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セミナーについて

少し前、昔の友達と晩飯を食べる機会があった。その友達とは昔から仲が良く、直近でもちょこちょこ会っている。(友達を以下A君とする)

A君はとある資格を持っており、最近はその資格を使って独立したいと常々話している。今は独立資金を貯めている段階らしいのだが、すごいことだと思うので、陰ながら応援している。

2人で晩飯を食っている途中で、A君が「今近くに大学の友達がいるらしいんだけど、合流してもいい?」と聞いてきた。こちらも特に断る理由もないので、承諾した。

そして少ししてA君の友達(以下B君)が合流した。B君はおとなしそうで人が良さそうな雰囲気だった。一通り自己紹介を済ませた後、B君が「2人はあのセミナーのつながりなの?」と質問してきた。

セミナー?と思ったが、A君がすかさず「違うよ、普通に小中の同級生だよ」と答えた。

正直、大体話の内容は薄々分かっていた。セミナーとは、いわゆるビジネス系セミナーのことを指しているのだろう。A君の言動から、きっとそういうセミナーに通っているんだろうなというのは前々から感じてはいた。ただ、旧友だしここまで1度も勧誘を受けたことがなかったので、特に気にすることなく付き合っていた。

ただ、さっきのB君の質問で僕は急に身構えた。A君とB君はグルで、ここから怒涛の勧誘が始まるんじゃないかと。結論から言うと、そんなことは一切なかったのだが、その後のやり取りは興味深かった。

その質問を皮切りに、A君がB君に「最近調子どーなの?」と問いかけた。「最近やっと特訓が終わったんだよ」とB君。気になったので「特訓ってどんなことやってるんですかー?」とB君に聞いてみた。「コミュニケーションの特訓です」とB君。

色々と聞いてみると、B君はウン十万かけて、コミュニケーション力アップのセミナーに通っているとのことだった。

お、おう…。と思ったが、お金と時間を掛けた特訓の末に得られるコミュ力とはどれほどのものなのか気になった。

途中、A君が仕事の電話で席を外したタイミングがあり、B君と2人になった。初対面なので、とりあえず仕事のことでも話しておくかと思い「お仕事ってどんなことやってるんですか?」と聞いた。B君は医療系の仕事で病院勤務をしているそう。

しかし、こちらの質問に対して「はい」とか「そうですね」と返すだけで、目すら合わない。話を広げようという感じも一切なく、こちらが一方的に壁当てをしている気分になった。そして思った。「特訓の成果はどうしたんじゃぁ!!」と。

まぁ僕のことが生理的に無理だった可能性もゼロではないが、お金と時間を掛けた特訓の成果があんなもんじゃあまりにも不憫である。いわゆるセミナー商法に搾取されてしまっているのだろうなと思った。

僕もコミュ力が決して高い方ではないが、コミュニケーションなんて、セミナーで学ぶものではない。多少の理論や心理学的な部分はあるだろうが、基本は経験則がものを言うと思う。さっきまで嬉々とした表情で「特訓が終わった」と言っていたが、その直後の初対面の人間と2人きりという絶好の実践場面で発揮できないなら、何を特訓してきたのかよく分からない。

ちなみにA君はコミュ力の塊のような人物なので、別のビジネス系セミナーに通っているそう。僕のことを勧誘する気はなさそうなので、今後も仲良くしようとは思っている。

ただ、上記のコミュニケーションセミナーのような何か違和感のある場面に遭遇したら、道を正してあげようと、烏滸がましながらも思った。

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