コロナ外交と五輪開催と暗躍する安倍前総理の思惑とは何か?

ワクチン接種状況については、毎日、厚労省HPで公開されており、副反応等は全て公開されている。

日量の接種数は、1回目2回目含め、既に80万に達しようとしている。

政府が当初目標としていた日量100万回も、程なく達成されるだろう。

そして、6月4日には、日本が確保していたアストラゼネカ製ワクチンの一部が、台湾に緊急支援として送られた。

回数にして124万回分だ。これを多いと見るか少ないと見るかは意見が分かれるが、ワクチン入手に困り果てていた台湾にとって、これほどの僥倖は無いだろう。その後、アメリカからも緊急支援として75万回分のワクチンが送られた。

今回、日本から送られたのはアストラゼネカ製ワクチンで、日本はこのワクチンの承認はしていない。日本が承認を出したのは、ファイザーとモデルナのワクチンだけだ。その理由は、アストラゼネカ製ワクチンを接種して血栓が発生した症例があるためで、日本政府は3,000万回分のアストラゼネカ製ワクチンを日本国内でライセンス生産することも決定している。

今回、台湾にアストラゼネカ製ワクチンを緊急支援した理由は、台湾が承認しているワクチンは唯一アストラゼネカ製ワクチンのみだからだ。また、日本ではJCRファーマが現役製造を行い、第一三共が製剤化する。その生産予定数量は現時点で9,000万回分。

これらのワクチンは、イギリス本国で血栓問題が発生して以後、日本での承認は得られていないが、製造承認は既に受けている。これで、ワクチン使用の承認が得られれば国内でのワクチン普及の一助となるし、同時に、ワクチン供給の遅れがある途上国支援の力になる。


今回、6月4日に日本から緊急支援物資として台湾に送られたワクチンは、台湾国内でも大変な反響を以て迎えられ、蔡英文総統はじめ謝意を表すSNSでの投稿が数多く見られた。

更に、今回の台湾への支援については、安倍前総理の働きが大きかったことが言われている。

この背景には、台湾がワクチンを輸入するにあたって、中国からの妨害があったと言われているし、実際に台湾の高官もそのことを認めている。

中国自身は台湾は中国の一部だとの立ち位置を決して曲げることはない。

その歴史的背景は国際社会でも認知されているところであるが、一方で中国が次第に一国二制度の香港を法律を作ってまで自国の都合に合わせた体制変更を力ずくで行ったり、台湾独立に関して国連常任理事国の立場を利用して、頑強に認めようとしないなど、その強権的なやり方には批判が殺到している。

今回の台湾のワクチン問題も、ドイツビオンテック社製ワクチンの購入に際して、中国から横槍が入り、話が流れてしまった経緯がある。そして、改めて中国共産党からワクチンを提供するという形を取ろうとした。つまり、そこにも中国本土が自国の一地域である台湾にワクチンを送るという建前にしたかったのだ。

今回、日本からアストラゼネカ製ワクチンを送るにあたり、日米台で水面下の作戦が行われた。台湾ではこれをトップシークレットとしてごく限られた政府高官のみが知りうるところであり、慎重の上にも慎重に行われたと言われている。

日本政府も、公式発表で台湾にワクチン支援すると公表したのは、6月3日午後のことだった。そして、JALの特別便には、アメリカ軍がレーダー追跡で支援を行なったと言われている。つまり、不足の事態を想定して、日米台が連携してワクチン輸送を行なった。

日本政府は表向き、「東日本大震災の時の台湾からの支援に対する返礼」という形をとった。ここにも、安倍前総理の意図が透けて見えはしないだろうか?

つまり、二国間相互の信頼と人道的支援は、国家紛争等を超えて重要なことであり、それは政治的な紛争を乗り越えてでも行われるものである。第二次世界大戦後、国連憲章において互いに領土を奪い合うような略奪行為は否定される。如何なる場合であっても、戦争を仕掛けてはならない。仮に戦争を仕掛けられた側、またその関係国は、「個別的自衛権」「集団的自衛権」が認められ、対抗措置をとることが認められている。有名無実化しているとの批判もあるが、国連は世界の紛争地域での揉め事の度に、国連決議を発布してきた。

今回のワクチン支援は人道的支援であると同時に、国際的な儀礼に基づくものであり、これを非難することは、国連憲章にも反する行為となる。だから、日本政府はどこまでも東日本大震災の時の支援に対する返礼という立場を貫き、且つギリギリまで公表をしなかった。緊急性を演出したわけだ。

中国政府は、すぐにワクチン支援と称して政治問題化している日本政府を批判する声明を発表したが、それはある種、通り一辺倒な文言に止まった。仮に中国政府が実力行使をしてJALの特別便が台湾に到着しないように行動を起こしたら、中国は世界中から非難を浴び、今のアメリカの対米政策など比較にならない制裁を受けることになっただろう。

また、日本政府の支援の直後、アメリカは75万回分のワクチンを緊急搬送すると共に、上院議員3名が台湾入りし、蔡英文総統と面会したが、この時議員が使用したのはアメリカ空軍機だ。これも中国に対する重要なメッセージを含んでいる。中国側はこれに対して強く反発したが、アメリカ政府は取り合おうとはしていない。

ここでも、日米の水面下での連携が見られる。

その全てとは言わないが、この連携プレーの背後には安倍前総理の強力な後押しがあったと見るべきで、そのスピード感と緻密なやり方は、G20大阪サミット後のトランプ大統領の電撃訪朝と重なる。

あの時、安倍前総理は、わざわざ日本の会議デスクにトランプ大統領、安倍前総理、習近平主席がぎゅうぎゅう状態で会議を行い、三人が並ぶ姿が世界中に報じられた。あれは、明らかに韓国や北朝鮮を意識したもので、その直後のトランプ大統領の訪朝となれば、恐らく習近平主席は直前まで知らされていなかった筈だ。しかも、トランプ大統領は、連合国側のトップとして、休戦状態の相手国のトップと会った。休戦協定にあっては中国側から出席したのは人民解放軍トップであって、毛沢東主席ではなかった。一方、北朝鮮側は国のトップであり軍部のトップでもあった金日成が出席した。

文在寅韓国大統領は板門店までは一緒に行ったが、そもそも朝鮮戦争休戦に反対した李承晩韓国大統領は休戦協定を拒否している。だから、連合国トップと北朝鮮トップが38度線で握手する場に韓国トップは肩を並べることが出来ないのだ。文在寅はどさくさに紛れて二人が握手する場に立ち合おうとしたが、アメリカ政府高官から排除された。

私は、非公式とは言え米朝が38度線で握手をしたことは、背後に安倍総理の働きがあったと思っている。この会談は非常に政治的な思惑が四方に感じられ、いかにアメリカ政府内の外交筋が辣腕揃いとは言え、政治家経験の無いトランプ大統領があそこまでの筋書きを描いたとは考え難いと思っている。

今回の台湾向けワクチン支援に歯軋りしている中国は、日本にしてやられたと感じているだろうし、いつか見た光景を見せられていると感じているのではないだろうか?

少なくとも、今の外務省が主導しても、今回のような演出はできなかっただろう。

高度な政治経験、外交経験がなければ出来ないことだったのだ。

JAL809便は政府チャーターの特別便として、6月4日に台湾支援のために飛び立った。

まるで、1989年6月4日、自由を求めて中国共産党と対峙した当時の中国の若者たち、5,000とも10,000とも20,000とも言われる失われた尊い命を追悼しているようではないか。

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