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元旦広告が話題のそごう西武を勝手にもう少しひっくり返してみた。

あけましておめでとうございます!
トプセラのヨツモト です。

新年といえば元旦の新聞広告を毎年楽しみにしている人も多いんじゃないでしょうか?
各社この日の為に趣向を凝らした企画広告を掲載していますよね。
その中でファッション業界で働く人間として目についたのが「そごう西武」さんの広告。

ひっくり返して読んでみました?
僕自身もそごう西武さんにはクライアントさんのPopUpShopやらせてもらったり、バイヤーさんや売り場の方々とも昔から仲良くさせて頂いているので早速拡散しときました。

テキストだけで感情を揺さぶる仕掛けとしては秀逸ですし「ひっくり返そう」というコピーもいいですよね。
これが「逆転しよう」とか「反対にしよう」なら、ここまで揺さぶられなかったと思います。
(炎鵬関を起用しているからこそひっくり返そうなのだと思いますが。)

新年早々この広告で「よし、去年は今ひとつだったけど今年はやってやるぞ!」なんて気分を盛り上げられた人も多いと思いますしTwitterやSNSを見ていても上々の反応と言えるんじゃないでしょうか。

ただ、、、リテール(小売業)のコンサルタントを生業としている人間としては正直ちょっと勿体無いなと思うところも。
この広告の落とし所はあるんかいなと思って調べてみると

え?いやマジか。
相撲観戦が当たるニックネーム企画???
あんなエモーショナルなコンテンツ作成しておいて導線の先にあるのがこれなん??って感じです。

正直あのコンテンツに反応した人の大半が相撲観戦に行きたい!とは思わないと思うし(相撲観戦自体はプレゼントとしては素敵です。)、そもそも企業ブランディングとして、果ては百貨店の売り場に来店してもらう気があるのか?と思ってしまうわけです。

コンテンツ自体は見てもらった人に見事「ひっくり返って」もらったかもしれませんが、その後の導線作りが全然ひっくり返ってないやろ!!
ダメな意味でひっくり返ったわ!!

と新年早々なんでやねん!と一人で突っ込んで終わるのも何なんでリテールコンサルが勝手に「もう少しひっくり返す」遊びをしてみたいと思います。

まずこの広告ですが僕が予想するに決まった順番が①キャスティング②プレゼント企画③広告コンテンツなんじゃないかと予想しています。
つまり炎鵬関の起用が決定し付随してプレゼントの相撲観戦が決まって、それから広告コンテンツの作成。

で①と②が恐らく百貨店の内部の人間が企画。
③については外部に作成依頼。
③の広告コンテンツを作成した外部の方は②の存在を知らされて無かったとも予想されます。

最終的に広告のコンテンツを決定する百貨店の人間はコンテンツの良し悪しのみを評価して決定。
その広告コンテンツ自体のクオリティの高さで決定するのはいいんですが、先に決定していた「相撲観戦」との関連性を考えていない。
下手したらプレゼント企画と広告企画が全然違う人間で進行されてて最後にガッチャンされた可能性もあるんじゃないのかなと思うのです。
(いや、まじで百貨店ってそういったところあるんですよ。。。
縦割り社会で横の情報共有が結構無かったりするんで。。。)

で、結果「コンテンツ」に反応する人を誘導した先のプレゼントがミスマッチしている。
せっかくの良質コンテンツを活かしきれない悪い面の「百貨店の内部事情」が読み取れます。

僕がいち顧客としてこの広告を読んでエモーショナルな気分になり、その先にこの企業に期待するのは「もしかして古い百貨店体質が変わるのか!?」「今まではとは違う体験ができる売り場になるのか!?」でしたが、がっつり期待を裏切られ売り場に行こう!とはなりませんでした。

例えばこの広告の先にあるプレゼント企画が「あなたがそごう西武をひっくり返すなら?を教えて!」を募集したり、そごう西武の社員さん達の「私はこうやって百貨店をひっくり返す!の中でどれがいいか?」の投票をしてもらった中からプレゼントを渡す企画であったなら企業ブランディング的にも期待感を持たせられるし、今の百貨店の風当たりを考えれば「こうひっくり返せよ!」みたいな投稿で多くの人を巻き込む事ができると思うんですよね。(多分めっちゃ言いたい事ある人多そうだし。)

募集した後で2月か3月あたりにもう1度広告打って「このひっくり返す案を店舗で実施します!」を宣言。
実際に売り場でひっくり返した場所やサービスをデカデカとポップなどで打ち出していく。
もちろん、売り場にいる販売員さん達も「我々はここひっくり返しました!」って全員で顧客にPRしていかないとダメです。

多大な金額を投資する広告を顧客だけに伝えるものとせずに、自社の社員に向けても発信し活用する。

なんならこれを機会に社内に「ひっくり返し事業部」なんてのも作って、今までの常識や商習慣にとらわれず新しい顧客サービスや売り場作りを対外PRも兼ねて実施していく。
百貨店の改革を邪魔する古い既得勢力は一切口出しできない部署で、この全てをコンテンツとして発信していく。

これぐらい「ひっくり返す」を本気でやりながら、その過程をコンテンツとして1年間発信できれば、今の百貨店業界の中ではかなり目立つだろうし期顧客から待されるポジションを取れると思うんですよね。

もちろんコンテンツとそのコンテンツを流通させる方法は別々に考える必要はありますが、そこの設計図をしっかり作れれば顧客に期待して来店してもうまでの顧客導線は引ける。

今回のこの良質な広告コンテンツをただの「新年の挨拶コンテンツ」で終わらせるんじゃなくて、このコンテンツ自体をコンセプトにして1年間実施するんです。
その1年間を丸ごとコンテンツにして発信していけば、、、かなりひっくり返ったそごう西武百貨店が爆誕!!!

なんて百貨店好きなリテールコンサルタントのちょっとした元旦の妄想でした。

ま、ならないし、やらないよね、きっと。
でも、これ読んでちょっと考えてくれる百貨店さんがいれば嬉し。




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