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どうして好きなのか分からない。

ねえ、私のどこが好き?
分かんないよ、そういうの言葉にするの、苦手なんだ。
でも、どこかあるでしょ? 具体的なものが。
んー……。全部?
そんな言い方、ずるい。

だって本当にどうしてこんなに好きなのか、ハマッたのかわからない。


『シン・ゴジラ』の話である。

小出しの映像を観ただけで、期待は高まる。ワクワクする。

エヴァは好きだし、ゴジラ(Vsモスラあたり)が好きだったので、絶対に観に行こうと心に決めていた。
公開日に行きたかったけど、それは仕事が許さず。
結局、週開けて公開4日目にようやく観ることができた。

もう最高

最高なんだってば。

すぐにもう一度観に行きたくなって、翌週にはIMAXで観た。
2度目になると、少し冷静にもなるので、ツッコミたいところも出てきたのだけど、やっぱり最高。

初見から2週間が経つが、どこがよかったような気がするのか書き留めておきたいと思う。よかったような、というのは正直、何がどう自分にハマッたのか分かっていないからだ。

観ていない人、ネタバレのーさんきゅーな方はお帰りくださいませ。
さあ、行ってみよ!

●誰だお前は。
初めましてゴジラ。
上陸したゴジラは、知っている形状ではなかった。
とっさに頭に浮かぶのはゴジラvs○○。
もしかして、ゴジラはこいつと戦うの? と一瞬がっかりした。
実はゴジラが人間のために戦う図が食傷気味だったりする。ゴジラが人間のために戦う義理が分からんし。

しかし、その生き物はびっちびっちとのたうちまわりながら、エラ? から血を吐き、形状を変化させていく。背筋を冷たいものが這いあがっていくのと同時に、胸を熱くさせる変態。
あまつさえ、立ち上がりよった。あれ、おれ、これ立てる? 立てるんじゃね? 立ったーー! ゴジラが立った!

●ゴジラを憎んでいたのか
ゴジラと相対するのは長谷川博己さん演じる矢口を中心とした巨災対(『巨大不明生物特設災害対策本部』の略称)だ。
ゴジラを倒すために、巨災対はあらゆる角度から分析を繰り返す。
難しい用語がたくさん出てくるので8割方何を言っているのか分からなかったんですけどね……。巨災対がいたおかげでゴジラを停止させることができた。
でも、会議室でゴジラと向き合っているときってあまり危機感が感じられなかったんだよな……。
ゴジラは「敵」ではあるんだけど、あんまり彼らに憎しみとかがないというか、淡々としているというか。街をむちゃくちゃにしやがって! とか、俺の恋人を家族をよくも……! という私怨が混ざらないからなのか。純粋にゴジラのことだけを考えて、ゴジラと向き合う。
印象的なのは矢口の視線。ときおり、矢口はゴジラを観たときに不思議な瞳をする。
ゴジラを見て、一言「すごい」と発するシーンがある。
その瞳は驚きや畏怖というよりは、どちらかというと好奇心をそそられたような。

そして、ゴジラが都内を火の海にする直前、だっただろうか。
その姿に見とれているような気がした。
矢口はゴジラを憎むというよりは、なにかこう、誰よりも個体生物として惹かれていたような気がしてならない。

●余計な人間関係の排除
『シン・ゴジラ』において登場人物たちに背景がない、というのはよく言われることだ。
しかし、人間らしさをにおわせる描写はいくつもあった。観ている側が補完すればいい話(カヨコと矢口が元恋人同士って設定がなくてよかったよ、本当に。そういうのはこっちで勝手にやるんで、公式は何も言わないで!)

家族がいる者、研究を愛する者、野心を心に抱く者。
以前からの関係性をうかがうことができるしぐさ、言葉。
全てを隠すわけでもなく、全てを教えてくれるわけでもない。
それが一番、こちらの妄想力を掻き立てる。
個人的には高良健吾さん演じる志村が矢口に対する尊敬、信頼が覗くあたりがときめく。

誰かが、本当のヒーローには背景がない、ヒーローは第三者の背景を作っていく、って言っていたのだけど誰が言っていたのだろう、思い出せない……。

●あの役ができるのは石原さとみしかいない
公開当初から物議を醸していたのが、石原さとみさん演じる「カヨコ・アン・パタースン」。
英語が下手だの、あんなアメリカ大統領候補がいるわけがないだの……。
私はぜんっぜん英語が話せないので、さほど違和感はなかったし、英語交じりの日本語もなぜかすんなり受け入れられた(と言うか、比較的与えられたものはよっぽどのことがない限りすんなり受け入れるタイプだ。残念なことに)。
何より、スクリーンに出てくるだけで華やかになる。市川実日子さんもとても素敵だけど、石原さとみさんがいるからこそ、その美しさが引き立てられている気がする。そうだよ、私はさとみが好きなんだよ……。『失恋ショコラティエ』のサエコもよかった。
あと、あのパタースンの役を何食わぬ顔をしてシレッと演じることができるのは石原さとみしかいないよなあ、って。そんなこと言ったら『進撃の巨人』での彼女もある意味『違和感』だと思うし。

あと、散々あれだけ「ガッジィィラ」って言っていたのが終盤に「ゴジラ」と言い換えたのは客観から主観に変わった瞬間だったのかなあ。ガッジィィラって言ってるときのさとみの顔も好きだったのにな。

●消える『エヴァっぽさ』
1度目はBGMや、画、あとヤシオリ作戦とか、「ああ、エヴァっぽいなあ」と思ったんだけど、2度目に観たときは、それらが『シン・ゴジラ』に内包されたというか。
一緒に観に行った家族が庵野監督ファンで、エヴァほか庵野作品にかなり入れ込んでいるのだけど、『シン・ゴジラ』を作ったからエヴァの続きが造れる、のではなくて、もはや『シン・ゴジラ』を作るためにエヴァを造っていた気がする……と。2度目に観たときはなんだか私もそんな気がしてきた。

ただ、エヴァで絵として観ていたものが、実写で映し出されるとなんとも言えないものがある。

●5%の絶望が95%の希望を覆す
庵野監督はあのエヴァを造った人だし、もしや、ハッピーエンドで終わらないのではないか、と思っていた。エヴァもだけど、以前見た『巨神兵 東京に現わる』が絶望しかなかったので。
結果、ゴジラは活動を停止したし、スクラップ&ビルドでこれから日本は立ち直っていく、希望を抱いて……という形だとは思うのだけど、ところどころに垣間見える禍々しさはなんなんだ、と。実は、2回観て2回ともラストシーンのゴジラの尻尾のところにヒトを見つけられていないので、それを抜きにしても禍々しさが残る。

だからと言ってシン・ゴジラの第2弾はいらない……。補完は自分でしたい。

無人在来線爆弾とか防衛大臣の花森さんとか、こういうところで出演できちゃう前田のあっちゃんの引きの強さとか、高橋一生さんとかほかにも書きたいことはたくさんあるんだけど、それは3回目を観に行ってからにする。

以上!

ところで、パンフレットのゴジラと目が合うの、ちょっと怖い。



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