28歳になってしまった。

僕の生命線は短い。

手相なんてあてにならないと思う人もいるだろうし、手相は年齢によって変わるものだという言う人もいる。そんな人にも僕の手相を見せると、「これは短いね……」と言う。そして、僕の生命線は太くて短い。太くて短い人生もまた一興ではないか。

なんとなく、あまり長く生きる自分が想像できていなかった。28歳になる自分もあまり想像できていなかったから戸惑いがある。
早生した有名人の話に惹かれてしまうところがあって、パッと思いつく限りだと、ジェームズ・ディーン、村山聖、シド・ヴィシャス、尾崎豊、不可思議/wonderboyとか……。彼らの人生に触れてなんとく自分も20代で終わってしまうのではないだろうかと考えたし、27クラブの逸話が頭をよぎったりする。28歳の自分は本当にいるのか懐疑的だった。

いつからか死後の世界のことを考え始めた。
死生観は宗教で必ず扱うテーマだ。どの宗教においても死後の世界について語っている。死後により良い世界に行くために、現世でいかに徳を積むかが課題とされている。僕は死後の世界に救いを求めているなんて間違っていると思う。良くも悪くも現世こそが全てなのだ。死後のために現世で努めるなんて甚だおかしい。今を生きたい。
仏教の考えで言えば、輪廻転生は抜け出すべきものであるので、生まれ変わりたくなんてない。個人的な考えで言えば、死後の世界なんてなくて「無」になるのではないかと思っている。

草間彌生なんて、ずっと死と闘い続けながらもうすぐ90歳になろうとしている。驚きだ。彼女の創造は死と隣り合わせだからこそ生まれるものだ。

人はいつ死ぬか分からない。28歳からも死と向き合いながら生きていく。もし明日何が起ころうとも。いつ死ぬか分からないこそ、できることがある。

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