価値や観察結果の利用方法について簡単に議論していれば良かったのかもしれません。

結局何が正解だったのかについては、次回の講義までに宿題を通して少し明らかになっていると良いなと思います。

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