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僕の「れもんらいふデザイン塾」11

第8回目のゲスト講師はEXILE/三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのメンバーである小林直己さん。

深くまろみを帯びた心地良い声、インテリジェンスを感じる語り口、洗練された立ち居振る舞い。
日本を代表するエンターティナーはただそこにいるだけで、〝輝き〟というエレメントを揮発させる。

(読む「れもんらいふデザイン塾」vol.8より)


塾生の前に現れた直己さんはキラキラしていた。
くっきりとした輪郭で、周りの景色から浮き上がっているように見えた。
人はそれを〝オーラ〟と呼ぶのだろう。


まず、姿勢が美しい。
振る舞いが華麗で、落ち着いている。
笑顔が爽やか。
思慮深い語り口。
太く、しっとりとした声質。


それらが集積されて、美しい輪郭を象っている。
オーラは研ぎ澄まされた細部への意識によって顕在化するのかもしれない。


一般的に僕たちは、LDHの方々のステージやメディアでのパフォーマンスしか知らない。
もちろんそれが彼ら(彼女ら)のメインの仕事であるから当然といえば、当然の話。
メインのパフォーマンスが一流なだけに、甘く見ているわけではないが、それ仕事以外のことに関して無意識的に軽んじて考えてしまいがちである。


直己さんの話を聴いて、その先入観が覆された。
彼の話は非常に論理的で、さらにはLDHにおける表舞台で活躍するアーティストのプロジェクトを裏でサポートする仕事(マネージメント)さえも本格的に取り組んでいる。
身体的な表現だけでなく、言葉によってロジカルに思考や感情を伝えることさえも直己さんのパフォーマンス───その領域内にあるのだ。
メディアではあまり紹介されることのない表舞台以外での活動や考え。
それらが、〝小林直己〟というアーティストにさらなる深みを与えていく。


心から素敵だと思ったのは、「フラットな自分を見せる姿」だ。
直己さんは感情の領域も、思考の領域も、両方を織り交ぜながら語ることができる人で。
事前に準備したスライドを説明する姿も、過去の体験から感情を抽出していきいきとした言葉で塾生に語りかける姿も。
さらにはモデレーターの千原さんの問いかけに対して、

「そこはまだ自分の中でも答えが出ていなくて、僕にとって課題でもあるんですよね」

と答えることができるフラットさ。
分からないことは「分からない」、できないことは「できない、でも、〝できない〟とは言いたくない」と。
素直に答えるその姿は、「パフォーマーとして」だけでなく、「人として」の魅力を映し出していた。



魔法の言葉

自分の人生に誠実に生きれば生きるほど、一見ネガティブな印象を持つ「できない」や「わからない」という言葉がその人を輝かせる。
別の領域で絶対的な自信がなければ、なかなかそれらの言葉を明確に提示することはできない。
そして、それは魔法の言葉として〝嘘をつかない誠実な人〟という印象を抱かせる。
問いに対して思考する時間にさえ、色気を感じさせるようになる。


〝何か〟に対して誠実で在り続けた人は、魔法の言葉によって人を魅了させてしまう。
現に会場にいる塾生たちは直己さんの発する一つ一つの言葉にうっとりしていた。


それは、人や言葉、あるいは自分自身に対して実直に向き合ってきた結果なのではないだろうか。
いずれにせよ、膨大な時間をそういったことに費やしてきた人は魅力的だし、何より強い。
いろいろな意味で学びが多い講義だった。


▼本編はこちらから▼
《読む「れもんらいふデザイン塾」vol.8》


講義を終えて

講義の後、僕は直己さんの元へ挨拶に行きました。
「講義のレポートを書いている嶋津です」
すると直己さんは気さくにこう言いました。

「田中杏子さんの記事(読む「れもんらいふデザイン塾」vol.4)読みましたよ。とても素敵な文章でした」

僕は嬉しくなって「ありがとうございます。直己さんの講義、すばらしい記事になりそうです」と答えました。
すると彼は、その場にいた塾生に向かって言いました。

「みなさん、聞きましたか?僕の講義がすばらしい記事になりますよ!」

拍手が起きました。
そして僕に向かって「6回は推敲(文章を練り直すこと)してくださいね」と言って笑いました。 

やるしかない。

僕は提示された3倍の量、推敲して文章に磨きをかけました。
あとは読者のみなさんの感想に委ねるしかありません。
ただ、この体験は非常にエキサイティングなもので、僕の宝物となりました。

「人の心に火をつける天才だ」

直己さんにまつわるクリエーションはこのようなコミュニケーションを仕掛けたり、仕掛けられたりすることで、より良いものを作り上げていくのだと想像しました。

気が付くと僕は直己さんのことが大好きになっていました。
ここに〝小林直己〟の魅力の本質があるのだと気付いた次第です。

(読む「れもんらいふデザイン塾」vol.8より)


ここに書かれたことは全て本当のことで。
コンサート会場で何万人もの観客を熱狂させる彼にこのような言葉を書くのは大変失礼な話だが、本当に人の心を掴むのがうまい。
講義の間も、会場にいるみんなのリアクションを見ながら、空気が固まりかけてくると軽いユーモアを入れ込んで場を和ませたり。
講義後、直己さんの周りに塾生たちが集まると、その場で即興的にポッキーダンスの振付指導がはじまったり(最高に盛り上がった)。
僕が挨拶に行った時に、その場にいたみんなにそう言ったのも、僕の心を熱狂させてくれた。


直己さんには僕たちが目に見えない、熱の伝導の道筋が見えているのかもしれない。
こちらにある熱を、あちら側へ。
あるいは熱のない状態に火種を放り込む。
エンタテインメントには、心の火を灯していく力がある。


それは解明のできな魔法だ。
僕たちは、わくわく、ドキドキして日々の生活を豊かにする。


記事を書いた。
そして、何度も、何度も、推敲を重ねた。
リリースすると多くの読者の方が喜んでくれた。
中には、直接お礼のメッセージをくれた方もいた。
僕はほっと胸をなでおろした。
短いやりとりだったけれど、直己さんとのあの時の会話がなければ、このような記事にはなっていなかったと思う。
直己さんに力を引き出してもらえた。
彼の表現するエンタテインメントには、そんな力がある。

「どうもありがとうございます」

小林直己さんへの感謝とリスペクトと同時に、直己さんのことを応援しているファンの方々への感謝とリスペクトを。
すばらしい世界を見せていただきました。



「僕も、いつか、魔法の言葉を使えるようになるんだ」

そう本気で思わせてくれた特別な時間だった。




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