食肉加工3社の決算資料からビジネスモデルと今後を読み解く#20代マーケピザ養成所オンライン

こんにちわryoppcです。
#20代マーケピザ養成所オンラインに入会して初めての課題は以下


・・・普段何気なく数字を眺めるだけになっていたので良い機会になります。

①業界と選定理由

私が選んだのは肉卸業界!!!個人的には新卒入社した会社で食品(主に畜産品)の仕入れ、営業をしていたので懐かしい業界です。

選定理由1:
食品なのでロスの不安がずっと付きまとうわけですが、かといって売上に対して利益率が低いため、単に仕入れたものを横に流すだけの会社は、ほぼ存在せず、各社仕入れ力を活用したオリジナル商品の開発販売(イメージしやすいのはスーパーで売って焼くだけで食べれる、既に味がついてるお肉とかが想像しやすいかもです)も行っているので各社がどうやって利益を上げていこうとしているかに興味があったから。

選定理由2:
国内でのビジネスが中心でありますが飽和状態であり、新たな打ち手としてどういうことをしているか気になったから。




各社の売上構造の比較

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各社とも、営業利益がとても低く見えますが、
2017年の経済産業省の調査では卸売業における売上高営業利益率の平均は1.1%、製造業は4.0%。
※出典 https://sikin-rescue.jp/column/strategy/wholesale-trad-profit-rate#i-5
とのことなので実は3社とも業界平均よりは上回っているということになります。ですが、卸売りだけではなく自社製品も販売しているという点では、卸売業と製造業を兼ねているという見方も出来ます。その観点では低いといえるでしょう。
今回は、卸売りという観点、製造メーカーという観点で各社のセグメント別売上と方針について決算資料を分解してみていきましょう。


②企業分析:業界第一位日本ハム

1942年創業。大阪府大阪市北区に本社。業界第一位として唯一連結売上1兆円を超えている。

2019年決算

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直近の決算では軒並み2018年からマイナス成長となっています。
また今回注目しているのは加工事業と食肉事業について、以下。

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ギフト商材の宅配料金値上げなど物流コストが利益を圧迫。また市場が縮小。以下の調査データからも冷え込みがうかがえます。
※「今後、何にかかるお金を節約したいと思いますか?」という質問に「お中元・お歳暮」と答えた人の割合は前回からほぼ変化がなく、2018年は20.8%となりました。
出典 博報堂生活総合研究所による定点調査 https://seikatsusoken.jp/teiten/answer/1042.html

また、日本ハムでは食肉事業単体での営業利益率が4%台とかなり高く、
※他社は1%台
「桜姫」「麦小町」など自社ブランド食肉の利益率と
、生産、飼育から処理、加工、物流、販売まで全てを自社グループで行う一貫体制のためだと考えられます。

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③企業分析:業界第二位伊藤ハム米久ホールディングス

2015年9月15日、日本の食肉加工業界2位の伊藤ハムと7位の米久が経営統合。伊藤ハムと米久を傘下に置く日本の持株会社。
2019年決算

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ほぼ毎年営業利益ベースで下がり続けています。
分解してみてみます。
直近の連結発表を見ていると、


・加工事業についてはアルトバイエルンや簡単調理系商品など自社製品が好調だったが、業務用商材が不調。
・また、生産物流コストを転嫁できず利益圧迫された。
食肉事業については海外販社の不調。国内需要減の影響で約35%の営業利益減少となっている。

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中期経営計画によると2020年売上1兆円を目指すことを示されているが、
2019年決算時点で

2020年3月期の連結業績は売上高が3.4%増の8,800億円、営業利益が24.2%増の180億円、経常利益が27.6%増の200億円、当期純利益が32.2%増の140億円を見込んでいる。
連結業績発表

と下方修正している状況であることがうかがえます。
更に掘り下げていきます。
以下は2019年売上実績

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また以下は、中期経営計画時点での定量目標

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2019年売上実績と定量目標を比較しやすい2018年で比べると


