繚光【リョウコウ】

自称フリーライターの心臓悪くて病弱男。 音楽と本が好き。 書評や音楽の話、日々のことを書います。 気軽にフォローしてください。 お仕事もください。

幻谷(まぼろしだに)⑪

大学からボロアパートまで私鉄で片道30分。車窓からは青々とした稲穂が、傾きはじめた夕日を滑らかに照り返しているのが見える。終わりの見えないとりとめもない時間の中...

幻谷(まぼろしだに)⑩

「お前ほんとやる気ねぇ~な」 食堂でカレーライスを食べていると、目の前の席に座った正治が開口一番にそう言った。多分、俺の服装を見て言ったのだろう。 昨日の夜コン...

短編小説 幻谷(まぼろしだに)⑨

体の中から眠気の塊がこみ上げてきて吐き出すように大きなあくびをした時、スマホがけたたましい音とバイブレーションを出して、雑然とした床の上で暴れ始めた。 驚きで眠...

短編小説 幻谷(まぼろしだに)⑧

「あー、腹減った」 白い絵の具を青いキャンバスに間違ってかすってしまったように、薄っすらとした雲が広い青空の所々に延びている。日陰になったベランダと部屋の仕切り...

時は金なり

最近、ネットの旅行記事を書く仕事を得た。 なんとかしがみついて書き続けているけど、お陰様で連載中の「幻谷」を書く時間がなくなってしまった。 楽しみにして頂いてい...

短編小説 幻谷(まぼろしだに)⑦

目を覚ますと、ブツブツと穴の開いたトラバーチン模様の天井が見えた。 それからじわじわと、自分が体を持っている生物だとわかっていくように、腕から手、太ももから足へ...