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迷わなかったものに迷い出す話

 というタイトルを見て、あなたはどんな内容を想像しましたか? 人生の話? 

 残念! これは、そういう真面目な話ではなく、結構どうでもいい小話なんです。私の記事を定期的に読んでくれている(決して多くはないですが……)方は知っていると思いますが、めったに小話は書かないのですが、時折、無性に書きたくなります。そして今回は職場である書店で直面する問題をあなたと共有して、どうせならあなたにも同じ苦しみを(笑)

 ちなみに私は自分と同様の小説やブックレビューを中心に活動されている方以上に、エッセイやコラムがうまい人が羨ましい……。多分、私がそれをさらに苦手としているからなのでしょう。よくエッセイやコラムを書かれていて、いつも私にスキを付けられている、この方とかこの方とか、超嫉妬されていますよ(笑)

 まぁ話題は元に戻すとして、

 書店でのとある風景①

「すいませーん」                          「はい? どうしました?」                     「カフカのムシを探しているんですけど……」と男子学生。読書感想文とかかなぁ?                              「ムシ、あっ、はい、虫ですね。こちらです」新潮文庫棚にご案内。

 これが、迷わなかったものに迷い出すきっかけに。

 書店でのとある風景②

「すいませーん」                          「はい? どうしました?」                     「伊坂幸太郎の『アイネクライネハナトムジーク』探してて……」映画で興味を持った方かな。                         「『アイネクライネハナトムジーク』ですねぇ。こちらです」と幻冬舎文庫棚に。

 これが、迷わなかったものに迷い出すきっかけに。

 この二つの光景の何がおかしいか分かりましたか?

 では答え合わせがてら、もうひとつ。

 書店でのとある風景③

「すいませーん」                          「はい? どうしました?」                     「モンゴメリの『アンネの日記』探してて」(以下略)

 そうなのです。ちゃんと知っていたはずの本のタイトルが、この会話のせいで曖昧に(泣)

 カフカ『変身』は、カフカの『虫』になり、伊坂幸太郎『アイネクライネナハトムジーク』は、『アイネクライネハナトムジーク』で咄嗟に頭に浮かび、「あれ、どっちだっけ?」となってしまうのです。とても失礼な話ではあるのですが……。

 言葉のやりとりによって、真実があやふやになってしまったこと、あなたにはありますか?(そんな格好付けて言うことではない 笑)