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NEW GUNてどんな感じ?〜vol.40〜

年明け早々体調を崩してしまったけれど、順調に行けば2月でハーセプチン(分子標的療法)が終わる。再びマスク生活に戻り、体調管理を頑張った。

2月は私の誕生月だ。41で乳がんになり、43の誕生日を迎えた。

誕生日の少し前、息子のバースデーイベントが行われた。
ライブは観に行くが、ファンイベントとかは行ったことがなかった。が、息子に誘われたので初めて行くことにした。

前年はサプライズに手紙を送った。
今年はデコレーションケーキを作った。
息子のイメージカラーの緑で統一したチョコレートケーキ。

私やスタッフさん、お客さんで祝う日だったはずなのに、彼にとっては自分が人を喜ばす日だったようで、私のために押尾コータローさんの曲に中川晃教さんが詞をつけた『ナユタ』を歌ってくれた。

『ナユタ』

忘れていた人のこと思い出す
遠い雲 数えきれない思い出が蘇る
見上げた空と同じくらいに澄んだ眼差しは
僕を見つめ 風がときめく

歩く背中に追いつけない
振り向く そんな気がした曲がり角

背が高い木の木陰で二人見つめ合う
風が吹いて柔らかく包んだ

ずっと一緒にいよう

溢れ出す優しさも 美しい通り過ぎる季節
歩道橋真ん中ですれ違う
雨が降ったら優しくなる
愛する切なさに街がざわめく

気がはやいショーウインドウ
サンタクロース 飾り達
雪が降って 柔らかく包んだ光を見つめた

心の中に訪れる小さな幸せ
隣にいる 側にいる
追いつけないくらい早く過ぎてく
すぐそばをどんな人たちが生きていたのか

やるせない毎日が繰り返す雨の中
数えきれない思いが募って
愛が空に拡がる

一緒にいよう

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「本当はそういう愛の歌ではないけど」

と歌い終わった息子が言った。息子はお客さんの前で私が生みの親ではないという話をした。今は戸籍上も親子。でも、前と変わらない。距離が近くなったかな、と。

息子にはたくさん辛い思いをさせてしまった。もちろん、私はその時は親ではなかったけれど。
歌を聴いている時に、しまいこんでいたたくさんの幸せな思い出が蘇って、涙が止まらなかった。

出かけると帰りにはおんぶと言われる。当時は重くてしんどくもあったけれど、甘える息子の顔。食の細い息子が喜んで食べてくれた時のごはん。

「パパ(私にとっては兄)と結婚してママになって!」

と言われた時からずっと息子は私をお母さんに望んでいてくれたんだよね。

私たちが普通の親子だったらこんな愛情表現はしてもらえなかったかもしれない。病気にならなかったら、こんな特別は起こらなかったかもしれない。

誕生日の当日は旦那が探してくれたメキシコ料理のレストランでご飯を食べた。いつも好きなところでいいよ、という旦那がチョイスしてくれるのは珍しいことだった。

病気になってなくても、私たちはいつ死んじゃうかわからないけれど、私は病気になって本当に欲しいものを確実に手に入れている、と思う。死を意識して、初めてクリアになったことが多々ある。


そして、順調に体調も崩さず、2/22に最後のハーセプチンを打って、1年に渡る毎週の通院は終了した。


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