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「なんか私ってやだなぁ」と思った話。

この前、夫と2人で旅行に行った。
なんだかんだで夫婦での旅行は気楽だし、くだらない話をしながら観光地巡って、夜はダラダラとテレビを観ながら寝ちゃう。
と言うか何より上げ膳据え膳最高

そんな旅行の帰りの話。
お土産に焼酎のミニボトルやきびなごの瓶詰めを買った。
ちゃんと梱包してあるからスーツケースに入れて空港で預けようとしたのだけれど、スタッフさんに
「割れるかもしれない、保証はできない」
と言われた。
まあそりゃあそうだよね、どうしようかな、と迷う。
で、隣にいた夫に
「どう思う? 出したほうがいいかな、そのままでもいけるかな」
と聞いた。

聞きたかったのは「正解」ではない。適当でもいいから即断してもらいたかったのだ、私が迷っているから。
でも、夫は「うーん、どうだろう」と熟考し始めた。
比較的小さい空港だったので手荷物預かり所も小さい。迷っている間に後ろは詰まっていく。夫の回答を待てずに、スタッフさんに向かって口を開く。

「すみません、やっぱり瓶類出してもいいですか」
「この場で出せますか?」
「出せます」

持っていたジャケットを乱暴に床に投げその場でスーツケースを開けて、ガシャンガシャンと音を立てながら瓶類を出した。
夫は「そんなふうにしたら割れちゃうよ」と困り顔で言ったけれど、私はやめなかった。
全て取り出し、スタッフさんのスーツケースを再度渡して無事に預けられた。

瓶類は夫が自分のリュックに入れてくれた。
それもなんだか気に入らなくなっていた。
「いいよ、余ってる紙袋に入れる」
「大丈夫、俺のリュックそんなに荷物入ってないから」
「でも手荷物検査のときに面倒かもしれないし」
「その時はその時でしょ」

夫はひとつも悪くない。
ただ、勝手に癇癪を起こしたみたいにわあっと苛立ちが溢れるのだ。
すぐにそれは治って、「イライラしてごめんね」と謝るし、夫も少し困ったように笑って「気にしてへんで」と下手な関西弁で答える。

ときどき、そんなふうに苛立ってしまうのも嫌だし、たとえ苛立ったとしても抑え込めばいいものを、夫にぶつけてしまうのも嫌だった。
もちろん、友だちに対してそんな態度をとることはない。
夫婦だから、気を許しているからだよ、という話なのかもしれない。
でも理不尽な言動をぶつけて受け流してもらえるってまあ私はこの人に甘えてるなあ、とうんざりする。
これで夫が私の苛立ちに怒ってくれればいいのかというとそうでもない。怒られたことはないけど、そんなことになったらたぶん、泣く。
今度は自分が泣いている状況に怒り出すだろうし、ドツボにハマるんだろうなあ。

それでも感情を抑えきれない私を私がやっぱり「なんか嫌」。

#夫婦 #エッセイ #情緒


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