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PID制御の作法 実践編 Part2

前回は実践編第1回目として車の速度制御のチューニングとシミュレーションを紹介しました。

今回は3次系になってしまう、位置制御を題材にシミュレーションをしてみたいと思います。

運動方程式はいつもどおり
$${ma=F}$$
力Fは比例・微分先行型PID制御を適用します。
$${F=-K_px+K_i\int(x_t-x)-K_d\dot{x}}$$

目標位置から実際の車の位置までの伝達関数は以下のようになります。

$${\frac{x}{x_t}=\frac{\frac{K_i}{m}}{s^3+\frac{K_d}{m}s^2+\frac{K_p}{m}s+\frac{K_i}{m}}=\frac{\omega_n^3}{s^3+3\omega_ns^2+3\omega_n^2s+\omega_n^3}}$$

3次基本系伝達関数と比較するとPIDゲインは以下の通りに設定できます。
$${K_p=3m\omega_n^2=3m(2{\pi}f_c)^2}$$
$${K_i=m\omega_n^3=m(2{\pi}f_c)^3}$$
$${K_d=3m\omega_n=3m(2{\pi}f_c)}$$

詳しくは以下の記事を参照してください。

では車の質量は1980[kg]としてシミュレーションをしてみましょう。
位置10[m]に車をコントロールします。
$${f_c=0.05[Hz]}$$のときのシミュレーション結果です。


fc=0.05[Hz]

目標位置にオーバーシュートなく収束しています。
次に応答性を改善してみましょう。
$${f_c=0.5[Hz]}$$で設定してみましょう。

fc=0.5[Hz]

応答性が向上しました。オーバーシュートもなく安定しています。

次に前回同様、KpとKiのゲインバランスを変えてみます。
Kpのカットオフ周波数を0.05[Hz]1、Kiのカットオフ周波数を0.5[Hz]で設定します。


Kp:fc=0.05[Hz] Ki:fc=0.5[Hz]

速度制御のときと同様に、目標位置を中心に振動してしまいました。

このように速度、位置制御ともに同じ考え方でシステムを安定にするゲインを決定できることになります。

興味ある方はぜひご自分でも実践してみてください。

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