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「考えない自炊」のシステム|週末セルフケア入門

自炊なんてやってられない、でも外食ばかりもつらい。どうすればいいのか。システム自炊法はひとつの回答です。システム自炊法は、芥川賞候補にもなった著述家、故・丸元淑生さんによって考案されました。1980年代、単身赴任者の健康をどう守るかを主眼に開発された方法です。

献立を考えるのをやめてしまう。基本のレシピを決める。平日に調理するのは無理だから、週末に作りおく。これがシステム自炊法です。

「考えない自炊」のマインド

具体的にどうするか。必須条件にもとづき、食事のコアを決めます。条件は次の通り。

・最低限の栄養バランス
・飽きない
・作りおきができる

以上です。この考え方にもとづき、基本レシピを決めてしまいます。それを防衛ラインとし、週末のリソースを投下して作りおく。平日は、作りおきを冷蔵庫から出して食べるだけです。

何をつくるのか。参考にしているのが土井善晴さんの『一汁一菜という提案』(2016年, グラフィック社)です。同書も、たんなる和食の提案ではなく、一汁一菜というシステムの提案であることを明記しています。「一汁一菜」とは、味噌汁・ご飯・おかずのこと。おかずを作るのは大変なので、私は「汁飯香」つまり味噌汁・ご飯・香の物で実装しています。

「考えない自炊」の実装

味噌汁は何でも入れてもいいと土井さんはいいます。肉・野菜・魚のみならず、豆・刺し身・唐揚げなど何でもOK。ある味噌職人によれば、味噌汁に合わないのはバナナくらいだそうです。

具だくさんだから、だしを取る必要はありません。具からダシが出ます。ベーコンがおいしいです。もちろん、取りたければ取ってもよいです。私は意識が低いので、取りたいときにしか取りません。

米を炊くのも面倒です。おにぎりを買っちゃいます。パンでもウドンでも代用可。香の物は、好きな漬物を買います。たくあん、梅干し、わさび漬け。味噌汁用の味噌をおかずにすることもあります。

おいしくなくてもいい、と土井さんはいいます。誰に格好つけるわけでもありません。「汁飯香」はあくまで考え方です。味噌汁はあくまで一例にすぎません。ポトフでも、鍋でも、カレーでもいいでしょう。

「考えない自炊」の運営

私のやり方です。週末、大鍋に味噌汁を作りおきます。ベーコン、根菜、油揚げなどを鍋いっぱいに炒めて、煮たら味噌をときます。味噌にはこだわりません。いまは頂き物の「フンドーキン・無添加合わせ味噌」をつかっています。トップの写真は、ベーコン根菜味噌汁(汁)とゆかりご飯(飯・香)です。

米も炊きおきます。冷やご飯こそがおいしいのです。保温無用なので、千円で買った土鍋をつかっています。おヒツが欲しい気持ちもありますが、買っていません。土鍋はそのまま、雑炊鍋にもなります。

魚を焼くこともあります。肉料理をつけることもあります。「汁飯香」はあくまで基本レシピです。

「やっぱり意識が高いじゃないか」と思う人もいるかもしれません。サボりましょう。私もサボりまくっています。外食で揚げ物もバンバン食べます。

とにかく、意志の力は有限です。MPがない状態で、魔法はとなえられません。考えるべきことを減らすのが肝要です。

自炊をしなくてはならない、ということはありません。生き残るのが目的です。スーパーの惣菜も活用します。伝統食文化が大切だ、手作りの食卓を囲むことが一番だという考えもあるでしょう。このさい、知らんといっておきます。生きるか死ぬかが問題なのです。自炊の目的は生命維持。働きすぎて死にそうな夜、冷蔵庫から出して食べる冷たい味噌汁と冷やご飯だけが、ヘロヘロになった私を救ってくれるのです。



読んでいただいてありがとうございます。