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苦悩する美容室TAYAとQBハウス

TAYAって上場してるんだというのを知り(というか改めて思い出し)、会社の価値を調べたところ27億円しかなく驚いたため、簡単に数字をまとめてみました。

参考までに市場セグメントは異なりますが、QBハウスの決算と戦略も貼っておきます。QBハウスも上場してます。

1年で純資産が半減。今後も経常赤字が続く田谷

第49期 中間報告書 2022.4.1 2022.9.30

田谷(TAYA)は去年2021/9に約21億円あった純資産が、2022/9には約10億円と半減しています。

通期(2023/3末締め)の経常利益もマイナス約5億円となる見通しです。来期もマイナス2.5億円で、経常赤字が続くようです。

そのため、「継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況が存在する」際に記述が必要な「継続企業の前提に関する重要事象等」に関する説明も決算短信に記載されています。

売上10.2%増、営業利益41.8%増のQBハウス

相対的に順調なQBハウス

QBハウス(キュービネットホールディングス)の第1四半期の決算は、売上収益は約55.7億円で前年同期比で10.2%増、営業収益は約6.1億円となり前年同期比で41.8%も増加しました。

海外収益の推移 | キュービネットホールディングス

海外での営業も好調。さらなる拡大を目指す

円安の影響があるとは言え、海外売上比率も20%近く(18.7%)あります。現状は香港・シンガポールが海外売上の中心ですが、北米の店舗数も拡大することで、北米売上10億円を目指す予定です。

2022年6月期 決算説明資料 | キュービネットホールディングス

明確な戦略が存在するQBハウス

QBハウスは決算説明資料を読んでいても、採用戦略・出店戦略・カスタマーエクスペリエンス戦略・海外戦略、全てにおいて方針がはっきりと存在します。

カスタマーエクスペリエンスの向上 | キュービネットホールディングス

【龍成メモ(田谷とQBの簡単比較)】

強固な戦略のQB、戦略不在?の田谷

カッコいい論理的な戦略があれば勝てるというわけではありませんが、QBハウスは各分野において戦略がしっかりしていて、かつその戦略が当たっている印象です。

一方で田谷は隠れた戦略があるのかもしれませんが、IR資料室をのぞいてみても決算説明資料がなく、年次報告書にも戦略が記されていません。

相対的に美容師個人への依存度が低いQB、依存度の高い田谷

田谷のようなある一定レベル以上の技能で勝負する美容室の場合、美容師にお客様がついているため、美容師の離職独立インセンティブが高く、また他店に転職した場合もお客様ごと抜かれてしまう危険性があります。

QBハウスの場合は、手軽に安く早く利便性のよい場所でカットしてもらえるのが特徴なので、美容師が独立したり他店に移籍したとしても、お客様を引き抜かれるリスクは田谷よりも格段に低い気がします。

給与制度も整い業界標準よりもちょっとだけ待遇が良いQB

QBハウス採用 _ 募集要項

QBハウスは給与制度も明瞭です。上図は中途採用ですが、新卒でも田谷と比べて明確に数万円の差があります。QBは「1分単位の残業手当」を明言しており交通費も全額支給ですが、田谷は交通費が一部支給のようです。

もちろん、レベルの高い先輩から技を学ぶことができたり、ヘアスタイルの仕事ができる可能性があったりと、田谷のような従来型の大手美容室ならではのメリットもあるので、単純に給与差(福利厚生差)だけで比べるわけにはいきません。

【龍成メモ Part2(美容業界とは無関係)】

瀉瓶(しゃびょう or しゃへい):仏教において、瓶の水を移し替えるように、師匠から弟子に教えや奥義をすべて伝授するという程の意味。菊池寛の「奉行と人相学」に出てきたので。そう言えば「或る母の話」もよかったです。

NoName_13によるPixabayからの画像

#TAYA #QBハウス #業界分析 #ビジネスモデル

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