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「あたし おかあさんだから」・・・?

絵本作家のぶみさんが作った「あたし おかあさんだから」の歌詞がツイッターで炎上している。正直言って、今日一番最初にFacebookで見かけたときは、ゾッとしてしまった。呪いの言葉のように見えたからだ。


これを歌っているのは、元うたのおにいさんの横山大介さん。彼の声で、可愛いアニメーションと共に耳にしていたら、また印象は違ったのかもしれない。「あたし おかあさんだから」が繰り返し並んでいるそのキャプチャ画像は、ある種の切り取りハラスメントともいえる。聞けばめちゃくちゃ感動する歌も、歌詞だけでそう感じるとは限らないし。

そう思って、よしメロディを聴いてみよう!と検索してみたけど、残念ながら見つけることができなかった。批判が殺到したようなので、削除されてしまったのかもしれない。なのであくまで歌詞だけを見た、今の個人的な意見。


この歌詞に、共感できる部分がないわけじゃない。私もネイルや夜遊びなど「昔はよくしていたけれど、今あまりしていないこと」はたくさんある。でもそれは私の場合、「子どもができたから」ではなく「子どもができたことで自分の中の優先順位が下がったから」だ。「あたし おかあさんだから」じゃなくて「あたし そこまでしてやりたくなくなったから」だ。だから今でも、夜にめちゃくちゃいきたいイベントがあれば夫や両親に根回しして子守を頼むし、子連れOKだったら連れていくこともある。仕事がしたいから保育園に子どもを預けるし、おしゃれでいたいから服も買う。子どものためになるかならないかではなく、自分にとって重要かどうかを判断基準にしているのは、「子どものために何かを我慢している」と思う自分がイヤだからだ。


ここで何を諦めて何を死守するかは人によって違って当然で、その選択の積み重ねが「その人らしい母親像」を作り上げていく。以前歌手の倖田來未さんが「子育て中なのにネイルが派手過ぎ!」なんて批判されているのを見た記憶があるけど、私は彼女らしくていいじゃないか!と思った。人前に立つアーティストでもあるし、ネイルに対する思い入れの深さはきっと私とは比べ物にならないだろう。ネイルをやめることでその人らしさが損なわれるなら、母親になっても誰に批判されても堂々と貫き通せばいい。



そんな個人差や様々なバックグラウンドがあるにも関わらず「あたし おかあさんだから」を枕詞に一辺倒に表現した(ように見えた)から、のぶみさんの「おかあさんを応援したい」という想いは「母親像の押し付けだ!」とねじれて受け取られてしまったのだろう。そのせいでのぶみさんが一番届けたかったはずの「育児でナーバスになっているお母さん」に、真っ先に拒絶されてしまったのだとしたら、なんとも皮肉な話だ。のぶみさんに好意的な人にはその想いが伝わったとしても、そうでない人にとってあの歌詞のキャプチャ画像は、かなり強烈に映ったことは想像に難くない。



のぶみさんのことはキンコン西野さんの発信を通して少し知っている程度だけど、めちゃくちゃ努力家さんだとお見受けしている。今回の歌詞も全国のおかあさんからたくさん話を聞いてマーケティングをして、「おかあさんあるある」ネタを集めて作られたようだ。きっと転んでもタダでは起きない人だろうから、今後どう収束していかれるのかを、そっと見守りたいと思う。


のぶみさん、がんばれ。
そして子育て中のおかあさんはがんばり過ぎず、ツイッターで #あたしおかあさんだけど を検索して、ちょっとほっこりしよう。

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