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なでしこリーグ1部昇格、そして厳しい現実。

皆様の熱いサポートをうけ、無事に2022プレナスなでしこリーグ2部が全試合終了しました。
大和シルフィードは10勝5分3敗、勝点35で悔しい3位でのフィニッシュ。
優勝した静岡SSUボニータ(勝点43)、2位のJFAアカデミー福島(勝点41)、共に最終成績は「1敗のみ」という結果からも、ほぼ負けが許されないトーナメントのように緊迫した状況の中で争ってきたシーズンでした。
まずはそんな中で、最善の準備と試合での全力を尽くしてきた選手、スタッフを、手前味噌ではありますが一番に称えたいと思いますし、何より支えて頂いたファン、サポーター、パートナー企業、自治体、関係各所のみなさまに、心から御礼を申し上げます。
本当に、たくさんのご支援ご声援を、ありがとうございました。

そして本来は、2部1位が自動昇格、2位が入替戦へ、というレギュレーションでありましたが、来季は現在の1部から2チームが脱退する関係上、また2部2位のチームが昇格条件を満たしていないことから、3位大和シルフィードの自動昇格、来季なでしこリーグ1部昇格、ということになりました。
3位という結果にクラブの誰もが満足していないと思いますし、1部を脱退するチームの背景については極めて複雑な思いもある中で、2部3位で昇格ということをどう受け止めていいのか、喜んでいいのかと迷う状況でもありますが、それでも3位に入らなければつかめなかった結果でもありますので、皆さんと一緒にポジティブな気持ちを分かち合いたいところです。

2021シーズンから、高橋和幸さんにフットボールダイレクターとしてジョインしてもらい、今シーズンはトップ監督を高橋さん、U-18監督を川辺学さんに務めてもらった中で進めてきた、主体的、意図的なフットボールへの変革。
それは、ポゼッションか縦ポンか、プレスかブロックか、ポジショナルか選手ドリブンか、といった戦術レベル、ピッチレベルの話ではなく、得点を、勝利を、成長を、人任せや偶然&勢い頼みではなく、再現性を伴って自分たちで掴めるようになろうとするための、クラブとしてのフィロソフィーの一部を構築するためのプロセスです。
その中で、今シーズンは前向きにボールを握り、相手を動かすことのできるシーンも増え、濱本選手の得点王を筆頭に、幸嶋選手が5位、須恵選手が8位の得点数を記録するなど、ゴール数にもある程度の反映を見せることができました。
もちろん3位という順位、そして上位の静岡、福島、広島から1勝もできなかったという厳しい結果が示している通り、まだまだ発展途上で、1歩進めば新たな壁が出てくるような、迷いや苦悩も同胞している中だとは思いますが、アウェイの福島戦(3-3の同点)は、私自身が誰よりも感動した試合でしたし、プレーしている選手もワクワクするような、観てくれている人が試合の前より終わった後の方が元気になれるような、そんなシーンが増えてきたシーズンでした。

しかし一方で、「1部昇格」は、同時に厳しい現実も突きつけてきます。

今シーズン1部で優勝したスフィーダ世田谷FC、2位の伊賀くノ一三重、いずれもスピードとフィジカルに非常に優れた選手が揃っていて迫力のあるハイプレスが代名詞。後ろから繋ごうとする大和シルフィードとの相性からしても、一歩間違えると格好の餌食になることは目に見えています。
その他3位以下のチームも、それぞれに特徴はあるものの、少なくとも一人はリーグを代表するようなクオリティを発揮できる選手がいて、かつGKのレベルも平均して高く、ミドル付近でブロックを組まれたら簡単には崩せないディフェンス、そして前線にはスピードのある選手がいる。相手のイージーミスは期待できないし、こちらのミスは失点に直結する。簡単な試合は1試合とてないと予想されます。

でもだからこそ、今のポゼッションベースのボールを大事にするサッカーでそれらのチームを上回ることができたら。
男子サッカー由来のセオリーを打ち破って、女子サッカーならではの新しい合理性と再現性を見出せたら。
あえて狭いスペースを突いて、最速の中央突破ができたら。

そんな大和シルフィードの来季の挑戦を、ぜひ今から楽しみにしていてください。

何より。そもそもそんな挑戦を可能にするためにも、今すべきは、来季の選手やチームに対して、環境面でより充実したサポートをできるようになること。そのための資金を獲得し、より多くのパートナー企業を探してくること。
身も蓋もない話ではありますが、1部を生き抜くためには今の売上規模では難しい。これはJリーグでもBリーグでも、ヨーロッパの主要リーグでも同じだと思いますが、知恵と工夫と精神力と努力ではどうにもならない、財務規模(強化費)と勝点の相関という厳しい現実と向き合わなければいけません。

まずは、現在のユニフォームで空きとなっている鎖骨、パンツ。
すでにフロントの2023シーズンは幕を開けていますので、ぜひそちらも引き続き温かいご支援のほど、よろしくお願いいたします。


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