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正直さにちょっと救われた、酸っぱい夜の話。

ひとに正直になにかを話して「良かった。」って思ったことはありますか?

どうだろう。イエス・ノーどちらが多数派か割と読めないなこれは。「正直者は馬鹿を見る」なんて無慈悲な言葉もありますから。どうでしょうね。

僕の場合は「20歳前はそういうことが多かったかな。」です。

今日はそういうお話。
りょーさけ16歳のある夜の話です。


僕、携帯端末が好きなんですよ。
ガラケーとか、スマホとか、タブレットとか。
厳密に言うと、常に誰かに連絡を取れる可能性が手元にあるってのが好きなんです。

あ、ここだけ聞くとめんどくさいやつ認定されますね。
ふっふ、それ、あなたの勝手な推測ですよ?

まあ安心して下さい。本物は、実物はあなたが思う10倍以上はめんどうくさいやつです。よくラインとか送りすぎて相手に引かれるタイプでして…。

まあはい、ジョークはここまでにしてですね。

ケータイが好きでした。
メールのやり取りが好きでした。

ということで、好きなひととメールをする時間は格別なものでした。

ちょうど今くらいの時間からかな?それが始まるのは。

「起きてる?」

って、どちらかが相手に送って始まるメール。光る液晶、震える本体、明るくなる視界、どれをとっても嫌になるくらいワクワクしてしまう。

懐かしいね。
や、僕の世代は高校からケータイデビューする人がとても多かったのですよ。みんな触ってたと思う。中には持ってない禁欲的な人もいたけど、僕としては信じられないなあ。あれに手を出さないとは…。

(こんな話、以前もちょっとしたような?ま、それくらい携帯端末が好きなんだなーって思っておいて下さい。)

当時、というか今も僕は大変口下手なので学校でそのひとと会ってもあんまり喋れません。ああ、相手は高校の同級生です。クラスメート。

懐かしいね。
充電器につなぎながら酷使されて熱々になったケータイの本体を真っ暗闇でブンブンして放熱しながらメールを打ってたよ。よーやるわ。たいして冷めもしないのにね。

え、こういうのしたことない人います?
年代によって手段は違うと思うけど、なんか伝わると信じる。

秘密の意思疎通チャレンジって、ときめいて苦しんで愛おしいものだって信じる。何らかの手段でやったことがあるひとがまあまあいると、信じる。

ま、そんな流れでメールをするわけです。
クラスであったこと、互いが知らない中学時代のこと、他愛もないことを話す。盛り上がるもんだ。そういうときって。シチュエーションハイもあるのでしょう。


そんな時に恐れるもの、それはネタ切れ。

だと思う。ただでさえひとと話しててネタ切れはきついけど、好きなひととか、話してて心地よいひと相手のネタ切れはきつい。焦る。汗が出る。真夏だし。この部屋クーラーないし。外は凪。


そしてその夜その八方塞がりが僕にも訪れた。

相槌でやり過ごす。今と違って、ラインみたいに高速じゃない。わざわざメールを送信して一語「うん。」とか「そぅだね笑」とかでやり過ごし続けるのはきつい。

(イキった「そぅだね」で照れくさくなったやつは僕の仲間)

あーどうしよ。寝たフリ?え、もったいないメールしてるのに!でもどうするの、暑い。やばい。なんでこういう感じになっちゃうの、え、悲しい。ここでやめたら嫌われないの。でもどうでも良い話題出して嫌われるのも嫌。あ、どーしよ暑い。え、あ、どーしy


僕「ねえ、ひとと話しててさ、話題がなくなったときってどうしてる?」

相手「わ、今思ってた。話したいのに話すこと見つからないと嫌だよね笑」


と。あら。なんか、うまくいっちゃったコレ…?

正直者は、馬鹿を見なかった。奇跡だ。これは。
その後も会話が続いたんだ。

半分生きた心地がしなくて、胃酸が若干上がって酸っぱかった、状況的にもなにこれ酸っぱいちょっと甘い感じだったけど、続いたんだよ。

なんだろ、20歳より前って、そもそも本気で正直になりきれるやつが少なかったからだろうか。あるじゃん、本気なやつ、素直なやつ、正直なやつをせせら笑う大多数の雰囲気。

ま、日頃学校ではそういう感じが優勢で嫌になるわけだけども。

たまに素直で馬鹿すぎる正直な言葉が、どんな作家が選り抜いた言葉より響くことってあると思う。で、その言葉を投げた方も、で、たぶん投げかけられた方も感動する。立ち止まっちゃう。

相手の顔を、じっと見ちゃう。その時に気づく。
アホそうで何も考えてなさそう、だけど爽やかなやつがなんであの時代モテたのか。

言えちゃうからだ。そういう素直な言葉をさ。かなわないんだ。少なくともあの時代はさ。

ふーーーーーーーーーーーー。(長ーーーーーーいため息。)


いいね素直なやつは!あの頃は羨ましくて嫉妬してたけれど、今こそ素直にそういうやつを讃えるわ!


ってことでそんなことを思い浮かべて、今日はこのお酒を飲んで眠ろう。

飛良泉、飛囀(ひてん)−鵠(HAKUCHO)。
簡単に解説すると、素材、製法面であの手この手を使い「酸味」に特化したお酒。

日本酒の中には4種類の有機酸が含まれている。乳酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸。この酒はそのうちの3つをかなり強調する造りになっている。(コハク酸以外)

で、酸が強いから、それと釣り合いをとるために甘さも強めにしてる。

それが合わさってなんとまあ甘酸っぱいことか…。

甘酸っぱいことか。

まあ過去の僕よ、せいぜい言葉遣いや雰囲気に気をつけながら海を小舟で渡れ。

甘酸っぱい海を。

ああ、甘酸っぱい。この酒。

いや。

なんでだろう。やや酸っぱい。

やっぱり、やや酸っぱいな。

乾杯。



酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。