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トマトソースのパスタ、具材はマルチョウ!本場イタリアのホルモン煮込みのパイヤータ

金欠時の強~い味方、ホルモン。

飽食の時代と言われて久しい現代ですが、食文化の歴史はそもそも貧しさの中で育って来ました。

今回は【リガトーニ・コン・パイヤータ】のご紹介です。


もくじ

1 臓物料理と言えばテスタッチョ
1.1 ローマ近郊の屠畜場跡地ゆえの名物
1.2 ホルモンでお馴染みのマルチョウ、ヒモ、白モツ
1.3 ローマの名物の味の違い
2 作り方
2.1 材料(二人前)
2.2 作り方
3 カロリー
4 上手に作るコツ
4.1 野菜の繊維質を崩すための3時間
4.2 マルチョウから出た脂を乳化させる
4.3 味付けに関して
4.4 チーズは基本的にペコリーノ
5 ワインを合わせるなら
5.1 ちょっと小話


臓物料理と言えばテスタッチョ

ローマ近郊の屠畜場跡地ゆえの名物
テスタッチョ地区はローマの下町のようなもので、この辺りはテール(尻尾)の煮込み、トリッパ(胃)、パイヤータ(腸)など臓物の料理が名物という事で有名です。

トリッパの記事でも触れましたが、この地区には昔大規模な屠畜場があったことから貧しい周辺住民たちが「余り物を何とか美味しく料理出来ないか?」と工夫したところからこうした文化が発達したんですね。

まだご紹介していませんが、【ローマ風のテールの煮込み】もとても美味しい料理ですし、私はローマの臓物料理が大好きです。

ホルモンでお馴染みのマルチョウ、ヒモ、白モツ
日本でもホルモンが爆発的な人気になったのは、売り手にとって仕入れが安いからと言っても過言ではありません。

パイヤータ(もしくはパリアータ)は牛の小腸=マルチョウを使用する料理で、非常に脂っぽい一方で甘味とコクのある部位の肉になります。

確かに火の入れ始めは臭いが立つのですが、しばらく煮込んで行くと全く気にならなくなるのでトリッパがお好きな方はパイアータもきっと好きになってもらえるんじゃないかと思います。

マルチョウはヒモとか白モツとか言われる事もありますが、白モツは小腸、大腸、直腸の総称であり、特にマルチョウは脂が強い小腸を指します。

ローマの名物の味の違い
トリッパもパイヤータもテールも香味野菜とトマトソースで煮込む点は同じです。

トリッパがハーブでスッキリと、パイヤータは唐辛子で辛めに、テールは干し葡萄で甘めに仕上げるのがそれぞれの違いになります。

作り方

材料(二人前)
・リガトーニ(パスタ) 120g
・マルチョウ(牛小腸) 200g
・オリーブオイル 大さじ1
・ニンニク 1片
・唐辛子 3本
・玉ねぎ 1/4個
・人参 1/8本
・セロリ 1/8本
・ヴィン・サント 30ml
・基本のトマトソース 1/2カップ
・ローリエ 1枚
・ペコリーノ・ロマーノ 適量

作り方
①玉ねぎ、人参、セロリをミキサーに掛け、マルチョウを食べやすいサイズに切り分ける。
②深めの鍋にオリーブオイルを引き、ニンニク、唐辛子、唐辛子の種一本分、①を入れてしんなりするまで炒める。
③ヴィン・サントを加えて軽く煮詰め、アルコールを飛ばしたら基本のトマトソース、マルチョウ、ローリエ、湯を加えてひたひたにして弱火で4時間煮込む。
④深鍋に水を張り、1%の塩を加えてリガトーニを茹でる。
⑤④の茹で汁を③にお玉1~2杯分加え、味を調えながらよく煮詰める。
⑥茹で上がったリガトーニを③の鍋に加えて和え、火を止める。
⑦皿に盛り、ペコリーノチーズを散らしたら完成。

カロリー

りょうりんのリガトーニ・コン・パイヤータ一人前は大体 708 キロカロリーくらいです。

上手に作るコツ

野菜の繊維質を崩すための3時間
香味野菜はいずれも繊維質が豊富で、よく煮込まなければシャリシャリした食感が残ってしまいます。

これが残るとどんなに味が良くともイマイチな印象になってしまうので根気良く煮詰めるのが美味しく作るコツですね。

圧力鍋で手短に作るのも良いと思いますが、私は小さなサイズの圧力鍋を持っていませんのでどんな具合になるのかはちょっと分かりません。

マルチョウから出た脂を乳化させる
油脂が多い素材ですからこれを利用しない手はありません。

マルチョウから溶け出した脂が水分と混じり合い、ソース全体がネットリしてきたら成功です。(というか基本的に失敗しません笑)

ドロドロになった香味野菜と入荷してネットリしたソースが一体となり、これがパイヤータの旨さの源となるのです。

味付けに関して
私の料理は基本のトマトソースを使ってパチッと決めるので、塩を加えたりはしません。

基本のトマトソースに含まれる塩分や酸味と香味野菜の甘味がミックスされると丁度良い味になると思いますが、野菜で嵩が増えた分、少しばかり塩気が欲しいと思うようであればパスタの茹で汁を加えて調整すれば良いでしょう。

ヴィン・サントは甘口の白ワインですが、これを加えることによってかなりソースの味がコッテリします。

少しアッサリめの方が好みであれば辛口の白ワインを選べば良いと思います。

チーズは基本的にペコリーノ
BSE問題が起きた頃から本場イタリアでは仔牛の小腸を利用する事は避け、羊の小腸でパイヤータを作る事が多いそうです。

これはただの偶然かとは思いますが、そもそもローマは帝政ローマの頃から羊のチーズであるペコリーノ・ロマーノが主な保存食だったので、歴史的にも料理にはペコリーノチーズを使う事が多いんですね。

もちろんイタリアのチーズの王様【パルミジャーノ・レッジャーノ】も風味や香りが良いので、こちらの方がお好きな方はそれで良いと思います。

あまりペコリーノの粉チーズは売っていませんし削るのも面倒、我が家の冷蔵庫にはパルミジャーノパウダーが常備されておりますので私はこちらを使用しました。

ワインを合わせるなら

白ワインですかね。

赤ワインも合わない事はないと思いますが、せっかくたっぷりの脂が乳化した濃厚なソースをタンニンの利いたイタリア赤ワインで流し込むのは勿体ないと思いました。

地元ラツィオ州のワインとなるとD.O.C.G.の【フラスカーティ】を挙げたいところですが、優しい口当たりのD.O.C.ワイン【オルヴィエート】の方が合うかも知れません。

・オルヴィエート

ちょっと小話
ワインのお話をする度に思い出すのですが、旅行中に覚えたてホヤホヤのイタリア語を喋りたくてピッツェリアにて

私「白ヴィー……ヴィ、ヴィーノ・ビアンコ、ウーノ!」

と言ったらイタリア人スタッフに

イタリア人「白ワーイン?ひとーつ?」

と返され、

私「イエス……」

と答えた事があります。

国際人気取りが互いにアベコベになっているのに気付き「何やってんだオレ?」と思ったのを今でも忘れられません。

「イエス」って英語じゃんorz

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