サービスデザインワークショップ2018 Kyoto

今回は、いつもの講義とは離れて、京都で行われた台湾のサービスデザイナーの方々とのワークショップに参加しました。たくさんのことがありすぎて、どうまとめるかまだ決まってないですが、いつも通り、自分の中に生まれた気持ちをベースに書いていこうと思います。

KIT D-Lab. + Softdevice Inc.の見学

京都工芸繊維大学では、溢れんばかりのモノづくりへのモチベーションを感じることができました。もっとも興味を惹きつけられたのは、台湾の方からの「京都っぽさと日本っぽさの違いは何?」という質問でした。そしてその後しばらく、その質問を咀嚼していました。

らしさというのは自分の近くにないからこそ感じるもので、逆に自分のすでに知っていることがあると、たとえその要素がらしさだとしても見逃してしまう…というような事を考えていました。もしもここで「台湾と日本が似た国であること」という知識を持っていたなら、もう少し観察の質が変わっていたかもしれません。

またソフトディバイスさんの見学では、実際のプロトタイピングの現場を観察し、お話を聞くことができました。アクティングアウトを終えた今、見学で学んだ「振る舞いをスケッチすることで、腹落ち感を探る」という言葉が深く突き刺さってきます。

Xデザイン学校での流れに乗っ取っていうならば、アクティングアウトをする理由は「あぁ、これならイケる〜!」というのを知るためではなくて、導出したUXパターンがそのサービスの核に据えられているかどうかの最終確認をするためなんだと、今になって考えています。

京都のでのシャドーイングとWS

私たちは台湾からMinerva、Wendy、そして東京から来られた奥山さんと、関西の大矢さん、八巻さんというチーム編成でWSを進めました。WSの内容は「二人の台湾人に京都を観光してもらい、日本人がそれをシャドーイングして、嬉しさを発見する」というものです。清水寺と花街のあたりを歩き、途中カレーうどん屋さんでご飯を食べました。

その結果、私たちは「ありのままに体験を楽しめる、ちょっとした気遣い」をUXパターンとして導き出し、最終的に「旅行先で必要な品物を、先に日本でレンタルし、現地で用意しておける」サービスを設計しました。

アイデアの詳細は短時間でそれっぽくなった感じがしましたが、実は発表中に突然「気遣いはどこに行ったんだ?」という疑問が湧きました。ひょっとすると、このサービスは機能にフォーカスしすぎていて、発見したはずの嬉しさ(ちょっとした気遣いの部分)を全て抑えられていなかった感じがしています。

私たちは「ありのままに体験を楽しめる」という価値を再現はできたものの、このサービスの「気遣い」という価値を出し切ることができなかったように思います。先に述べたとおり、アクティングアウトでは導出したUXパターンが再現できているかを確認できますが、その中で、UXパターンがしっかりと生きているかどうかはチェック項目の一つとなりそうです。

実はその前にもサービスの概要を考える中で「突如としてUIが生まれる」という出来事がありました。ひとたびUIが生まれれば、議論が機能の枠を出られなくなります。私たちのやり方の中で「ペルソナ/シナリオ」という手順を踏むのは、しっかりとUXパターンという軸を捉え続け、安易に機能に還元していないかどうかを慎重に考えるためなのでしょう。

とはいえ、CVCAやUIを爆速で描き出す台湾の方々や東京の奥山さんの手腕には驚きました。皆さんのおかげで、ものの数分でサービスの全体像や本質的な価値、ターゲットを洗い出し、それをきっちりとプレゼンテーションできる環境へと整えられました。ここら辺は、経験の差が如実に現れた感じがします。悔しいです。

そんな奥山さんでさえ、今回のWSでも悔しさを滲ませていらっしゃいました。人の発達のポイントは、成熟度や置かれた場によって様々だという言葉が思い返されます。私は来年も参加する予定ですが、とにかく目の前の課題を完成させ、振り返り、さらに深い学びを得られる土台を作りたいという気持ちです。

まとめ

前回の振り返りと同じく、導出したUXパターンをとらえ続けられていないかも…という疑念が振り切れないままとなりましたが、今回のWSでは、今までに学んできたことに対して、改めて肉付けを行うという意味があったように感じられます。ここでは話をUXパターンに絞り、書かなかった事もありますが、そのどれもが過去の経験と繋がっています。(特にKAカードの作法、価値マップの使い方、価値が深掘りできそうかどうかのチェック方法について、大変貴重な学びを得ました)

またベタではありますが、調べるばかりではなく実際に話し合うことの大切さを知り、一生懸命コミュニケーションをする気持ちがあれば、多少難しいこともなんとか伝わるんだ、という自信もついた感じがします。

最後に、粘り強くずっとコミュニケーションを重ねてくれた台湾のお二人と、最後までリーダーシップを取って進めていただいた奥山さん、京都に住まわれている視点から、たくさんの意見をくださった八巻さんと大矢さん、どうもありがとうございました。

Aチームの皆さん、一年分の成果をそれ以上に反省できるよう、最後の発表に向けて頑張りましょう。

余談

今回参加された台湾の皆さんの、思いのまま、ありのままに観光する姿からは、新鮮な豊かさを感じました。サービスデザイナーたるもの、失敗の体験も栄養とせねばなりません(確かかなり序盤の方で、浅野先生はそうおっしゃってたように思います)。食べログに依存するのはほどほどにします。

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