Xデザイン学校第1回 WS編

Xデザイン学校(http://www.xdlab.jp/)の大阪分校に参加しています。ここではWSで行った発表の内容と、それに対する振り返りを行っています。

WS1:マシュマロチャレンジ

マシュマロチャレンジはマシュマロとパスタ、セロテープなどを使って、マシュマロをいかに高い位置に固定できるかというゲームです。
やったことがなかったので超手探りでしたが、結果はなかなかよかったと思います。(建築学科卒なのでどうすべきかはなんとなくわかりました。喜んでいいのか、悲しむべきなのか複雑な気持ちです。)

振り返りを挟んで2回同じワークを行いました。初回はとにかく完成させるのに慌てていて、そのせいか不思議とルールを忘れてしまうことがありました。僕の脳は情報をテキトーに解釈してしまうものなのだと、改めて思い知った次第です。またグループ内でやることのイメージが定まっていなかったので、時間ギリギリまで作業を行っていました。

そこで2回目は各員の役割を最初に決めて進めることとしました。最初にテープをある程度の大きさに切ってしまったり、絶対に必要だとわかっている部材を素早く作ることに集中できた結果、かなり時間の余裕が生まれ、さらには余裕から生まれる革新的なアイデアにも繋がりました。各メンバーが適切に役割を担い、初動を素早くできれば、それ以上に時間的な余裕ができるのだと振り返っています。

・脳は思ったより覚えてない。慌てるとなおのことテキトーになる
・簡単でも良いので役割分担すると、グッと効率的になる
・初動を素早くすると、それ以上に時間的な余裕が生まれる

WS2-1: 最悪トラベル

最悪トラベルとは、文字通り最悪な旅行(あるいはちょっとした外出)のストーリーを、グループでのブレストを通して組み立て、その最悪さを評価するゲームです。

ブレストの段階では、浅野先生が「いろんなことに挑戦しろ」と伝える理由を強烈に体感しました。気持ちというのは、色々な体験を設計者自身が体験していないと全然わかりません。僕は出不精なので、貧弱なアイデアしか出せなかったのが悔やまれます。もっと外に出ます。

私たちの班では、最悪な体験をたくさん盛り込もうとした結果「酔った勢いで男3人がクリスマスのヨーロッパ旅行を予約し、空港に向かう先で渋滞にあい、旅先で喧嘩別れをしてしまう」という話が出来上がりました。なんだか現実味がさほど感じられない(!)し、これだ!という押しの最悪さもなかったと思います。

私たちはコンテクストを飾りつけることによって、問題の濃度をどんどんと薄くしてしまいました。このゲームではコンテクストをいくらでも大きくできますし、そうする方が簡単に正解っぽく思えてしまう謎の力が働いています。まんまと罠にはまってしまいました。

このWSで目指すべき指標は"どれだけ最悪の瞬間を数多くうむか"ではなく"どれだけ最悪さを強く共感させられるか"ということだったのだ、と振り返っています。例えば同じ気持ちを繰り返し体験させてトラウマを作ったり、努力しても全てが無駄に終わるような無力感を植え付けることで、もっとよく(悪く)できたのでしょう。

また発表してくださった方の、リベンジに燃える姿には感銘を受けました。僕ももう少し、前に出て行きます。

・自分が体験していないと、体験はつくれない
・足し算ではなく、引き算で考える
・一番学べるのは、前にでた人

WS2-2:他チームのトラベルの改善

最悪トラベルの発表後、別チームで生まれた最悪を最高に変えるワークを行いました。これも難しかった。

私たちのチームは「ハワイへ新婚旅行に向かった娘が、たまたまマフィアのいる店に入ってしまい、間違えて麻薬入りのカバンを持って行ってしまったため、マフィアにさらわれた」というお父さんが対象ユーザーでした。

お父さんの気持ちとしては「遠く離れた場所にいる娘が危険な目にあっている(かもしれない)のに、どうしようもない」という気持ちが最悪さの核になっていると考え、娘が万が一危険な場所に足を踏み込んだ時に、そのことを娘と父に通知してくれる、麻薬検出機能つきのお守り型デバイスを提案しました。

私たちの失敗は大きく3つだと考えています。
1つは最初の課題設定。少なくとも僕には「もらった問題を確実に解決しなくてはいけない」という思い込みがあったので「麻薬の入ったカバンが付近にあったこと」を課題とし、それを直接解決すればなんとかなる、という具合で話が進みました。なのでプロダクトに麻薬検出機能を与えたのですが、お父さんの最悪な気持ちには、本質的には応えられないものだったと思います。

2つめはコンセプトとプロダクト/ストーリーとの乖離です。お父さんの最悪な気持ちを和らげることが目標のはずなので、プロダクトのあり方はお父さんに寄り添ったものであるべきだし、ストーリーもお父さんの気持ちを代弁すべきだったのかもしれません。

そして3つめは、“サービスを通して得たデータをいかにして有効に活用するか”という点を深く考えられていなかった点です。終わる間際のアドバイスがなければ全く考えていなかったかもしれません。着想の段階からイメージしておけるよう、これからの訓練が必要だと感じました。

・問題そのものと、狙うべき課題は別物。問題のリフレーミングを行い、柔軟に解釈する
・気持ちに基づいた、正確な課題設定が大事
・考えるときも、伝えるときも、対象ユーザーの気持ちに立つ
・データをいかにして活用できるか、経済圏ができ得るかも同時に考える

2つのWSの違い

1つ目のマシュマロチャレンジ、2つ目の最悪トラベル、どちらも初めて会った方々とやったものなのに、進めていく時の感覚は全然違いました。もちろんやってる内容が違うからなのでしょうが、個人的に強く感じたのは、目指すべき指標が明確かどうか、という点です。

マシュマロは「高さ」という誰から見ても明らかな指標がありましたし、作業中に高さを測りながら、さらに高くする工夫を行えばよかったので改善しやすかったです。一方最悪トラベルの方は、何を模範解答とすべきかのイメージすらわかず、正しい目標があるのとないのとで、考えなくてはならないことのレベルが大きく変わることを感じました。

WSの心得

・ポストイットはあくまで外化(頭の中を書き出すこと)のため。まとめにポストイットはダメ。ちゃんと仕様を満たして清書したものだけが成果物。
・文字はでっかく太く、みんなが読めることが第一。
・発表は総意。言い切る。です、ます。
・お話は伝わるように構造化する。
・2回目は大抵よくなる。初めてやるときは計画的にマジメに、なんで悪かったのかわかるように失敗する。

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