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詐欺父VS実は絶対言葉わかってる息子

「こいつ絶対言葉わかってるだろ」と思うことがある。こいつとはもちろん、わたしに似てかわいい息子のことだ。

わたしに似て、かわいい息子のことだ。異論などは認めない。

そんなことはどうでもいい。いやよくない。話が進まない。

言葉の話だった。

以前もちょっと書いたけれど、わが家の2歳児はちょこっと言語的な発達が遅めらしい。2歳半の検診でも保育士の方に「もしかしたら、ね。」と言われた。今度発達面のアドバイザー機関みたいなところへ一緒に行く予定だ。普段行かない地域に行くから、ついでにラーメンを食べるつもりだ。つけ麺でもいい。そろそろ季節的に熱盛りに切り替えて言ってもいいと思う。

言葉の話だった。

まだ語彙は少ないのだけれど、かわいい彼は段々と手持ちのカードを増やしているように思う。

例えば、水を飲む合間に「オイシー!」と叫ぶようになった。好きな食べ物も「オイシー!」だ。ただ現時点では明らかに「楽しい!」というべきであろう場面でも「オイシー!」という。要するに彼の中でその言葉は「Good」とか「イイネ!」とか「ヤバい」なのだろう。

この夏は相当暑さにも苦しんだらしく「アチー!」も覚えた。今の所寒いときに「アチー!」とは言ってないので、こっちはちゃんと覚えたようである。

基本何を喋っていてもわたしに似てとってもかわいいのだが(しつこいですか?)、時に呪文を唱えることがある。全部正確に書こうとしたら文字化けで書くしかないような呪文だ。

その呪文の中に、たまに「あいうえお」で捉えられるものがある。で、なんか反復して叫びまくることがある。全然意味は通らないのだけれど、まあかわいいので親ふたりは喜んで聞いている。親がいい顔をしていると不思議に息子はもっとかわいい顔になる。もっとわたしに似る。

さらにその息子をみて夫婦ふたりが顔面溶けてるんじゃねえのか、くらいのスマイルを繰り出す現象が起こる。

俗に言うOYABAKA、である。反対から読むと「あかばよ」だ。特に意味はない。それはまあいいとして、子の笑顔をみてにやけたことがある親は多い。平常時なら8割以上の親がにやけたことがあるらしいと聞いている。(りょーさけ調べ)

まあ、わがままを言っているときはね、うん、憎ったらしいこともあるけれどね…。

ある時息子がなんの前触れもなく、

「さーーぎーー!…ちちーーーー!!」

と聞こえる音を発し始めた。

わたしにはそれが、「詐欺父」に聞こえた。怒られてるのかと思った。息子が明らかにフルーツジュースを欲しがっているタイミングでわざと麦茶を与えたりしているからだろうか。だったらごめん。だったらわたしは詐欺父だね。

それはまあいいとして、そう叫ぶ息子のあまりにかわいいその様子にわれわれ夫婦は圧倒された。貢物の旬な果実を見境なく与えたくなる勢いだった。

あまりに彼が楽しそうなので、われわれは「さーぎー!ちちー!」を斉唱することにした。

息子「さーーぎーー!ちちーー!」
夫婦「さーーぎーー!ちちーー!」

↑同タイミングである。斉唱である。

しばらくこれで遊んでいたのだが、息子が途中でコールアンドレスポンスに目覚めた。

つまりどういうことか。

夫婦「さーーぎーー?!?!」
息子「ちちーーーー!!!!」

あるいは、

息子「さーーぎーー?!?!」
夫婦「ちちーーーー!!!!」(熱狂)

こんな感じになった。わたしたち家族は非常に愉快に過ごした。楽しかった。

 
 

息子が、さらに進化をするまでは…

 
 
 

勢いそのままにわたしは「さーーぎーー??」と息子にコールした。ところが、息子が「ちちーーーー!!!!」を言ってくれない。どうしてもそれをききたいわたしは、何度か「さーーぎーー??」と言った。外でやったら不審者だ。家の中だからやっちゃうもん。

父「さーーぎーー?」

父「さーーぎーー?」

息子「…。」

父「さーーぎーー?」

父「…。」

父「ちちーーー!!」

自分で言い出す始末である。

このあと何度も「さーーぎーー?」と聞いたが、彼は答えなかった。でもこいつ、なんとわたしの顔をじーっと見てにやけているのである。

きみ、言葉分かってるよね?ね?ね?

イライラと愛情が0:10で戦っていた。つまりそんな生意気な感じでも非常にかわいいのだ。

いや、でも何回か言うたら一回くらい返してくれるやろ。ワンチャンあるやろ。(エセ関西弁)

そんな思いで父は息子の前で「さーーぎーー?!」と唱え続けた。これで言ってくれなかったら詐欺である。でも言ってくれない。息子は依然満面の笑みである。

しかたない、何かリアクションしてくれればいい。もうコールアンドレスポンスじゃなくてもいい!振られかけの情けない男のように父は意を決して言った。

父「さーーぎーー!!ちちーーーー!」

息子「じょっ!!!!」(食い気味&満面の笑顔)

そう言って彼は母の元へ駆けていった。

貴様、絶対言葉わかってるだろ…!

 
 
 
 
 

 
 
 

※本日投稿予定だった「あの夏に乾杯」の記事ですが、「『あの夏』に乾杯」というテーマなのに何一つ夏要素がないという致命的欠陥が発見されため、明日の投稿となります。ごめんなさい。鋭意執筆中です。明日こそは…!

酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。