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こんばんは、愛していますⅡ

他愛もない会話が続くひとと一緒にいたいと思う。幸運にもわたしの場合は妻がそれだった。今日もおよそ4時間30分の新潟仙台間のドライブはあっという間だった。ずーっと息子と娘が眠っていたから、わたしがずーっと喋りつづけて、気が付いたら広瀬通にいた。互いに「仙台まで来た実感がねーな」と言い合って笑いあってどうでもいい冗談を言い続けていた。息子娘の寝姿、白目をむいて眠ってる様子とかをみて勝手に笑ったりした。仙台の思い出を話したりした。昔の職場でパンを買った。食べた。妻はその元職場の先輩に話しかけたかったが、緊張して話しかけられなかったらしい。話したいけれど話しかけられないってなんだ。恋か何かか。なんでもいいけどそういう時は話さないと損だよ、と思う。明日もう一回行こうか。

ということで今日は仙台旅行に来ています。次に来れるのは来春以降。後悔なく回るところを回りたい、とかいうと気張っちゃってうまくいかないのね。好きなことを回ろうかな。あんまり考えずに。パン屋の先輩に会いに行って、大学に行ってできたら先生に会って、夜は妻に時間をもらって飲み屋へ。新しいところも、言ったところがあるところも行きたくて困っている。

いっこいっこの時が素晴らしくて言葉にならないから、するのをやめる。これは何という怠惰なのか。幸せっていうやつじゃね。今日はもう少しで息子娘の寝かしつけも終わるし、楽しみたいな。

泣かないでくれダーリン。長い夜は月あかりを眺めよう。笑っておくれダーリン。ほら素晴らしい夜だから。わたしの不細工な顔でも笑え。踊ろうよさあダーリン。これからも続くダンスを。まだまだ、まだまだ嫌になるくらいわたしたちのダンスは続く。今日はなんだろ、妻のことがとても好きだと思った。全体的にこの連はキリンジのエイリアンズリスペクトで成り立っている。自明か。素晴らしいよね。この歌。完璧。

↓その素晴らしい夜に、素晴らしい酒に出会えて日本酒熱が再沸騰しています。山形は上喜元のひやおろし。ひやおろしはごく簡単に言って秋限定の日本酒だと思ってもらえればオーケー。その理解だけでは足りない方はこれを読んでください。

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日本酒は基本的に冬に新酒が造られます。今は空調技術が発達してるので投資してれば年中造れるけど。で、その冬にできた酒を加熱殺菌したのち春夏寝かせて秋に出荷する。それが「ひやおろし」。新酒の時にあった荒々しくも鮮烈で印象的な香味がちょっと落ち着いて、全体的に角が取れて丸くなる。そして、派手な香味に隠れていた旨味が前面に出てきて、秋の豊かな食べ物たちと相性がよさそうな状態になっている。そんな感じです。

ひやおろしのどこに感動するかには飲み手の価値観が出ると思います。熟成した酒ゆえに、飲み手の熟成度が問われているような気がする。旨さが前面にでていてまろやかに舌を魅了する様に痺れるのか。新酒の時にあった鮮烈さの名残がありながら少々大人びた様子になったその姿に痺れるのか…。

まあ何でもいいんですが、このお酒、上喜元は掛け値なしに素晴らしい。栓を開けた直後はまだ酒がカタい。緊張している。寝かせたお酒にはありがちですね。少し待ってみよう。空気に触れて輝く生命を感じたい。

待てば開くものがある。マスカットの香り。柔らかにヨーグルトとミルクの中間の香り。それらに解きほぐされるように突如現れるほのかな甘さ。旨さ。舌を締め付けない酸味。気づけば街灯がともり始めた田舎の散歩道。飾らないひとびとの休息。言葉にならない生活の積み重ね。知恵。滋味深さ。そういうものを一身に受け止めて今とても高揚しています。こんなに素晴らしい酒との出会いを、人生はまだ用意してくれる。ありがてぇよな。

今日はとっても楽しかったね。明日はもっと楽しくなるよ。ね、ハム太郎!みたいな気分です。あ、台無し?そっすか。もっとちゃんと締めたほうがいいんかな。でも明日はもっと楽しくなると思うんだよな。そう信じている。いつまでも。乾杯。トップ画はボールプールに埋もれすぎて「うごきたくねえ」ってなってる息子さんでした。かわいいよなやっぱ。


酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。