実績対計画
ハム・ソーセージ 93%
加工品      87%
食肉       92%



すべて遅れていますが、加工品の進捗遅れが顕著になっています。


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上記からも配送コストが上がっていることがわかるため、価格へ転嫁するか、生産コストを下げて配送コストを現行価格で乗せきることが必要といえるでしょう。



③企業分析:業界第三位プリマハム

東京都に本社。ハムやソーセージを主力商品とし、と共に大手4社の一角を成す。伊藤忠商事系列。
一部再掲となりますが、日本ハム、伊藤ハムと違い、
加工事業の売上比率が50%以上且つ営業利益がかなり高く推移しています。

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直近では加工事業で販促施策でのシェア拡大と生産効率を上げることで加工事業の中のハム・ソーセージ製品での売り上げ、営業利益が上がっている状況となっています。
ただPB商品やギフト系商材で足をひっぱっている状況。

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直近では決算でも前年比で成果が5%UPした

・ハムソー工場の「人時生産性」向上 
・工場間での生産移管による最適化の推進


上記施策を更に促進する目的と思われる、新たにハム・ソーセージ製品の工場を新設するなどの動きを見せており、更に利益率が上がっていくように思います。



④共通の課題

各社共通して決算書で言っているポイントとして
・人手不足による人件費、物流費の高騰
が上げられます。
以下、物流費のみを比較してみました。

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日本ハムは2017年を最後に費用を抑えることができていることがわかります。これは、日本ハムが積極的に設備投資を行っており、
・自動化ラインの導入や老朽化した工場への投資
・物流拠点新設への投資
などを積極的に行っているからだと考えられます。
また日本ハムがとてもおもしろいのは
2020年に物流拠点を新設し、他社にも利用してもらい人手不足を逆手に取ったビジネスも展開していくようです。
※出典 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22463030Z11C17A0TJ1000/


また以下は物流費や人件費、宣伝費を含んだ販売管理費の比較です。

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各社の販売管理費高騰への取り組み
・日本ハムは他社と共同で飼育にかかる労働環境改善と慢性的な人手不足による技術低下を防ぐ取り組みとしてAI・IoT活用
※出典 https://www.ssnp.co.jp/news/meat/2018/12/2018-1220-1022-14.html

・プリマハムは競合となる滝沢ハムと生産・販売・調達などの広範な分野で業務提携
※出典 https://www.primaham.co.jp/attaches/pdf/20190513_oshirase.pdf

・伊藤ハムは人をかけない工場稼動を模索しています。
※出典 ttps://www.nikkei.com/article/DGXMZO41991930U9A300C1XQH000/



⑤自分達がその業界に新規参入するなら何をするか


やはり単純な肉の横流しは以下のデータからもきついことは想定できます。
単位は1kgあたりいくらという取引形態ですが、前年比較で20%も価格が上がったり下がったりしています。

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※出典  農畜産業機構 豚肉の価格動向
http://lin.alic.go.jp/alic/statis/dome/data2/i_pdf/3050a-3115a.pdf
相場感覚があれば横流しでも利益は出せるかもしれませんが事業としての継続性はありません。
そのため、
・得意領域での生産性を上げる。
プリマハムならハムソーなど加工製品での成果が良い状況のため施設増設を行っていますが、人不足は解消されることはないため俗人的な作業をすべて機械化していく。そして加工製品の中でラインナップを増やし、リスク分散させていく。


・自分たちが作った物流拠点や生産ラインを他社にも活用してもらい、利益を作る
新たな投資したラインをを自社生産のみにするのはさすがに限界があるように思います。単なる生産請負ではなく、「付加価値として生産ノウハウが詰まったライン」をOEMを請け負いながら売上を伸ばしていくのが良いのでと思います。


ことが良いと思います。


⑥おわりに

はじめてこんなにしっかり決算書を見て、調べまくって以下の本を開いては閉じを繰り返しました。





思ってたよりもかなり大変でしたが、なんとなくですが、3~5年間分を読んでいくと今行っていっていることがわかってきて今後の動きが少しだけ感覚でつかめるようになったかもしれないです。
あとはもう少し今回のようなまとめを作ってトレーニングを重ねます。


ありがとうございました。






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