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SF,怪奇小説、クリエイティブコーディングに興味がある人

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  • 今月の読書

    毎月の読書記録のまとめ

  • 今月の趣味コーディング

    その月に趣味で書いたプログラムのまとめ。

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2023年5、6月に読んだ本

今月&先月読んだ本の、まとめ! ① 泡坂妻夫「乱れからくり」 玩具会社の関係者が次々に不慮の死を遂げる連続殺人事件を描くミステリ。 からくりに対する雑学が散りばめられた蘊蓄系のミステリであり、かつそれがトリックやオチに深く結びついた完成度の高い作品になっています。 ② ウィリアム・L・デアンドリア「ホッグ連続殺人事件」 一見すると被害者同士に繋がりがない、ミッシング・リンクものの有名作。 犯人からの手紙に書かれた署名"HOG"の意味について、関係者がこじつけじみた

    • 2023年4月に読んだ本

      今月読んだ本の、まとめ! ① 高野和明「13階段」 仮釈放中の青年と刑務官のコンビが、死刑囚の冤罪を晴らすべく奮闘する物語。死刑制度を取り巻く制度的な問題や、民間側の感情的な問題に触れつつ、さらに二転三転する展開でエンタメとしても完成度が高い傑作! ② 西澤保彦「七回死んだ男」 同じ一日を何度も繰り返す「体質」を持った主人公が、殺人事件を防ぐために奮闘する特殊設定ミステリ。癖の強い登場人物達、特殊設定を活かした独特な謎、ループの度に発生する様々なトラブル... 名作だ

      • 2023年2月に読んだ本

        今月読んだ本の、まとめ! ① N・K・ジェミシン「輝石の空」 岩石や鉱物をモチーフにした独自設定ファンタジー三部作の完結編! 第一作「第五の季節」の時点で、練り込まれた世界観や独特の重層化された語り口によってボリューム感のある物語だったけれど、さらに空間的、時間的に様々な勢力の思惑が交錯する物語に。 これまでの物語でも描かれていた「危機に立ち向かう力を持った能力者達は、その能力故に恐れられ管理されなければならない」という作中世界の思想が挿話から垣間見えていて、「じゃあど

        • 2023年1月に読んだ本

          今月読んだ本の、まとめ! ① ニー・ヴォ「塩と運命の皇后」 東アジアっぽい架空の世界を舞台にしたファンタジー中編2編を収録。 主人公が歴史の記録を使命とする聖職者という設定なので、独自設定ファンタジーの魅力である「ここはどんな世界なのかが明かされていくワクワク感」が楽しめる物語になっています。冒頭から「先帝に封印された湖」とかが出てきて雰囲気も抜群。 歴史を記録するために調査を続ける主人公だけれども、話を聞く相手によって伝承が異なった形で伝わっていたりするのも面白いと

        2023年5、6月に読んだ本

        マガジン

        • 今月の読書
          40本
        • 今月の趣味コーディング
          22本

        記事

          2022年12月に読んだ本

          今月読んだ本の、まとめ! ① フェルディナント・フォン・シーラッハ「犯罪」 ドイツの現役弁護士による、犯罪についての短編集。 語り手は刑事でも探偵でもなく弁護士なので、手に汗握る追跡劇やどんでん返しの推理シーンがあるわけではありません。むしろ、報告書じみた筆致で淡々と語られることで、それぞれの犯罪が生々しく描かれていきます。 収録作の中では「棘」がお気に入り。直接的な因果関係は確定できないものの、事務手続きの不備が数十年の時をかけて犯罪を醸成していたのかもしれない..

          2022年12月に読んだ本

          つぶやきProcessing四大元素

          今年作ったつぶやきProcessingを振り返っていたところ、何らかの自然物(?)のように見える作品が結構ありました。 そこでこの記事では、私が今年作ったつぶやきProcessingを四大元素(火、水、空気、土)になぞらえて紹介します。つぶやきProcessing用に圧縮する前のコードもコメント付きで記載したので、何かの参考になれば幸いです。 ちなみに、Processingではpythonモードを使用しています。 火文字通り炎のような効果を狙った作品。確かDark So

          つぶやきProcessing四大元素

          2022年11月の趣味コーディング

          今月趣味で書いたプログラムの、まとめ! 少し思うところがあって、先月末から「ノードエディタっぽいGUI」をProcessingで作っていました。 上のツイートでは「何か面白いものができないかな」と書いていますが、実は内心では作りたいものは決まっていて、「ノードエディタっぽい仕組みでシェーダーに渡す式を組み立てるツール」が作りたかったのです! (が、作れるか自信がなかったのでこの時点では言葉を濁してます) イメージとしては上のツイートのような感じ。[X]がX軸方向の座標で

          2022年11月の趣味コーディング

          2022年11月に読んだ本

          今月読んだ本の、まとめ! ① 村田沙耶香「信仰」 短編7編とエッセイ1編を収録。短編では、作中で語られていない部分への想像が膨らむ「書かなかった小説」がお気に入り。 エッセイでは、自分の奇抜さが受けいれられた喜びが書かれる一方、いつのまにか「クレイジー」という分かりやすいラベルで分類されてしまったことへの後悔が綴られます。作者が現在の世間からの扱いに思い悩んでいる様子が読み取れるのですが、私としてはすでに出版されている作品だけでもとても多くのものを頂いているので、無理は

