「覚えるな。ググれ」 インターネット時代に必要な“忘却力”の重要性
ツイッターをしていたら「忘却力」という言葉が出てきた。
この言葉を見た瞬間、僕は「面白い」と思った。
忘れるというのはマイナスの文脈で使われる事が多いが、「忘却力」と表現した瞬間、まるで優れた能力のようだ。
僕は記憶力が低い。
嫁との会話や約束もすぐに忘れてしまう。
では、記憶力が低いと何もできないかというと、そんな事は無い。
僕はむしろ逆だと思っている。
記憶力が低いからこそ、僕はアプリ開発ができている。
アプリ開発をするのに必要な情報は、ウェブ上に載っている。
必要に応じてウェブから引っ張ってこれば、それで済む話だ。
下手に記憶力があったら一生懸命覚えようとしてしまうかもしれない。
僕は記憶力が低い分、覚えるという事をしない。
だからこそ、どんなプラットフォームを対象とした、どんなプログラミング言語であっても、抵抗なく開発する事ができる。
MITメディアラボの所長である伊藤穰一氏は、インターネット以降(After Internet)の時代に求められる9つの基本原則「The Principles of AI」として、「Pull over push」(プッシュよりプル)という考え方をあげた。
『世界は変わりつつあり 、資源や情報をため込んで 、すべてをコントロ ールし 、すべてを計画し 、メッセ ージや命令を中心から周縁にプッシュするかわりに 、イノベ ーションはいまや周縁で起こるようになっている 。資源は必要に応じてプルされる 。世界は 「ストック 」から 「フロ ー 」に移りつつある 』(『9プリンシプルズ 加速する未来で勝ち残るために』伊藤穰一、ジェフ・ハウ著)
難しい言葉で語られているが、つまりは「資源や情報はため込む(プッシュ)という時代ではない。必要に応じて資源や情報を引っ張ってこよう(プル)』という話だ。
「情報」だけにスポットライトを当てて、すごく乱暴に解釈すると、「覚えるな。ググれ」だ。
学校教育においては、昔から詰め込み教育が行われてきた。
しかし、本当の意味で記憶しなければならない情報はさほど多くない。
インターネットの登場により、記憶力が大事な時代では無くなりつつあるのだ。
だから僕は、記憶力が低いからこそ、アプリ開発ができていると解釈している。
そして、「記憶力が低い人」というイメージが付くと、誰かが助けてくれる。
会社員時代は、部下が期限をリマインドしてくれていた。
今は、ツイッター上などでたくさんの人が助けてくれる。
本当に、どれだけ感謝してもしきれない。
僕は記憶力がとても低い。
言い換えると、忘却力がとても高い。
何かツラい事があっても、すぐに忘れてしまう。
これは忘却力が高い事のメリットだ。
人から暴言を吐かれたとしたら、その日ぐらいはイラッとするかもしれないが、次の日には気持ちを切り替えられる。
「忘れられる」というのは、大事な能力の1つだ。
全てを覚えていたら、頭の中がグチャグチャになってしまうかもしれない。
記憶力の低い人が「何で自分はこんなに忘れっぽいんだろう?」なんて思う必要はない。
「忘れっぽい」というのは大事な能力なのだ。
「忘れてしまう自分」を受け入れ、忘却力を肯定したら、人生はとても生きやすくなる。
思考回路がショート寸前になる前に、忘却力を発揮しよう。
≪今日のまとめ≫
・本当の意味で記憶しなければならない情報はさほど多くない。
・インターネットの登場により、記憶力が大事な時代では無くなりつつある。
・覚える必要は無い。必要に応じてググれば良い。
・忘却力は、大事な能力の1つだ。
・「忘れてしまう自分」を受け入れ、忘却力を肯定したら、人生はとても生きやすくなる。
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