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【WEEKLY留学記⑫】(11/5~11/11)

今週は濃かった。

ぼくはたまにシチューを作りますが、シチューのパッケージの裏には加える水の推奨量が書いてあって、必ずそれより少ない水の量を鍋の中に入れます。濃いシチューが食べたいので。なので冷えては煮込んで、冷えては煮込んでを繰り返してたら最後らへんにはいつもドロドロのシチューになって、体調が悪い時に食べたらさらに体調が悪くなるみたいな濃さになります。今週はそれぐらい濃かった。

パンデミックを起こそう

今週のはじめ、日本にいる友達の一人がおもしろい挑戦を始めた。

Facebookで毎日英語日記を投稿

英語をペラペラに喋れたら絶対女の子にモテる!という不純な下心はさておき、本気で英語を上達したいという思いから一ヶ月前に英会話を始めたみたい。でもスピーキングだけでは伸ばせない能力もあることがわかり、弱点を克服するために毎日英語でアウトプットすることを決めたという。熱い。

世の中にはすごい人がいっぱいいる。遥々アフリカに赴いて、一から募金を募り、病院を建てようとする人もいれば、しっかり日本に軸を置いて、地方活性に奮闘してる人もいる。SNS越しにそういう方たちを見て、情報ややる気をいつももらえたりしているので、ありがたい。でも僕の根性なんて知れたもので、そのエネルギーはそう長くは続かない。

なので結局のところ、身近な友達の挑戦に一番ワクワクさせられ、動かされることは真実だと思う。

その波に乗り、僕も日々投稿を始めることにした。やってみると気づくことがたくさんある。あやふやだった単語を調べるきっかけにもなるし、日々の生活にこんなにネタが溢れていることにも気づく。続けていけばそりゃ英語が少しずつうまくなるだろうと信じてる。

こういうやる気の伝染がもっと拡大したら、世の中はもっと楽しくなるんとちゃうかなって思っています。行動が伴う言葉にはきっと力がある。僕も地道に発信を続けていきたいし、発信し続けている友達を応援したい。


新しい仕事

二か月間続けていた中国語→日本語のマンガ翻訳の仕事は、今週をもって辞めました。(週に二話ずつ求められるのはちょっと負担になってきたからね)

タイミングを見計らっていたかのように、カンボジアで起業しているトビタテ第一期生の先輩から新しい仕事の話を頂きました。

岡山にいた頃、国際協力の話が聞けると聞いて、ラヴィアンカフェというレトロなカフェでその先輩が主催する「カンボジア報告会」に参加しました。あの時のカフェから、カンボジアにちょっと興味を持ちはじめ、先輩の発信する活動も頻繫に目にするようになり、そしてその縁のおかげで、今はその企業がやってる民泊代行メールという仕事を教えてもらっています。英語と中国語を生かせる仕事なので、仕事で使えるスキルを学びながら負担をかけすぎずに続けていこうと思います。

@ラヴィアンカフェ

ボスキャリ

今週末の金土日の三日間、ボストンにて世界最大級と言われるキャリアフォーラムが開かれていました。とは言っても興味があるのは英語圏に留学している日本人留学生ぐらいなので、アメリカ人のルームメイトに聞いてもなにそれ美味しいの?ぐらいの反応しかもらえません。泣

留学する前、大学の担当教員から、せっかくのアメリカだからボスキャリ行っておいで、と言われていましたが、ぼくはその時あんまり興味がなかったです。まだ二回生だし、学部卒業したら院進学しか視野になかったので。そしてこっちに来てから、社会経験を積むための期間、ギャップイヤーという存在を知り、少しずつ価値観が変わりました。(価値観ってガラッとではなく、ジワーと変わるもんなんだなと最近すごく実感)

もう二回生だし、どんな専門的な勉強を深めればいいかを知るために社会に出てみるのは早いに越したことはない。今回はその玄関口を見せてもらうという意味でボスキャリに行くことにしました。

これがね、めっちゃ楽しかったマジで色んな話聞けた。

アマゾン、ツイッター、IBMのような外資系もいれば、塩野義製薬、住友重工のような日本企業も、それに勢いがある小さなベンチャー企業も多く出展していました。今年は過去最高で230社集まっています。

ぼくは面接と企業のセミナーをそれぞれ4社受けました。全部を紹介するというよりここでは、企業を代表する人との会話の中で興味深かったトピックをいくつかシェアしていきます。

