繚光【リョウコウ】

自称フリーライターの心臓悪くて病弱男。 音楽と本が好き。 書評や音楽の話、日々のことを…

繚光【リョウコウ】

自称フリーライターの心臓悪くて病弱男。 音楽と本が好き。 書評や音楽の話、日々のことを書います。 気軽にフォローしてください。 お仕事もください。

マガジン

  • 木本木本木本木

    読んだ本について時にエモく、時にコミカルに、書いてます。タイトルは見た目が面白かったので並べてみました。 よろ。

最近の記事

体調不良続きでとんと書けませんでしたが、またぼちぼち続けて行こうと思います👍 また読んでいただけると幸いですm(_ _)m

    • 時は金なり

      最近、ネットの旅行記事を書く仕事を得た。 なんとかしがみついて書き続けているけど、お陰様で連載中の「幻谷」を書く時間がなくなってしまった。 楽しみにして頂いている方々には申し訳ない。(そんな奇特な方がいらっしゃるかは謎ですが) 時間を見つけ次第続きを書こうと思います。 しかし、時は金なりとはよく言ったもので、時間は使い方次第でお金になるのですね。これからもお金になってほしいですが、出来れば「幻谷」もお金になってほしいなと思う今日この頃でした。

      • 短編小説 幻谷(まぼろしだに)⑦

        目を覚ますと、ブツブツと穴の開いたトラバーチン模様の天井が見えた。 それからじわじわと、自分が体を持っている生物だとわかっていくように、腕から手、太ももから足へと人間である感覚が戻っていく。ただ、頭の中には鉛が入り込んだような重い違和感を感じる。 呆然としていた意識の中に、視界の左端からひょっこりと誰かの顔が出てきた。 「圭太だいじょうぶ?あたしのことわかる?」 肩まで伸びた茶髪に切れ長の目をした女性が俺を見て泣いている。口にはマスクがしてあるが、泣きはらしたように眼が

        • 短編小説 幻谷(まぼろしだに)⑥

          「決まってんだろ!試験に行くんだよ!!」 シンと静まり返った白い坂道で自分の声が反響する。俺と親父以外この世界に存在しないような、不思議な感じがした。 「はぁ?そんな体で試験に行っても、受かるわけないだろ」 呆れた声で当たり前のように決めつけてくるあの表情が、憎くてたまらない。 親父はなんでもそうだ。相手を馬鹿にしたよう態度で「ありえない」とか「当たり前だろ」とか言って否定した後に、自分の狭い了見で考えたこの上なく普通のことを「お前ら、こんなこと考えつかないだろ?」み

        体調不良続きでとんと書けませんでしたが、またぼちぼち続けて行こうと思います👍 また読んでいただけると幸いですm(_ _)m

        マガジン

        • 木本木本木本木
          1本

        記事

          短編小説 幻谷(まぼろしだに)⑤

          外に出て静かに扉を閉めた時、今日一度も外を見ていないことに気づいた。 2月。それは一年で一番、天から厄介なものが降り注ぐ月でもある。 「・・・雪だ」 家の前から見える住宅街の景色は、どこもかしこも白無垢をまとったように雪が積もり、昨日とは別世界に出たようだった。 軒先から先のレンガタイルの敷石は、隣合うレンガの境目が分からなくるほど、白一色の上品で澄ました顔に染まっている。 はーっと吐き出した息は、綿あめが蒸発していくように柔らかく消えて、吸い込んだ息は、熱を持った体

          短編小説 幻谷(まぼろしだに)⑤

          短編小説 幻谷(まぼろしだに)④

          「ちょっと待って」 扉が開きかけた時、奥から母の声が響いた。それと同時に取っ手に手をかけていた父の動きも止まる。そして、俺の呼吸も止まったままだ。 「どうせ行くなら、ポカリとバナナ持って行って。あと、何か食べたいものがあるか聞いてきてくれる?」 冷蔵庫を開いたり、食器がカチンとぶつかる音がすると扉の向こうの陰もゆっくりと戻り始めた。 「国立志望が試験前に国立シボウ、なーんつって」 と、父の声が台所の奥の方から聞こえた時、やっとまともな呼吸ができた。父のいつも通りの分

          短編小説 幻谷(まぼろしだに)④

          その決断は「勇気」と呼べるのか

          昨日、「天気の子」を見に行きました。 えぇ、そうです、2回目です。人生初「同じ映画を2回見る」という、ちょっとリッチな体験をしてきました。 昔は 「同じ映画を何度も見るってオタクじゃん」 という悪しき偏見を持ってましたが、「君の名は」以降は映画の素晴らしさに気づき、その偏見は近くの川に流しました。下流にいた鯉が食べたと思います。素直じゃない鯉がいたら、それは僕のせいかも。 初めての観覧はストーリーを追うことに一生懸命で、細かいところまでは意識が及びませんでした。 け

          その決断は「勇気」と呼べるのか

          未来のミライを未来で見た

          最近アニメ映画にお熱です。 先日、金曜ロードショーで放送された細田守監督作品「未来のミライ」録画して、昨日見ました。アカデミー賞ノミネート作品という触れ込みだったので、期待に胸を膨らませて見始めると、意外や意外。 「えっ、子供向けの映画なの?」と思ってしまうほど幼稚な出だしだった。 主人公の”くんちゃん”という幼い男の子に、”ミライちゃん”という妹ができる。くんちゃんは今まで独占していた両親の愛を妹に取られたことでダダがひどくなってわがままばかり言うようになってしまう。し