          2022年11月に読んだ本

          2022年10月に読んだ本

          今月読んだ本の、まとめ! ① アン・マキャフリー「歌う船」 1960年代に書かれたサイボーグSFの古典的名作。身体に障害を抱えて生まれた主人公は、神経を機械に接続して宇宙船の頭脳として生きることに。サイボーグ船である主人公は人間のパイロットと協力し、ときには喧嘩し、数々のミッションに立ち向かっていきます。 主人公は人間とは違う存在ではあるけれど、別に「人間」に未練があるわけではないのが印象的。自立した、強かに生きる存在としてのサイボーグが描かれます。 ② 前野ウルド浩

          2022年10月に読んだ本

          2022年9月に読んだ本

          今月読んだ本の、まとめ! ① 郷内心瞳「拝み屋怪談 花嫁の家」 とても怖いという評判は聞いていたものの、長らく入手困難だった作品が角川ホラー文庫から復刊! 評判どおりの怖さでした。 「拝み屋」を営む主人公のもとに舞い込む様々な依頼や怪談。色々な怪談を収めた短編集なのかな? と思って読み進めていくと... ② 幸田成康「100万人の金属学 基礎編」 1960年代(!)に出版された、一般読者向けの金属学の本の復刻版。 合金の相図や強度、疲労といった工学系の話題に加え、

          2022年9月に読んだ本

          2022年9月の趣味コーディング

          今月趣味で書いたプログラムの、まとめ! 今月も何作か#つぶやきProcessingに挑戦しました。 Twitterで「つぶやきProcessing でステンドグラスを描けないだろうか」というお題(?)が出されていたので、なんとかそれっぽいものが作れないか挑戦。 これは三角形を分割→分割後の三角形をさらに分割、を繰り返して模様にしたもの。でも実際のステンドグラスはこんな鋭角に分割されてはいない感じがします。 この「ステンドグラスっぽいつぶやきProcessingを作るチャ

          2022年9月の趣味コーディング

          2022年8月の趣味コーディング

          今月趣味で書いたプログラムの、まとめ! ふと「非線形関数でパターンを作って、それを確率関数にして点描したら面白いのでは?」と思いつき、久しぶりに #つぶやきProcessing に挑戦。 さらに点描の確率を色の濃淡で置き換え、周期性を導入したりしてアレンジしました。 この方法は「非線形関数を繰り返し適用してなんだか面白いパターンを作ろう!」というアプローチなので、作っている側も結果の予想がつかなかったりします。 でもたまに何かに似たようなパターンが現れることがあり、上

          2022年8月の趣味コーディング

          2022年8月に読んだ本

          今月読んだ本の、まとめ! ① 武田龍夫「物語 北欧の歴史」 デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、アイスランドの北欧5国の歴史が概観される本。1国あたりの記述量はどうしても少なくなってしまうけれど、近隣国の関係性や、同時代での各国の違いが併記されていて面白い本でした。 この本を読んで、北欧を舞台にした小説を読んでみたいと思い書店を物色したところ何やらミステリが多い様子。どうやら「北欧ミステリ」はひとつのジャンルになっているようでした。 そんなわけで、今月

          2022年8月に読んだ本

          2022年7月に読んだ本

          今月読んだ本の、まとめ! ① アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー」 「火星の人」で火星を、「アルテミス」で月を舞台にしたアンディ・ウィアーが、今度は太陽系外に飛び出した! 主人公が科学的な考察をもとに危機を乗り越える、という作風は今作でも健在で、さらにスケールアップした展開に。 ネタバレになってしまうので詳しくは語れないけれど、測定をして、仮説を立て、実験で検証し、それが間違っていたらさらに別の仮説を立て... という科学のプロセスがそのまま物語の面白さ

          2022年7月に読んだ本

          2022年6月の趣味コーディング

          今月趣味で書いたプログラムの、まとめ! 今月は、おかずさんが開催したクマレオンコーディングチャレンジに参加しました。 これは、おかずさんが作成した可愛らしいキャラクター「クマレオン」をベースにしたアートを作成する催しになります。 上記のページからサンプルコードにアクセスすることができ、サンプルに自分のコードを追加することで、簡単にクマレオンの模様を書くことができます。 私は昔p5.jsで書いたコード(曲線ガチャ)と組み合わせて挑戦。クマレオンは3次元のモデルになってい

          2022年6月の趣味コーディング

          2022年6月に読んだ本

          今月読んだ本の、まとめ! ① 芦花公園「ほねがらみ」 小説の登場人物が、自分の好きな本を語る… というシチュエーションが好きなのですが、この本では冒頭に「貴志祐介の『天使の囀り』でホラー小説にのめり込むようになった」というエピソードが書かれています。 登場人物の本の趣味と作家自身の趣味は必ずしも一致しないとはいえ、あの傑作ホラー『天使の囀り』の名前を出す以上、気合の入った本に違いない!と期待して手にとった本。 本文中でも言及があるのですが、三津田信三の「幽霊屋敷シリー

          2022年6月に読んだ本