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行動デザインのためのデザインガイド その3

価格と支払いの不思議

スタバで買うコーヒー、コンビニで買うコーヒー。中身はほぼ同じですが価格は3倍ほど異なります。同じ量のカフェインを得られるのにも関わらず、どうしてスターバックスのコーヒーを買うのでしょうか?

もちろん、お店の雰囲気や座れること、スタバというブランドに魅了されているからかもしれません。そうです、基本的に人は使うことで得られるモノの機能以外の部分に対してより多くお金を払っているのです。

車や高級ホテルのような高い支払いも、マクドナルドのような安い支払いも、どちらもビジネスに必要な考え方は「納得して支払ってもらう」ことです。

納得して支払ってもらうには「この価格が妥当である」と感じて貰う必要があります。モノに対してどれほどの手間や工程、苦労があるのか見せるのは効果的です。

Behind the scenes(制作の裏側)の動画や記事はブランディングにも貢献しますが、一方で価格の妥当性を同時に訴えることもできるのです。

そして、価格の感じ方は相対的に決まります。500万の車を買ったあと、オプションで付いてくるミニカー2万円は安く感じるものです。

昔から松竹梅があるように、企業やお店が高額商品を置く理由は高い商品が1つの目安になり他の商品に強く影響するからです。(だから私の実家には中国製のミニカーがあるのです)

ただし、ユーザーの予算は考慮することを忘れてはいけません。子供の教育に月3万かけている家族に50万の教材パックを売り込むことは難しいでしょう。子供教育教材を販売する競合の価格も考慮して、6万円・5万円・4万円の教材パックを並べることができれば話は変わってきます。

無料にすれば価格のことは考えなくてもいいという意見もありますが、広報やPR目的でなければ避けましょう。無料はパワフルなツールですが、無料で得られたものに人はありがたみを感じなくなります。

また人は手をかけたり、お金やエネルギーをかけたモノを高く評価する傾向があります。IKEAは組み立て部分をユーザーに行わせることで、Betty Crockerは卵を最後にいれてパンケーキを完成させるそのひと手間をあえてかけることで、製品やサービスに対する印象をコントロールしています。

ここで大切なのが完成の一歩手前をユーザーに手伝ってもらい、まるでユーザーが作り上げるまでの行為、すべてを行ったように感じてもらうことです。

これはユニット効果と言い、人は何かを完成させる達成することによって快感を感じることが科学的に証明されています。

またどんな場合でも、お金を払うことは少なからず苦痛に感じます。請求書が来て喜ぶ人はいませんね。たとえ少額であっても支払いが頻繁に起これば苦痛は溜まっていきます。

特に現金を払う行為はお金を失った感覚を大きくさせます。必要な分だけ払えるのは、一見するとユーザーのニーズに合わせられるように思えますが、必要だと理解していても払いたくない気持ち(痛みを感じたくない)が勝ってしまい、結果として払わない選択肢を取りやすくしてしまいます。

サブスクリプションモデルや電子マネーが浸透している理由は便利なだけでなく「支払いの苦痛」を最小限に抑えられるからでもあります。

頂いた資金は子供支援団体などに寄付していきます。