個別化医療から見えた日本とアメリカの医療制度の違い

スイスのバーゼルに本社を置く「ノバルティス」という国際的な製薬企業の人事さんからの話。

この会社「ノバルティス」は2年前に新しい形のがん治療薬を開発しました。患者さんから血液を取って、その中にあるT細胞を採取し、がん細胞を攻撃するような遺伝子を導入した後にまた患者さんに戻すという革新的な免疫細胞医療です。海外名では「Kymriah(キムリア)」で、日本名では「CTL019」と呼ばれています。

「Kymriah(キムリア)」はまさに次世代のパーソナライズ医療なんですが、いくつか問題もあります。

患者さん一人ひとりに合わせて製造販売しているので、治療費がすごく高いんです。アメリカでは一回の治療に約5000万円かかります。この治療費があまりにも高いので、アメリカでは一部の公的保険加入者に対して、治療の効果が出たときだけ、患者さんが費用を負担する成果報酬型の支払い方法を採用しています。

そして、これができるのはアメリカだけなんです。「Kymriah(キムリア)」の使用が認められているのは、アメリカとヨーロッパの一部の国だけで、現時点で日本では使用ができません。今年の四月にノバルティスは承認申請を出したんですが、まだ結果が返ってきていないようです。日本人の人事さんも言ってたんですが、恐らく日本では承認されないと思います。承認申請が通り、国民皆保険が適用されて、こんな高価な薬が普及すれば、日本の財政が持たなくなりますからね。

でもこれからはどんどんパーソナライズ医療が普及していく時代。治療が効けば費用を負担し、効かなければ減額という成果報酬型の支払い方法もそれに合わせて普及していくと思います。アメリカはほとんどの企業が独自の弁護士を持っていて、国が法規制を始める前にどんどん独自のシステムを作っていくから、こうした新しい形の治療法も社会に受け入れられやすいのかもしれません。

遺伝子を使った医療が進歩するにつれて、日本の福祉医療制度もそろそろ変わるかもしれないですね。

アフリカ支援と日本

横浜に本社を置く「保健科学研究所」という検体検査する会社の人事さんと面接した時の話。

中国は今、大量な資源をアフリカに投下してインフラ整備に力を入れている話はよく聞きますが、日本がどんな支援をしているか、今までぼくは知らなかった。そして、それを知るきっかけが、偶然面接を受けることにした会社からもらえるとも予想していませんでした。

2014年に始まったアフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ、略して「ABE initiative(アベイニシアティブ)」。政府、企業、学校が一体となってアフリカでの持続可能な経済成長を支援するような政策です。どう支援するかというと、まずアフリカからの若手人材を外国人留学生として日本の大学院修士課程から受け入れ、その後実践経験を積んでもらうために企業への見学やインターンシップをしてもらい、帰国した後に日本で学んだ技術でアフリカを活性化する、という流れです。2014年から今年まですでに1200人を超える留学生がアフリカ諸国から来ており、これが2021年まで続く予定です。

なぜこの話を保健科学研究所から聞けたかというと、この会社はこのプログラムで唯一の医療系インターン先のようだったみたいです。これまでに南アフリカ、ガーナから既に3人を受け入れてきたんだとか。

さすが日本、めちゃくちゃ自分の国際的立場をわかってて、いいプログラムを作ってんじゃんって思いました。が、この話を聞いた二日後、まさに今日、このプログラムの問題点も知りました。

ボスキャリをきっかけにSNSで知り合い、青年海外協力隊としてアフリカのベナンに二年滞在していた日本人の話を聞くと、この「ABE initiative(アベイニシアティブ)」で技術を学んで帰ってきたアフリカの学生は全員が全員真面目にアフリカに残るわけじゃないみたい。報酬が高い都市部や海外に流れ出ていってしまうのが問題のようです。言われてみれば確かに納得できますね。

あともう一つが、支援が形に残るかどうか。形が残る支援=良い支援というわけでもないが、中国が力を入れているインフラ整備はやはり20年後、30年後でも、市民に見える形で残っていく。このnoteにこのプログラムを共有したい意味の一つに、せめて支援している側の日本の人たちにもっと知ってもらいたい思いがあります。


ボスキャリお疲れさま会

もう二つほど、日本の中小企業とアメリカ教育、を紹介したかったんですが、睡魔がそこまで迫ってるので、無理せずに今週はここまで。

マジで最後まで真面目に読んでくれたあなたはです。いつもありがとうございます。

ではではまた来週!!

君に幸あれ!!!