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9月16日

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この絵はルネ・マグリットというベルギー生まれの画家の作品です。
神戸でチューリッヒ美術館展が開かれた時に展示された数多くある作品の中から偶然発見し、強く印象に残りました。
その理由は作品の題名と木の上部に輝く三日月の姿。
タイトルの『9月16日』は僕の生まれた日であり、同時に〝月〟は妻(朋子)のシンボルであったからです。
それまで名前を聞いたことのなかったベルギー人画家、そしてその作品に特別な想いが生まれました。


「その人のおかげで自分のことを好きになれる」


そのような関係性を築くことができれば、人生は豊かになります。
まさしく僕にとって妻はそのような存在であり、また、人生におけるその〝見えないルール〟に気付かせてくれた存在でもあります。
これは「好きだから一緒にいる、嫌いだから離れる」という価値基準ではありません。
自分の感情が湧き立つ瞬間よりも先の地点にその答えはあります───それは、結果的に自分のことを大切に想えるかどうか。
好きな相手であっても自分のことが嫌になってしまう場合というのは存在します。
反対に苦手な相手と過ごすことで自分のことを大切に想えるということも。


具体的に言えば、愛情のあまり相手に嫌なことを言ってしまったり(嫉妬)、当てつけがましく強く叱りつけてしまったり(自尊心のため)することは大抵の人が経験することです。
〝好きだから〟こそ、〝安心しているから〟こそ、そのような態度をとってしまい、後になって自己嫌悪に陥る。
僕にもよくあります。
また、自分にとって厳しい相手でも、共に過ごす時間の中で〝向上できる自分でいられる〟のならば、その相手は自分にとって「自分を好きに思わせてくれる人」であると言えます。


本当の意味で〝価値がある〟のは「その人と時間を共有することで、自分のことを大切に想えるようになる」という関係性なのではないでしょうか。
妻と過ごす中で〝自分のことを大切に想えるような相手〟との時間を増やすことが人生の豊かさを決定付けるのではないかと思うようになりました。
そして、たとえ好きであっても、時間を共有することで〝自分のことが嫌いになる相手〟とは距離をとった方がお互いにとって良い場合もある。
全部が全部可能なわけではないでしょうが、頭の片隅にその考えがあるだけで、生活におけるちょっとした選択が変わってきます。



有難いことに、取材させて頂いた方々や特別な出会いを共有した方々は、僕を〝もっともっと成長したい〟と思わせてくれました。
それもこれも妻と共に過ごす中で〝大切なこと〟を学ばせてもらったことにより、その有難さが分かるのだと思います。




今日、僕は誕生日を迎えました。
たくさんのお祝いの言葉がメールボックスにポストされ、あたたかい気持ちでいっぱいになりました。
マグリットの『9月16日』という作品は、その月の輝きを宿した一本の木───それは〝妻がいることで幸福でいられる自分自身〟のように映ります。
人生これから先、どうなるかなんて誰にも分かりませんが、今のこの気持ちを日々大切に抱き続けることができれば、どれほど素晴らしいことでしょう。
新たな年齢の幕開けも、昨日の続きとして継続していきたいと思います。
価値があるものを見失わないように。

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