          未来のミライを未来で見た

          短編小説 幻谷(まぼろしだに)③

          国立大学受験日の前日、インフルエンザに罹った。 母に連れられて車で病院に行き診察室に入ると、眼鏡をかけた小太りの医師がいた。体の震えが止まらない俺に変わりに母が事情を話すと、「あ~」と気の毒そうな顔をした。その後の、定型文のような処方箋の説明と、「まぁ、受験がすべてじゃないから」という無責任な言葉に俺はかなりイラついた。 だが、現実は絶望的だった。 気休めにしかならない薬を貰って帰った翌日、朝から体温を測ると40度近くの高熱が表示されて、走馬灯のように諦めてきた物事が駆け

          短編小説 幻谷(まぼろしだに)③

          名前変えました。

          カタカナ表記から漢字にしただけなので、言いにくいことに変わりはありません。 変えた理由は「漢字の方がカッコよくない?」みたいな軽いノリです。 ちなみに、本名ではないので検索しても僕個人は特定できないです。まぁ、しようとも思わないでしょうけど。 「繚」は「まとう」という意味があるそうで、それに「光」を付けて「光をまとう人」という意味で名付けました。 発光体です。ホタルイカですね。ホタルイカみたいなやつだと思ってください。 今後もよろしくお願いします。

          名前変えました。

          短編小説 幻谷(まぼろしだに)②

          じじぃを無視して部屋に戻り、カーテンの間に手を入れ、ベランダへ続くガラス窓だけを開ける。ふわっと帆を張るように膨れたカーテンが顔に当たり、熱を持った茶色い生地が汗を吸い取りながら視界を覆う。鬱陶しいが、足元や太ももには風が入り、クーラーのように涼しく感じる。 窓を全開にしてアンバランスな状況から抜け出すと、再びベッドの上に横になった。大学の講義はもうすでに始まっているが、滑り止めの私立大学の低レベルな講義などを受ける気はない。 落第にならないぐらいに授業を受けて、あとは問

          短編小説 幻谷(まぼろしだに)②

          短編小説始めました

          冷やし中華みたいなノリで書いてますけど、自分のなかでは結構勇気を出し行動だと思っています。 まぁ、タイトル通りとうとう小説の執筆に踏み切ったわけですけど、これが完全に見切り発車。 しかし、小説とは「いつか書こう」と思っていてもなかなか踏み出せないもので、「書くんならしっかりと書き終わってから発表したほうがいいな」と思っていると、結局完成しないまま終わってしまうもの。 だから、絶対に続けさせたい!完成させたい!と思ったら、一番いい手段が「退路を断つ!!」ことだったので、思

          短編小説始めました

          短編小説 幻谷(まぼろしだに) ①

          「暑い・・・。」 丈の短いカーテンの隙間から夏がやってきた。 雑然とした部屋には、梅雨だった昨日とは比にならないほど力強い日差しが入り込み、飲みかけのペットボトルや卑猥な雑誌を神々しく光り輝やかせる。空気には酸素よりも湿度が充満しているみたいで、朝一番の呼吸は生ぬるい。湿ったベッドの上で寝返りすると汗ばんだ肌にTシャツと短パンがびっちりと引っ付いてくる。 「(ピンポーン)」 通常の3倍ぐらい重たくなった腕をだらりとおろして、床に置いている充電機に繋がったスマホを拾う。

          短編小説 幻谷(まぼろしだに) ①

          草むしり

          うちの庭は無駄に広い。 お陰で、梅雨の合間はよく草むしりに駆り出される。 ここ1週間ぐらいは、長袖長ズボンに手袋をはめた完全防備もどきの格好で、膝が濡れないように新聞紙を下に敷いて草むしりをするのが恒例となっている。(”もどき”としたのは多少は蚊に刺されるから) 雨の水分によって成長エネルギーを与えられた雑草たちは、あっという間にに庭の白砂を押しのけて、上に横にとグングンと伸びていく。 そして、毎日毎日雨に打たれながら「せっせ、せっせ」と自分の生きる範囲を広げて行った

          「天気の子」見ました

          昨日の夕食後「明日の晩御飯はさ、パスタにしない?」という提案が母からあった。 「ああ、いいね」とその提案に乗ったとき、 『明日は朝から廊下の窓を掃除したら、あとは夕方にじいちゃんの晩御飯をつくるだけだよな?あれ、ってことは…』 と、翌日のスケジュールに何かいい感じに空き時間ができることに気づいた僕は 『そうだ、天気の子を見に行こう!!』 と、思い立った。 空前の大ヒットから3年経ったこの夏、満を持して公開された新海誠最新作 「天気の子」 「君の名は」を一度もス

          「天気の子」見ました

          山小屋ガール見っけた

          7月の初めに眼鏡を作ることで右往左往していたころ近くの商業施設のTSUTAYAに入った。 「そういえば最近本買ってないな~」なんて思いながら、たまたま通りかかったエッセイの棚で、僕はこれを見つけてしまった。 「はっ、これは!!noteでよく見ている吉玉サキ氏の本ではないか!!これは買わなければnoteにいられない」 という、運命的な出会いと謎の強迫観念に押されて即購入。 家に帰ってから、久々の新鮮な新刊の匂いと、細かい凹凸のついた心地よい肌触りに心を躍らせながら、1ペ

          山小屋ガール見っけた