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【日本ではまだ聞けないハナシ】「アルケミスト」著者パウロ・コエーリョに10の質問

 世界的な大ベストセラーとなり70カ国で翻訳された「アルケミスト 夢を旅した少年」の著者 Paulo Coelho、パウロ・コエーリョ。今でも数年に一度のハイペースで本を出版している彼に、自身もベストセラー作家であるティム・フェリスが、パウロの創作活動やその哲学について、幾つか質問を投げかけました。

30分程度の短いインタビューなので、英語の分かる方は聴いてみて下さい。


創作活動中である自分は、「両手を縛られ、口にペンを加えた状態である」と表現したパウロ。

大ベストセラー作家として頂点を極めた男がどうやって創作へと向き合うのか、日頃の意外なルーティーンについて、また新しい世代の作家たちへのメッセージなど 、彼独特のアプローチや意見を話してくれています。

※今回のティムのインタビューは、幾つかの質問をパウロに送り、パウロがそれらを回答する形式です。音声を聞くと回答がアチラコチラに飛び飛びになっているので私の方でまとめました。

質問はざっくりと以下の通り。

質問1:締め切りに追われる日々に、朝起床してまず何をする?
質問2:普段のルーティーンは?
質問3:休みを取りますか?
質問4:「今日はよく書けた!」と思う一日とは?
質問5:スランプに陥った時の解決方法は?
質問6:アシスタントはいる?
質問7:浮かんだアイデアはどう拾う?アイデアの出し方は?
質問8:執筆前にストーリーや脚本は決まっているのか?
質問9:新人作家がよくする間違いは?
質問10:これからの時代の作家像とは?


質問1:締め切りに追われる日々、朝起床してまず何をする?


 2、3年に一冊、新作を発表しているので誤解も多いようですが、私には締め切りはありません。私は朝起きて、まずメールチェック、それから雑多なことをこなします。SNSの自分のページも覗いてみたり、とにかく執筆活動から遠ざかろうと必死です。

それらをタップリと時間をかけ、こなした後に襲ってくる罪悪感から、やっと私は机に向かうことができるのです。まずは30分だけと心に決めますが、執筆を始めると、それが10時間以上続くこともあります。 一度始めると止まらないことがよくあるんです。その繰り返しなので、結果的に数年に一度、本を出版できるような執筆スピードになるのでしょう。

翌朝も一緒。できるだけ怠けて怠けて、最後の最後で机に向かいます。

質問2:普段のルーティーンは? 


先ほども言いましたが、できるだけ執筆活動を行う机から遠ざかるよう努力します。
毎朝散歩に行きますがそれは私にとって瞑想のようなもの。 夜になるとたくさんノートを取りますが、それは浮かんできた考えを私の頭の中から外に出すためだけの行為であって、それを執筆している本に挿入することはほとんどありません。

質問3:休みを取りますか?


一冊の本を書き終えれば、 2週間程度の休みを自分で設けますが、執筆モードに突入すると休みは取りません。その時の状況は例えるなら不思議の国のアリスの冒頭で書かれた一文のようなもの。

「Begin at the beginning, the King said, very gravely, and go on till you come to the end: then stop.」(さあ始めよう。真面目に一歩ずつ。出口に着いたら立ち止まればいいさ。)

作家になるということは、私にとって夢でありました。
なので働いているという感覚はありません。自分の好きなことを追求し、そこに満足感や幸せを感じること、そして今此処に存在することで生まれた社会的な責任を全うすることに全力を傾けています。

質問4:「今日はよく書けた!」と思う一日とは?


朝から散々苦しんで机に向かい、日が落ちて楽しい時間を過ごせている時でしょうか。
10時間も机に向かった後は、体中にアドレナリンが満ちて、ベッドに入っても、なかなか眠れない夜もあります。

質問5:スランプに陥った時の解決方法は?


解決方法はひとつしかありません。自分を律して、今取り組んでいる物語と徹底的に向き合うこと。 それは10分でも10時間でもいい。決断し、ただひたすら前に進むだけです。

質問6:アシスタントはいる?


バルセロナに一人、私のオフィスがあるブラジルに一人、そして私の妻と妹だけです。関わる人数を絞ることによって、私は自由に創作活動を続けることができています。

質問7:浮かんだアイデアはどう活用する?


私が、浮かんだアイデアを活用しようと、意識的に行なっていることはありません。自分の人生を楽しみ全うするだけです。 そうしているうちにひとつの主題のようなものが浮かんできます。 そのうちに本が始まる最初の一文が生まれます。そこから本の終わりまで、一本の糸を紡いでいくような作業が始まります。

あくまで自分が経験したことのメタファーとして「アルケミスト 星の巡礼」も書き始めました。正直に言うと、なぜ羊飼いの少年を主人公に選んだのかは、今となれば定かではありません。 私自身が羊飼いになった経験はないので。

質問8:執筆前にストーリーや脚本は決まっているのか?


主題みたいなものは決まっていますが、 執筆前にあらすじを決めることは少ないです。書き進むうちに どんどんアドリブを加えていきます。作中に登場するキャラクターにはできるだけ自由を与えて、彼らが自分の筆を誘導するようにさせることを重要視しています。

作家の卵たちへのアドバイスなんですが、あなたの人生全ての事を書こうと思わないこと。人生を全うし、向き合うことで大切なものだけが残っていきます。 そうすれば机に向かった時にする作業はたったの二つ。

生きていくうち残った沈殿物にまっすぐ向き合うこと。そして、それを更に濾過する作業。この二つです。このやり方の方が到底扱いきれないような大量の情報をまとめようとするより、はるかに簡単です。

質問9:新人作家がよくする間違いは?

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