聡明な彼の話

彼との出会いは暇つぶしに始めたゲームだった

私より歳上で高専(4年)をでてそのまま
某有名企業に引き抜き、目がぱっちりしてて鼻が高くてスタイルが良い それに加えてとても優秀


(ガッキーと同じ誕生日だから…?だからそんな見た目いいの?
そんな私は北斗晶)

あれ、非の打ち所なくない?

彼は
岡山(地元) → 神戸(就職) → 東京 (転勤)
と短期間で結構多く引越しをしている

そして彼はとても優しい
ボーナスでたから一緒に焼肉行こうって連れてってくれた
普通ボーナスでたら自分のことに使うじゃん
なのに私に使ってくれた
有給も私の為にとってくれた


彼にバレンタインでお菓子を渡した
たしかアップルパイ
結構力作
とても喜んでた


ホワイトデーに一冊の本をくれた
たしか生き物が詳しくわかりやすく書いてある本
私のことわかってる、そういうの好き、嬉しい


たくさん遊びに行った

彼の話はいつだって面白かった
彼の方言も可愛くて全部大好きだった



突然彼から電話が来た
仕事辞めて岡山に帰るって



彼は自分の仕事が好きではなかった
やりがいを感じられなくて、暇で、退屈で
いつも仕事辞めたいって、つまらないって言ってた


だから現状を変えるために彼の地元の市役所、まあ公務員試験受けてて
それは知ってたんだけど


受かったって 



彼とお別れギリギリに温泉旅行へ行った
冬の寒い日だったなあ、雪降ってた
混浴のある宿を選んだ

彼と罰ゲームをかけた射的
彼に食べさせてもらった温泉まんじゅう
彼とお揃いのシャンプーの匂い

もっと写真撮ればよかったな、なんて


彼に言われた 
一緒に岡山くる?って


即答できなかった、私は黙ってしまった

俺が地元大好きなようにあなたも地元が大好きだから
きっと離れられないよね

何も言い返せなかった






彼はお別れの時


大好きだよ、彼氏作らないでね  って言った

呪縛だ、私は当分この呪いに苦しめられることになる


お別れしてから彼に私がいつも使ってた香水を送りつけた
私のことずっと覚えててほしくて
彼にとって呪縛になるように
せめてもの当てつけ



連絡は時々とってた


この間久しぶりに声を聞いた
気になっている人がいる って
でも私のことか気がかりで忘れられなくて…
恋人がほしいのにできない、とも言っていた


彼は結婚願望の強い人だ、家族が欲しいことも知ってる

以前彼に結婚したい?子ども欲しい?って聞かれたことがある
なんて答えたかはっきり覚えてないけど濁した
その後 彼に怖いんだって見抜かれた、すごいね

まあ、そんなことはどうでもいい
ちょっと思い出しただけ


彼にはずっと幸せでいてほしいから
気になるんだったら付き合ったっていいんだよとは言ってある、結婚だってこの人!っていう人がいたらしてもいいんだよって


彼は少し黙ったあと
一緒に岡山こない?って言った

行くって言ったら真剣に考える だってさ



あとは最近観た映画の感想とか日常の話をして盛り上がった


そろそろ電話終わりにしようかな〜なんて考えてた時

俺のものになってなんて言わないから誰のものにもならないでほしい

彼氏作らないでね


彼はまた私に呪いをかけた






















 

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