二歳半の検診だ今日は
二歳半の、検診だ今日は
空気が明るいな
こんなに心配な気持ちでやってきたというのに

二歳半の検診だ今日は
受付のテーブルに行くまでに走り回る君
空気が明るいな
やけに笑顔が多いじゃないか

お母さん　息子さん
お母さん　娘さん
たまにお父さん
その中のおれ

二歳半の検診だ今日は
走り回る君止められない母
空気が明るいじゃないか
絵本を読む子どもたち

世界の縮図みたいに感じられる
濃密なときの中で
有給をとってここにきた
こんなことが大げさだなんて

馬鹿だなあ
走り回る君　指も差さずに
それを見て笑うおれの
娘ははいはいの一歩手前の

今日は二歳半の検診じゃあないか
落ち着いた視線
柔和な表情
丸みのある体つき

優しいな二歳半の検診
空気がどうしようもなくだらしなくて
その中で子どもらが遊び
おれも心から笑ってしまうよ

けどおれにおっぱいはなくて
それだけの理由で不安になり
それだけの理由で
この人達を頼もしく思いたい

厳しいな二歳半の検診　わかるよ
ケツから腹までまっくろな
君たちの先輩の問題が見える
嫌だな　青いケツが　好きだぞ

絵本と歯磨きの世界
絵本は投げられ　読まれ　食べられ
多様の天国
歯磨きでみな泣き　一様に地獄

二歳半の検診は
とても短く
おれの心に
未来の轍を刻んでいった

二歳半の検診
酒映える夜
二歳半の検診
けどおれにおっぱいはなくて

君と眠る検診の夜
長い長い夜の時間に
君の指を見つめて触る
長いな

夢でいいから
馬鹿な上司みたいに
指さしてくれたらいいのに
馬鹿みたいに目潰しするくらいの指で